五十肩とは
主に40歳以降に発症することから、四十肩や五十肩と呼ばれます。
特に50~60歳代の女性に多く、加齢に伴い筋肉が衰えたり傷んだりすることが契機となり発症します。
しかし根本的な原因は明らかになっていません。
肩の痛みと引っかかり感が特徴で、いずれは自然治癒するといわれています。
正確には肩関節周囲炎といいます。
五十肩の症状
肩関節周囲炎は、①急性期、②凍結期、③回復期の3つのステージに分けられます。
Millar, N, Meakins, A., Struyf, F. et al (2022) Frozen shoulder. Nαt Rev Dis Primers
①急性期(StageⅠ)
痛みがだんだん強くなっていき、肩の動きも悪くなっていく時期です。
- じっとしていても痛い
- 夜の痛みで目が覚める
- 痛みにより手を挙げることができない
②凍結期(StageⅡ)
痛みがピークに達し、肩の可動域が強く制限されます。
- 痛みがピークに達した後、徐々に軽くなってくる
- エプロンの紐を結ぶ、髪を結ぶ、車の後部座席のものを取る動作などが制限される
- 制限を感じてから、それ以上に動かすと激痛が生じる
③回復期(StageⅢ)
痛みは落ち着いてきて、可動域も少しずつ改善していきます。
- 正常に近づいてくる
五十肩の原因
はっきりした原因がわからず、加齢で骨や軟骨、靱帯や腱などが老化するとともに、肩の周囲に炎症が起きることで生じるもの(五十肩)と、ケガや糖尿病と関係するものなど原因がわかるものとがあります。
五十肩の検査
問診では痛くなった状況の確認、ケガの有無、痛みの状態などを確認します。
視診・触診により、押さえて痛い箇所、筋力の低下がないか、肩の動きの範囲などを確認します。
肩の動きの検査(アプレースクラッチテスト)
- 反対側の肩甲骨の上の角を触れますか?
- 反対側の肩甲骨の下の角を触れますか?
- 反対側の肩を触れますか?

当院では超音波エコー検査を用いて、腱板断裂や石灰沈着性腱板炎などの明らかな病変を除外します。

五十肩の治療法
- 急性期には患部の安静、三角巾による固定
- 体外衝撃波(圧力波)
- 超音波療法
- 温熱療法
- 関節可動域訓練
- テーピング
- 症状が強いものは、病院にて痛み止めや注射など
五十肩に対する体外衝撃波(圧力波)
拘縮した肩の治療は一般的に長期化しやすく痛みも伴いやすいといわれます。
体外衝撃波(圧力波)治療とは、機器の先端から発せられる強い圧力波を拘縮した肩へ当てることで、硬くなった肩の関節包や靭帯、毛細血管を一度破壊します。その後、組織の再合成が進み、健常な組織に修復していきます。
一般的な五十肩治療では強い痛みを伴うことがありますが、体外衝撃波(圧力波)治療では、痛みの神経を麻痺させますので、その後の肩の運動では痛みを感じにくく可動域を拡げていくことが出来ます。
血流や組織代謝を増加させることで、五十肩の治療期間を短縮することができます。

五十肩は自然に治るの?
肩関節周囲炎・五十肩は数年で自然治癒するといわれています。
しかし、約半数に痛みや動かしにくさなどの不自由が残ると報告されています。
このことから、アルコット接骨院では自然治癒を待つのではなく、時期に応じた積極的な治療を行っています。

痛いけど動かしていいの?
肩の関節は「関節包」という袋につつまれています。
正常の肩関節では、袋にはゆとりがあります。
炎症や老化により、この袋のゆとりがなくなって関節の動きが悪くなってしまいます。
そのため、炎症の再発するおそれのなくなった凍結期以降は、袋のゆとりを回復させるために積極的に運動する必要があります。
※痛みの強い急性期には行なわないでください。

五十肩エクササイズ
五十肩の治療は地道なエクササイズが大切になります。しかし焦りは禁物です。3つのステージに合わせたエクササイズを行うことが重要です。

動画は2回タップすると再生されます
①急性期(StageⅠ)
- もっと急性期のエクササイズを見る
②凍結期(StageⅡ)
- もっと凍結期のエクササイズを見る
③回復期(StageⅢ)
- もっと回復期のエクササイズを見る
夜中の肩の痛み
夜になるとズキズキ疼くような痛みで目が覚める、寝返りで五十肩側が下になると痛いなどの症状を「夜間痛」といいます。
夜間痛の原因はさまざまで、炎症によるもの、肩の関節の内圧が上昇して刺激となるもの、上腕の骨の中の圧が上がって痛みとなるものなどがあります。
五十肩側の肩が下になり肩が潰れるような格好になると痛みが引き起こされるため、注意が必要です。
海外製品ですが、Medcline社の枕を参考にバスタオルなどを用いて患側の肩が潰れないようにすることで夜間痛を軽減することができます。
https://medcline.com
五十肩に対する筋膜リリース
肩関節周囲炎では、炎症の結果、肩関節の周りの筋肉や関節包が固まったり、痛みをかばって変に力を入れてしまうため異常に筋肉が緊張したりします。このような状態から筋肉が正常な状態に戻すために、当院ではIASTM Tools(Instrument-Assisted Soft-Tissue Mobilization)を使用しています。
IASTM toolsは組織を正常な機能に戻し、治療することを可能にする全く新しい治療ツールです。
