上腕二頭筋長頭腱断裂の原因と治療法

上腕二頭筋じょうわんにとうきんって?

上腕二頭筋は力こぶを作る筋肉です。「長頭ちょうとう」と「短頭たんとう」の2つの筋肉の束からできています。

上腕二頭筋長頭腱断裂とは

上腕二頭筋の2つの束のうち、「長頭」の腱が切れてしまうことで、痛みや脱力感を引き起こす疾患です。

 

症状

  • 肩から二の腕の前面が痛い
  • 肘を曲げて重い物を持ったり、力いっぱい腕を外側にねじると痛みが増強する
  • 力こぶの前面の皮膚に青あざができる
  • 力こぶが下に下がり、独特なふくらみを作る

 

原因

長頭腱は『大結節だいけっせつ』『小結節しょうけっせつ』と呼ばれる骨のでっぱりの間にできた溝を通ります。
さらに、溝の中で急激に方向を変えます。そのため溝の中で摩擦を起こし、腕をよく使う人は断裂しやすくなります。

 

どんな検査をするの?

問診では痛くなった状況の確認、ケガの有無、痛みの状態などを確認します。
視診・触診により、押さえて痛い箇所、筋力の低下がないか、肩や肘の動きなどを確認します。
「力こぶが下にさがる」特徴的な所見がみられるため、比較的発見は容易です。

 

どんな治療があるの?

  1. 急性期には患部の安静
  2. 超音波療法ちょうおんぱりょうほう
  3. 慢性期には温熱療法
  4. 関節可動域訓練かんせつかどういきくんれん
  5. テーピング

 

どんな人に多いの?

高齢者に起こる場合と肉体労働者やスポーツ愛好家に起こる場合があります。
高齢者の断裂は、肩の腱板という筋肉が傷んでしまうのに伴って長頭腱が少しずつ擦り切れていき、何でもない日常生活中に生じます。
一方、肉体労働やスポーツに伴って、急に力を入れた時にブチッという音とともに断裂することもあります。

 

自然に治るの?

一度切れてしまった腱が元通りくっつくわけではありません。傷めてすぐは炎症が強いため無理に動かさず安静にすることが大切です。
炎症が治まってくると見た目は元に戻りませんが、痛みは軽くなってきます。
その時期から超音波治療や温熱療法により患部を温めた上で、傷んだ部分に負担がかからないように他の筋肉をトレーニングしていきます。

 

断裂していても生活できる

断裂部の痛みは安静にしていれば徐々に治まり、日常生活を送るだけであれば支障がなくなります。
断裂しても肘を曲げる力の10~20%が落ちる程度なので高齢者の場合は、それほど不自由なく生活が送れる可能性が高いため、そのまま治療することがほとんどです。
しかし、上腕二頭筋の機能が失われているので、肘や肩の動きに制限が残ることがあります。
それを補うために肩や肘を曲げるための補助筋をトレーニングしながら生活していくことをおすすめします。
また、現役で仕事やスポーツや家事を行うような場合は、病院で手術を行うこともあります。

テーピング

キネシオテープという特殊なテープを貼り、皮膚を持ち上げ筋肉との間に隙間を作ります。これによりリンパの滞りを改善し、筋肉の正しい収縮をサポートすることで、傷んだ上腕二頭筋長頭腱の負担を軽減できます。


(図;www.kinesiotaping.jpより引用)