有痛性踵パッドとは
有痛性踵パッドというのは有痛性踵部脂肪褥(ゆうつうせいしょうぶしぼうじょく)、Heel fat pad syndrome(ヒールファットパッドシンドローム)というよく似た2つの病態のものを合わせてこう呼びます。
下の図のように、かかとの下には脂肪のかたまり(踵骨下脂肪体)があって、かかとに体重が乗った際の衝撃吸収をしています。
その脂肪の弾力性が低下してしまい、かかとの骨が直接地面にぶつかることによって痛みが生じる疾患です。

有痛性踵パッドの症状
まず体重が乗ったときに、かかとの骨の下に痛みがあります。その部分を指で押さえると痛いのも特徴です。これを圧痛といいます。
見た目は目立つような腫れはないことがほとんどですが、かかとの弾力性がなくなるため、骨が簡単に触れることができるようになります。
底の硬い靴や薄い靴を履くと痛みが出やすくなります。
また、スポーツをする場合、長距離を走るとかかとの下の方が痛みが強くなります。
有痛性踵パッドの原因
歩いているとき、かかとには実際の体重より大きな圧力がかかっています。その重みや衝撃を吸収しているのが「踵部脂肪体(しょうぶしぼうたい)」です。
かかとに繰り返し衝撃がかかり続けると、脂肪体の安定性が損なわれ、踵部脂肪体の弾力性が低下します。脂肪体とかかとの骨との間でズレを起こす力が発生して起こります。
加齢とともに脂肪体の弾力性が失われていくため、やはり中高年以降の方に多い疾患といえます。また、運動を始めたばかりの初心者ではフォームが未熟でかかとに強い衝撃がかかるため、多くみられます。
有痛性踵パッドと足底腱膜炎の違い
かかとの痛みといえば「足底腱膜炎」が有名ですが、有痛性踵パッドの発生年齢は足底腱膜炎よりも高めです。
足底腱膜炎は足底腱膜のかかとの骨に付着する部分が痛いのに対し、有痛性踵パッドは踵部脂肪体の全周に痛みがあることが特徴です。
脂肪体の弾力性も低下していることが多いため、有痛性踵パッドではかかと部分が薄く感じられます。しかし、中には脂肪体の弾力性も変わらず、発症年齢もよく似ていて見分けがつきにくいこともあります。

有痛性踵パッドの治療法
痛みの強い急性期は安静、アイシングを行い、急性期が過ぎたらホットパック、超音波、低周波などの物理療法を行います。
どうしても歩かなければならないときやスポーツをしなければならないときは、サポーターで衝撃を吸収してかかとへの負担を軽減したり、テーピングで脂肪体の機能をサポートすることも有効です。
有痛性踵パッドに対するテーピング
用意するテープは次の通りです。
・非伸縮性テープ 15cm × 1本
・非伸縮性テープ 15~20cm × 4~5本
踵の外側から内側に向かってアンカーを貼ります。

次に、脂肪体を集めながらテープを貼ります。


テープを半分ずつ重ねて3~4回繰り返し貼ります。
剥がれてこないように①と同じようにアンカーを貼って完成です。

カラー付きで分かりやすく説明します。
①アンカーを貼ります。

②次に横サポートを4本貼ります。

③半分ずつ重ねながら貼ります。



④最後にアンカーを貼って完成です。
