【まとめ】スポーツ時の股関節痛3疾患 症状別にみる原因や治療法【金沢市アルコット接骨院のコラム】 

あなたの症状の特徴は?

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鼠径部(股関節前面)の痛み(鼡径部痛症候群・グロインペイン症候群)

急なふくらはぎや太ももの痛み(下肢の筋断裂 ・肉ばなれ)

急なダッシュなどで負傷(骨盤裂離骨折)

 

スポーツによる鼠径部の痛み 鼡径部痛症候群(グロインペイン症候群)の原因や症状と治療法

鼠径部痛症候群とは

グロインペイン症候群とも呼ばれ、ランニングや起き上がり、キック動作などで鼠径部やその周辺に痛みが生じる疾患をひっくるめてこう呼ばれています。

  • 内転筋腱障害 ないてんきんけんしょうがい
  • 腸腰筋ちょうようきん機能障害きのうしょうがい
  • 鼠径管後壁欠損 そけいかんこうへきけっそん
  • 外腹斜筋腱膜損傷 げいふくしゃきんけんまくそんしょう
  • 恥骨結合炎 ちこつけつごうえん
  • スポーツヘルニア

等の総称です。スポーツ選手によくみられますが、特にサッカー選手に多いのが特徴です。

鼠径部痛症候群グロインペインシンドローム痛みの部位
鼠径部痛症候群(グロインペインシンドローム) 痛みの部位

 

 

原因

  1. 体幹から股関節周辺の筋肉の柔軟性
  2. 骨盤を支える筋力
  3. 体幹と下肢の動きの協調性

これらの機能がどれか1つでも低下すると、痛みや機能障害が生じて症状が慢性化していきます。
柔軟性、筋力、協調性に問題が生じたまま、無理にプレーを続けると、体幹から股関節周辺の機能障害が生じやすくなります。
また、鼡径部痛症候群は、いろいろな疾患名の総称のためそれぞれの疾患に応じた治療をしなければなりません。

 

股関節周囲筋が原因の痛み

  • 恥骨筋ちこつきん
  • 長内転筋ちょうないてんきん
  • 腸腰筋ちょうようきん
  • 外閉鎖筋がいへいさきん
  • 腹直筋ふくちょくきん
  • 外腹斜筋がいふくしゃきん

などが痛みの原因になることが多いです。

鼠径部の筋肉
鼠径部に付着する筋肉

 

どんな治療があるの?

  1. 患部の安静
  2. 超音波療法
  3. ストレッチ
  4. 運動療法
  5. インソール療法

 

腰椎が原因の痛み

第1・2腰神経根ようしんけいこんが障害されると鼡径部に痛みをおこす可能性があります。
また、腰椎の3番と4番の間、4番と5番の間、5番と仙骨の間の椎間関節障害ついかんかんせつしょうがいでも鼡径部に痛みを起こします。

鼠径部痛症候群神経支配
鼠径部の神経支配

 

 

どんな治療があるの?

  1. 患部の安静
  2. 超音波療法
  3. ストレッチ
  4. 運動療法
  5. 徒手療法

 

骨盤が原因の痛み

恥骨結合ちこつけつごう前仙腸靱帯ぜんせんちょうじんたいというところへの刺激も鼡径部の痛みの原因になります。
股関節を開いた姿勢で痛みが出るのが特徴です。

仙腸関節恥骨結合とは
仙腸関節と恥骨結合とは
パトリックテストとは
パトリックテスト



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どんな治療があるの?

  1. ベルトによる骨盤固定
  2. 超音波療法
  3. ストレッチ
  4. 運動療法
  5. 徒手療法

 

スポーツヘルニアが原因の痛み

鼠径管の後壁が弱体化した状態で腹圧が掛かり、鼠径管やその周囲の組織を圧迫することによって痛みが発生します。
キック動作やランニング、急なステップを繰り返し行うサッカー選手に多く見られ、キック動作が大きく影響していると考えられています。

鼠径部痛症候群痛みの部位
スポーツヘルニアによる鼠径部の痛み

 

どんな治療法があるの?

