アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎とは

アキレス腱炎は使いすぎ症候群のひとつです。繰り返しストレスがかかりアキレス腱に微小損傷が生じて発症します。

スポーツをしている人に多くみられる疾患です。アキレス腱は薄い膜(パラテノン)でおおわれています。ここに炎症を生じたものをアキレス腱周囲炎といいます。

アキレス腱炎
アキレス腱炎とは

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の症状

まずアキレス腱がはれます。そして押さえると痛い部分があります。

運動したあとや歩き始めに痛みが強く、症状が進行すると歩く・走るなどをせず、安静していても痛みを感じます。

また、足首を動かすときしむような摩擦音が聞こえるようになります。足首を起こすと痛みが強くなります。

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の原因

腱は加齢によりもろくなるため、中年以降のランニングやウォーキングにより引き起こされます。若い方でも運動やトレーニングの量の多さが原因となったり、間違ったトレーニングを続けていると起こることもあります。シューズが合わなかったり扁平足(へんぺいそく)などの足首のトラブルも影響します。

足の変形とアキレス腱の痛みとの関係

足首のトラブルも影響します。足首が内側に倒れ込む「回内足(かいないそく)」ではアキレス腱の内側に負荷が集中し、アキレス腱の内側が痛くなります。

一方、足首が外側に倒れる「回外足(かいがいそく)」ではアキレス腱の外側が痛くなります。

アキレス腱の中央でなく、内側か外側に偏っている場合は足首と関係している可能性が高いです。

アキレス腱の傾き回内足回外
アキレス腱の傾き 回内足と回外足

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎の治療法

炎症が強い時期はアイシングや湿布による消炎処置が必要です。ある程度、患部を安静に保つことも重要です。

また傷んだ組織の修復に超音波治療も大変有効です。

歩くためには足を地面につけなければならないので、足に体重をかけずにいるのは難しいです。アキレス腱にかかる負荷を減らすために、かかとの補高(ほこう)というものがあります。(これについては次項紹介します)

他にはテーピングも有効です。炎症が強い時期、炎症がおさまってスポーツ復帰を目指す時期でテーピングを使い分けます。スポーツ復帰に向けて痛みのない範囲でストレッチを愛護的に行うとよいでしょう。この時期からアキレス腱やふくらはぎの筋肉周囲の筋膜に対する施術を行っていきます。

足首のトラブルに対してはインソール療法を行います。

アキレス腱の痛みに対する体外衝撃波(圧力波)治療

衝撃波(圧力波)はキャビテーション効果を伴って、細胞を通過する波を誘発します。

この治療では炎症反応が生じ、アキレス腱周辺の代謝活性が増加することにより、組織の治癒を促進します。

衝撃波を繰り返し患部に与えることで生じる微細外傷が、新しい血流を引き起こし、血管を再生します。

アキレス腱の強い除痛効果を期待できる新しい治療法です。

かかとの補高

かかと部分を持ち上げることで、アキレス腱にかかる負担を軽くすることができます。痛みの強い時期に有効です。

アキレス腱炎踵の補高【金沢市のアルコット接骨院の疾患解説】
踵を持ち上げ、アキレス腱にかかる負荷を減らします

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎に対する筋膜リリース

アキレス腱の炎症の結果、アキレス腱がまわりの筋肉や皮膚、脂肪組織などとくっついてしまいすべりが悪くなってしまう障害があります。これを癒着障害といいます。
従来の治療法(消炎鎮痛剤・従来の電気治療)では、このような癒着障害には効果があまりみられないことがわかってきました。
当院ではリハビリテーションの先進国である欧米より、IASTM(Instrument-Assisted Soft-Tissue Mobilization)を取り入れ治療に当たっています。
IASTMは癒着障害を見つけ出し、治療することができる革新的なツールです。

最先端の筋膜治療 IASTM
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アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎に対するテーピング

テーピングによりアキレス腱にかかる負担を減らします。

左のアキレス腱が炎症を起こし、腫れているのがわかります。左側はアキレス腱のエッジが不明瞭になっています。

アキレス腱周囲炎(左右のアキレス腱の太さの違い)
アキレス腱周囲炎(左右のアキレス腱の太さの違い)

まず腫れを沈静化させるためにテーピングで循環を改善させます。併せて荷重を制限することで、数日で腫れは軽減します。

アキレス腱周囲炎テーピング
アキレス腱周囲炎の腫れに対するテーピング(リンパコレクションテーピング)

アキレス腱炎・アキレス腱周囲炎に対するインソール

扁平足などの足の変形があると、アキレス腱の痛みの原因になります。そのためインソール(中敷)で足のアーチを支え安定させます。
また、サイズの合っていない大きめの靴は足の負担になります。足のサイズ計測をしっかりおこなって自分に合った靴を選びましょう。

オーダーメイドインソール作製
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インソール回内補正【金沢市のアルコット接骨院の疾患解説】
回内足補正のためのインソール