肩の構造
肩の関節は、上腕骨の丸みと肩甲骨側の受け皿とで構成されます。
しかし、受け皿の方が非常に浅く小さく、それに対して上腕骨側の丸みが大きいため不安定な状態となっています。
たとえるならティーの上にゴルフボールをのせたような状態です。
この受け皿の浅さを補う役目をするのが、「関節唇」です。
「関節唇」には、上腕二頭筋という筋肉がつながっている部分があります。



SLAP損傷とは
関節唇と上腕二頭筋がつながる部分(時計でいう10~2時の方向)が、筋肉に引っ張られて、破れたりちぎれたりしてしまう肩のスポーツ障害をSLAP損傷といいます。

SLAP損傷の症状
- 頭上から背中に手を回すと痛い
- 痛い腕で反対側の肩をつかむと痛い
- 投球動作で痛い
- 腕が抜ける感じがする
- 肩がひっかかる感じがする
- 投球時の痛み以外には、ほとんど症状がない
SLAP損傷の原因
野球などボールを投げる動作の繰り返しによって損傷することが多い疾患です。
ボールを投げる時に、関節唇の上方にくっついている上腕二頭筋が引っ張られたり、肩にねじれの力が加わったりする動作で負担がかかることによって関節唇に損傷や剥離をおこします。
野球以外では、ラケット競技やバレーボールなどのサーブの動作を行うスポーツ選手などによくみられます。
SLAP損傷の検査
問診、視診や触診によって、肩のどこに痛みがあるか、どのような動作で違和感や痛みがあるかを確かめます。
徒手検査で痛みがある場合はSLAP損傷が疑われます。SLAP損傷が疑われる場合、病院でMRI検査が行われます。

SLAP損傷の治療法
- 急性期には患部の安静
- 超音波療法
- 慢性期には温熱療法
- 関節可動域訓練
- ストレッチ
- 筋力強化訓練
- 投球フォームの修正
肩以外の柔軟性も大切
背中が丸くなった姿勢では、肩甲骨の動きがスムースに行えません。肩以外でも体幹部分の柔軟性はとくに重要です。

投球フォームの修正
SLAP損傷では、投球動作のコッキング期(振りかぶった状態)からアクセレレーション期(ボールを離す前まで)に痛みが生じます。
SLAP損傷では、
- 肩まわりの筋肉のアンバランス、
- 肩甲骨の動きが悪い、
- 体幹の柔軟性がないなど
の理由で、肩甲骨の向いた方向で腕をねじることが出来ていない症例が多くみられます。
肩甲骨の向いた方向で腕をねじれないと、関節唇に過剰な負担がかかってしまいます。