四肢・体幹の可動性や安定性の問題点を回復させ、体幹~下肢、骨盤周囲を協調的な使い方をトレーニングしていきます。
肩甲帯と骨盤が連動して効果的に回旋する(クロスモーション)ことによって、股関節だけの動作ではなく、肩甲帯~骨盤の有効な回旋力によってキック動作が行われます。

鼠径部痛症候群運動療法
体幹~下肢、骨盤周囲の協調的な身体の使い方

 

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ふくらはぎや太ももの痛み 下肢の筋断裂 (肉ばなれ)の原因や症状と治療法

筋断裂きんだんれつ(肉ばなれ)とは

スポーツなどで筋肉に急に強い収縮力しゅうしゅくりょくがはたらいたとき、自身の筋力に負けて筋肉が断裂だんれつすることをいいます。
いわゆる「肉ばなれ」です。太ももの裏、太ももの前、太ももの内側、ふくらはぎ(テニスレッグ)によく発生します。

 

程度により3つに分類される

筋肉の損傷の程度によって、3段階に分けられます。

  • 度損傷 (軽症)
    筋線維きんせんいの断裂はないが、筋肉の細胞の破壊がみられるもの
  • 度損傷 (中等度)
    部分断裂ぶぶんだんれつであり、一般的に「肉ばなれ」とよばれている完全断裂かんぜんだんれつはしていない。
  • 度損傷 (重症)
    筋肉が完全に断裂しているもの
肉離れの分類
筋断裂(肉離れ)の分類

 

症状

損傷の程度によって症状が異なります。

度損傷 (軽症)

  • 痛みはあるが、自分で歩くことはできる

度損傷 (中等度)

  • 押さえて痛いところがある
  • はれがある
  • 内出血がある
  • ブチッという断裂音を感じた

度損傷 (重症)

  • 激しい痛み
  • 筋肉にへこみができる
  • 自力では歩けない
肉ばなれ後の内出血
肉ばなれ後の血腫

 

原因

満足にウォーミングアップを行なわないことや、体が硬いこと、筋力のバランスが悪いことなどが原因と考えられます。

 

どんな検査をするの?

問診や触診などにより筋断裂が疑われる場合は、次にどの程度筋肉が損傷されているかを調べます。
下図のようにどの角度で痛みが出るかによって、簡易的に調べることができます。
それにより治療方法や完治までの期間、スポーツ復帰までの期間などを判断します。
重症の筋断裂が疑われる場合は、病院でMRIなどの精密検査をする必要があります。

ハムストリングス(太ももの後面)の場合

ハムストリングスの肉ばなれ
ハムストリングスの肉ばなれ 簡易的な重症度分類

 

大腿四頭筋(太ももの前面)の場合

大腿四頭筋の肉ばなれ
大腿四頭筋の肉ばなれ 簡易的な重症度分類

 

ふくらはぎの場合

ふくらはぎの肉ばなれ
ふくらはぎの肉ばなれ 簡易的な重症度分類

重症:膝を曲げてもストレッチで痛む

中等度:膝を曲げていれば痛みが軽い

軽症:ストレッチで痛くない

 

どんな治療があるの?

  1. 患部の安静
  2. 患部の圧迫固定(弾性包帯やサポーター)
  3. 痛みの強い場合はアイシング
  4. 超音波療法ちょうおんぱりょうほう
  5. テーピング
  6. ストレッチ(復帰に向けて)
  7. 筋力トレーニング(復帰に向けて)
  8. Ⅲ度損傷(重症)は手術

 

テーピング

太もも後面の筋断裂(肉ばなれ)対するテーピング法
太もも後面の筋断裂(肉ばなれ)対するテーピング法

 

内出血・はれに対するテーピング

皮下血腫や腫れがある場合のテーピング法(リンパコレクションテーピング)
皮下血腫や腫れがある場合のテーピング法(リンパコレクションテーピング)

キネシオテープという特殊な素材のテープを使い、リンパの流れを改善します。これにより内出血やはれを早期に改善します。

 

超音波療法

筋損傷の程度や深さにより刺激の強さや頻度を調整しながら、超音波により患部に直接刺激を与えます。患部の柔軟性を改善、血流の改善により早期治癒が期待できます。また筋肉の過剰な緊張を抑制できるため、痛みの軽減にも効果的です。また急性期には微細振動により炎症の治癒を早め、腫脹の軽減効果もあります。

