仙腸関節とは

仙腸関節は、仙骨せんこつ腸骨ちょうこつの間の関節であり、左右に1つずつあります。
周囲は靭帯により強く連結されています。仙腸関節は3~5mm程度ですが、わずかに動きます。

仙腸関節恥骨結合とは
仙腸関節とは

仙腸関節障害とは

仙腸関節に過度な負荷がかかり、関節にズレを生じて痛みや運動制限が生じるものを仙腸関節障害といいます。
報告者によって差がありますが、腰痛患者さんのうち仙腸関節由来の腰痛の頻度は3.5~30%とされ、決して珍しくない疾患です。

仙腸関節障害とは
仙腸関節に大きなストレスがかかり、関節にズレを生じて痛みや運動制限が生じます

仙腸関節障害の症状

  • お尻~太ももの外側の痛み
  • 痛みは片側のみのことが多い
  • ソファーに深く腰掛けた時に痛い
  • 悪い方を下にして横になると痛い
  • あぐらをかくと痛い、正座は大丈夫
  • 足の痛みはあるが、その部分を押さえても痛くない
  • 痛い部分が骨盤の後ろのでっぱり部分で、痛い部分を一本の指で指し示すことができる
  • コルセットで骨盤を固定すると痛みが楽になる
仙腸関節障害痛みの部位
仙腸関節による痛みやしびれの出る部位

仙腸関節障害の原因

仙腸関節は背骨の根元を支える関節です。そのため背骨のバランスをとったり衝撃を吸収したりしていると考えられます。
中腰での無理な作業や不意な動作、または繰り返し負荷で関節にわずかなズレが生じ、痛みが発生します。
仙腸関節周辺は多くの神経が分布しているため、さまざまな症状をひき起こします。

仙腸関節障害はどんな人に起こるの?

男女比は約1:2で、30歳代と70歳代に多くみられますが、若年者から高齢者までの男女に起こり得る、決して珍しくない痛みです。
仙腸関節障害は出産を契機とする女性に特有の痛みというわけではありません。

仙腸関節障害の検査

仙腸関節はわずかな動きしかありませんので、レントゲン、CT、MRIなどの画像検査では、仙腸関節障害の診断は困難です。
痛みが仙腸関節部にピンポイントで存在すること、仙腸関節を押さえると普段感じている痛みが再現できること、各種徒手検査で痛みが誘発されることなどにより仙腸関節障害が疑われます。

仙腸関節障害の治療法

  1. ぎっくり腰のような急性のものは安静が必要
  2. 仙腸関節ベルト固定
  3. 仙腸関節安定化トレーニング
  4. 徒手療法
  5. 超音波療法
  6. 筋膜治療
  7. テーピング

まずはベルト固定

まずは仙腸関節にかかるようにベルト固定を試します。
ベルトは前から締める、後ろから締める場合を試し、痛みが軽くなる方を選択します。
仙腸関節ベルトは、仙腸関節の微小な不適合の発生を抑える効果があり、仕事復帰時などの再発予防にも使えます。

骨盤輪不安定症に対する骨盤ベルトの位置
徒手療法や運動療法で関節の適合性を改善させたら、その状態をキープするために仙腸関節ベルトが有効です。

仙腸関節障害に対する筋膜リリース

仙腸関節まわりは靭帯が強固に連結しており、知覚神経が豊富で痛みに敏感な部位といえます。
仙腸関節の周辺の神経の働きを正常化する治療として、IASTM Tools(Instrument-Assisted Soft-Tissue Mobilization)を使用します。

iastm
仙腸関節にはセンサーの役割をする神経線維が豊富に存在するためIASTM療法が大変有効です。

こんな姿勢は要注意!

仙腸関節に不適合が起こりやすい姿勢
仙腸関節に不適合が起こりやすい姿勢