後方型野球肘にはいくつかの障害が含まれます。代表的なものには、後方インピンジメント障害と尺骨肘頭の疲労骨折があります。成人期の野球選手によくみられます。

後方インピンジメント障害は、肘を伸ばしたときに肘の後ろ側で骨と骨がぶつかることが原因で起こる障害です。この障害により、肘の先端に骨の突起（骨棘）が形成されます。これは骨や軟骨が微細に損傷し、それが反応して骨が増殖するためです。

痛み：骨棘が折れたり、関節内に遊離体が形成されたりすると、肘を動かすときに痛みが生じます。特にリリースからフォロースルーにかけて痛みが強くなります。

コッキング期からフォロースルー期にかけて、肘が外側に引っ張られたり（外反）、過度に伸ばされたり（過伸展）することで生じるため、フォームの修正、ストレッチやウォームアップ、筋力強化などが必要になります。

また痛みの軽減に体外衝撃波治療が大変有効です。衝撃波が体内に入ると、血流が増加し、細胞の修復が促進されます。これにより、自然治癒力が強くなり、痛みが減少します。

肘を使いすぎることで肘の骨が折れる状態です。ほとんどのケースでは、肘の内側の関節面に骨折が発生します。
1.横骨折型：骨折線が関節面に対して垂直に走ります。
2.斜骨折型：骨折線が斜めに走ります。

従来は、上腕三頭筋（腕の裏側にある大きな筋肉）の引っ張りストレスが原因とされていましたが、現在では肘の伸展（伸ばす動き）と外反ストレス（外側に引っ張る力）の両方が関与していると考えられています。これらの力が関節面を通じて骨に圧力をかけ、疲労骨折を引き起こします。

レントゲンで診断できる場合もありますが、見逃されることがあります。骨折線がはっきりしない場合は、ヘリカルCT、MRI、または骨シンチグラフィーが有用です。

・圧痛：肘の内側や外側に痛みがありますが、はっきりした痛みのポイントが見つからないこともあります。
・動作時の痛み：肘を伸ばしたり、外側に引っ張る動作で痛みが生じます。横骨折型では、上腕三頭筋が収縮することで痛みが強くなることもあります。

・保存療法：投球を禁止し、安静にします。低出力超音波パルス療法も考慮されますが、投球禁止期間が長くなることが多いです。
・手術：早期の手術が推奨される場合もあります。これは、長期的な安静による偽関節（骨が正しく治らない状態）や再発を防ぎ、競技への早期復帰を目指すためです。