 

復帰までの期間

損傷した部分が再生されるのには、おおよそ次の期間がかかります。

  1. 軽度 ⇒ 2週間程度
  2. 中度 ⇒ 1~2ヶ月程度
  3. 重度 ⇒ 3ヶ月以上

競技への完全復帰の目安は

  • 筋肉を伸ばしたときの痛み(ストレッチ痛)がなくなる
  • 押さえたときの痛み(圧痛)がなくなる
  • 抵抗が加わったときの痛みがなくなる

ことが必要条件です。

また、それぞれの競技に応じて、俊敏性や持久力の十分な回復が得られていることも必要です。
ケガをしていない側の80〜90%まで筋力が回復すれば、競技復帰が可能となります。
筋断裂は再発の多いケガです。治療にあせりは禁物です。
復帰を急ぎたい気持ちをおさえて、最後まで治療を続けることが大切です。

 

急なダッシュなどで負傷 骨盤裂離骨折の原因や症状と治療法

裂離骨折れつりこっせつってなに?

筋肉が急激に強い力が働くと、筋肉が骨にくっついている部分を引っぱるように骨折を生じるものが裂離骨折です。したがって、裂離骨折は強い収縮力を発揮する筋肉が骨に付着する部分で発生します。

 

骨盤裂離骨折とは

骨が弱い成長期に発生しやすいスポーツ障害です。
骨盤のなかでも上前腸骨棘じょうぜんちょうこつきょくには大腿筋膜張筋だいたいきんまくちょうきん縫工筋ほうこうきん下前腸骨棘かぜんちょうこつきょくには大腿直筋だいたいちょっきん坐骨結節ざこつけっせつにはハムストリングスという筋肉が付着しています。
これらの筋肉が強い力で収縮すると、骨盤付着部を急激に牽引けんいんするために、骨盤の一部ががれてしまいます。
頻度は上前腸骨棘の裂離骨折がもっとも多く約50%、下前腸骨棘は約30%です。
坐骨結節も10%以上あると考えられます。

骨盤の裂離骨折坐骨結節の裂離骨折上前腸骨棘の裂離骨折下前腸骨棘の裂離骨折
骨盤の裂離骨折とは

 

 

症状

  • 足のつけ根付近に突然の激痛が出現する
  • 走行不能、歩行困難になる
  • 骨折部に圧痛(押さえると痛い)

 

原因

骨盤にある出っ張りは、成長期(13~17歳くらい)にはまだ骨がしっかりと出来上がっておらず、軟骨で出来ています。
そのため筋肉による引っぱる力に耐えられず、引きちぎられるように骨折を起こします。
いずれもスポーツ中に急激に強い引っ張る力がはたらいた場合に起こります。上前腸骨棘は短距離走のスタートダッシュ時、下前腸骨棘はサッカーでのキックやハードルの着地などの際に、坐骨結節は全力疾走やジャンプなどで発生します。

骨盤の裂離骨折
骨盤裂離骨折の好発部位

 

どんな人に多いの?

12~18歳(14~16歳に最も多い)に好発し、筋力の強い男子に多く、ほとんどは右側に発生します。

 

どんな検査をするの?

骨折が疑われた場合、レントゲン検査を行うと、剥れた骨片こっぺんを認めます。
必要に応じてCT検査を行うと、骨片を確認できます。

 

どんな治療があるの?

アイシングを行いながら1~2週間の安静後に松葉杖歩行を行います。
歩行時の痛みがなくなったら関節可動域訓練と筋力トレーニングを行います。
骨の状態をみながら負荷を増やし、8~12週でのスポーツ復帰を目指します。
骨のくっつきは良く、スポーツ活動に支障は少ないため比較的予後は良好です。

 

再発予防

再発予防のためには、骨盤周囲の筋肉や股関節のストレッチを十分に行うことが重要です。

Writter
麻多 聡史 アルコット接骨院院長、柔道整復師、オーソティックスソサエティ認定フットケアトレーナーマスターライセンス、ペディグラス社認定足爪補正士、3M社認定テーピングマイスター、Smart tools認定IASTMマニュアルセラピスト、FMS ,SFMA