思春期腰椎分離症

思春期腰椎分離症ししゅんきようついぶんりしょうとは

腰椎の椎弓ついきゅうと呼ばれる部分に起こる疲労骨折ひろうこっせつです。
ケガのように1回の力で起こるのではなく、スポーツの練習などで繰り返して腰をそらしたりひねったりすることで起こります。
第5腰椎(上から5番目の腰の骨)に多くみられます。
13~14歳の男子に多くみられます。
一般の人の5%程度に分離症がみられますが、スポーツ選手の30~40%が分離症を発症しています。


(図;www.survivingdance.caより引用)

 

 

症状

  • 棘突起を押さえると痛い、叩くと痛い
  • 腰を反らせたときの痛み
  • 骨折部の近くを神経が通るため炎症が波及し、椎間板ヘルニアに似た症状を示すこともある(ラセーグ徴候)

 

原因

腰部の過労による疲労骨折であり、発育期のオーバートレーニングによる場合がほとんどです。

 

骨折を起こすメカニズム

成長期は骨の急激な成長に対して筋肉の長さが追い付かず、骨の長さに比べて筋肉が短い時期に当たります。
加えて、骨の急激な成長は骨の強度を低下させます。
したがって成長期は筋の柔軟性と骨の強度が低下した時期であり、疲労骨折が起こりやすい時期とされています。
股関節まわりの筋肉の柔軟性が低下した状態でスポーツを続けると、股関節の動きの足らない部分を腰で補おうとするため、腰が反る力や捻れる力が過剰に加わってしまいます。


(図;関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーションより引用)

 

どんなスポーツに多いの?

野球、バレーボール、バスケットボール、サッカー、柔道、ラグビー、ウエイトリフティングなど、頻回に体幹の前後屈、回旋を行うスポーツに多く見られます。

 

悪化するとどうなるの?

思春期腰椎分離症は早期発見・早期治療できた場合は骨がくっつくことが可能です。
成人の腰椎分離症は思春期分離症を発見・治療できず放置し、骨がくっつかなかった結果生じたものです。
疲労骨折は徐々に亀裂が進行していき、完全骨折に至ると痛みは軽減するので勘違いしてしまい放置される例が多くみられます。
両側が完全に骨折して、骨がくっつかなかった場合は椎体が前方にズレてしまう腰椎すべり症へと進行する恐れがあります。


(図;yo-tsu.orgより引用)

 

 

どんな検査をするの?

思春期の男児でスポーツをしていて腰痛が続く場合は、腰椎分離症が疑われます。
棘突起に圧痛(押さえると痛い)や叩打痛(叩くと痛い)があり、腰を反らせたときに痛みがある場合は、早急に病院でレントゲン検査をする必要があります。
初期の分離症はレントゲンやCTではわからないため、MRI検査が有用です。

 

どんな治療があるの?

思春期分離症の治療の目的は骨折を治癒させることです。
そのため早期に発見でき、骨癒合の可能性があるものは運動の中止およびコルセットによる固定を数か月行います。その間数か月おきにMRI検査をして骨癒合の状態を確認します。
思春期における数カ月にわたる運動の中止やコルセット固定は大変苦痛です。
そのためサポートする保護者や指導者との連携が重要となります。
 

ストレッチ

股関節の周囲の筋肉の柔軟性低下は骨折部への負担につながるため、股関節周囲のストレッチは非常に大切です。


(図;関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーションより引用)

 

運動療法

分離症の治療には長期間の固定を要します。
その間、運動療法により体幹筋力低下の予防と患部の血流促進や成長ホルモンの分泌促進により骨癒合を促します。


(図;関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーション)