膝外側や膝裏の痛みにはさまざまなタイプがあります。それぞれ原因も違えば、治療法も異なります。

症状の特徴からさまざまなタイプの膝関節痛について詳しく解説します。

現在の症状から、ご自身の痛みのタイプを下から選んでください。

あなたの症状の特徴は?

▼症状が当てはまるものをクリックしてください。

長距離ランナーで膝の外側が痛い(腸脛靭帯炎・ランナー膝)

膝の裏の腫れ(ベーカー嚢腫)

膝裏のひっかかりやつまり感(半月板インピンジメント)

歩き始めて、一定時間すると膝の裏が痛い(膝関節後外側回旋不安定性)

 

 

長距離ランナーで膝の外側が痛い 腸脛靭帯炎(別名ランナー膝)の原因や症状、治療法

腸脛靭帯ってなに?

腸脛靭帯ちょうけいじんたいは太ももの外側にある非常に長い組織で、骨盤こつばんとスネの骨をつないでいます。
出発点は大腿筋膜張筋だいたいきんまくちょうきん大殿筋だいでんきんという筋肉と連結しています。
腸脛靭帯自体は筋肉ではなく、筋肉を包む膜(筋膜きんまく)が著しく分厚くなった部分です。

腸脛靭帯とは

腸脛靭帯とは

腸脛靭帯とは

腸脛靭帯と大腿筋膜張筋、大殿筋との関係

 

 

腸脛靱帯炎とは

腸脛靱帯炎はランニングによる膝のスポーツ障害です。ランナー膝とも呼ばれています。
膝の曲げ伸ばしを繰り返すことによって腸脛靱帯が大腿骨外側上顆だいたいこつがいそくじょうかという骨のでっぱりにこすれて炎症を起こし、痛みが発生します。
特にマラソンなどの長距離ランナーに好発します。

腸脛靭帯炎とは

腸脛靭帯炎とは

 

 

腸脛靱帯炎の症状

  • 初期のうちは長距離を走ったあとの膝の外側の痛み
  • 進行すると膝の屈伸をするだけで痛みが生じてランニングは困難となる
  • さらに進行すると歩いたり階段の昇り降りなどでも痛みが現れる
  • 太ももの骨の外側の骨のでっぱりを押さえると痛い
  • 太ももの外側の緊張が強くなる
  • graspingグラスピングテスト陽性(後述)

 

腸脛靱帯炎の原因

太ももの骨には「外側上顆」という骨の突出部分があります。
膝を伸ばした状態ではこの突出部に対して腸脛靭帯は前方に位置していますが、
膝を曲げていくと腸脛靭帯は突出部の後方に移動します。
腸脛靱帯炎は、この外側上顆と腸脛靭帯の間で過剰な摩擦が生じておこる疾患です。

腸脛靭帯の摩擦

外側上顆と腸脛靭帯の摩擦

 

腸脛靱帯炎の検査

腸脛靭帯を手で押さえながら膝を曲げ伸ばしすることで痛みが誘発される(graspingテスト)場合は腸脛靱帯炎が疑われます。
また体重をかけた状態で膝を曲げ伸ばしするテストも行います。
この際、つま先をまっすぐ前に向けた状態、外側に向けた状態、内側に向けた状態で痛みの有無、強さの違いを比べます。

graspingテスト

腸脛靭帯炎の検査 graspingテスト

 

 

腸脛靱帯炎の治療法

  1. 患部の安静・アイシング
  2. 鎮痛処置:湿布や超音波治療など
  3. テーピング
  4. ストレッチ
  5. 徒手療法
  6. 運動療法
  7. インソール療法

 

腸脛靱帯炎に対するストレッチ

腸脛靱帯炎では、腸脛靭帯の緊張が非常に高いケースが多いため、腸脛靭帯に付着する筋肉のストレッチが必要です。
腸脛靭帯に付着し、腸脛靭帯の緊張を高めてしまう筋肉は次の通りです。

  1. 大腿筋膜張筋
  2. 大殿筋
  3. 中殿筋ちゅうでんきん小殿筋しょうでんきん
  4. 外側広筋がいそくこうきん
大腿筋膜張筋のストレッチ

大腿筋膜張筋のストレッチ

靴合わせ・インソール療法

腸脛靭帯炎の症例では、O脚姿勢やつま先が内側を向いている方が多くみられます。
他の治療と並行しながら、靴とインソールで悪い動きを修正すると治りも早く、再発予防にも効果的です。

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膝の裏の腫れ ベーカー嚢腫の原因や症状、治療法

ベーカー嚢腫のうしゅとは

膝の周りには滑液包かつえきほうといわれる袋が10数個あるといわれています。滑液包とは、けん靱帯じんたいに摩擦がかかるのを軽減するための潤滑油が入った袋のことです。滑液包で炎症が起こると、袋の中に水が溜まり腫瘤しゅりゅうを形成します。特に膝の裏で起こった滑液包の炎症ことをベーカー嚢腫と呼びます。50歳代の女性に好発します。

ベーカー嚢腫2

ベーカー嚢腫とは

ベーカー嚢腫の症状

通常は痛みはあまりなく、膝の裏の腫れているため膝を曲げると圧迫されたり違和感を感じる程度の症状です。
しかし腫れが大きくなると、痛みが強くなったり、滑液包が破裂し静脈炎じょうみゃくえんを起こすこともあります。

 

ベーカー嚢腫の原因

膝の裏側にある内側腓腹筋滑液包ないそくひふくきんかつえきほう半腱様半膜様筋滑液包はんけんようはんまくようきんかつえきほうという滑液包に炎症が起こり発症します。
関節リウマチ、変形性関節症へんけいせいかんせつしょう、膝の使いすぎなどからも起こりますが、原因がはっきりせず炎症を起こすこともあります。

ベーカー嚢腫

ベーカー嚢腫とは

 

ベーカー嚢腫の治療法

強い痛みなどがなければ治療の必要はありません。
膝関節の曲げ伸ばしに制限があったり強い痛みがある場合には、病院で注射器を使って中の液体を抜いてもらいます。
変形性膝関節症の炎症による場合はそちらの治療も行わなければなりません。

 

靴合わせ・インソール療法

足のゆびが地面についていない状態のことを、「浮き趾うきゆび」といいます。
浮き趾の影響で、歩くときに足先が外方向へ流れるわるい歩き方をしてしまい、体重が後ろに片寄るようになってきます。
体重が後ろに片寄ると膝が反ってしまったり、変形性膝関節症の原因になったりします。
靴とインソールで悪い動きを修正すると痛みの軽減も早く、再発予防にも効果的です。

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詳しくは、オーダーメイドインソールの作製のページをご覧ください。

 

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膝裏のひっかかりやつまり感 半月板インピンジメントの原因や症状、治療法

半月板ってなに?

こちらのページに詳しく記載してあります。

詳しくは、半月板損傷のページをご覧ください。

 

半月板インピンジメントとは

膝を曲げたり伸ばしたりするときに、太ももの骨とすねの骨の間で半月板がはさみ込まれて痛みが出ることをいいます。

膝裏のつまり感

半月板インピンジメント 膝裏のつまり感

半月板インピンジメントの症状

  • 膝を伸ばしたときには膝の前方で、膝を曲げたときには膝の後方で、いわゆる「奥歯に物が挟まったような」痛みを生じます
  • 膝が伸びきらない
  • 正座ができない

 

半月板インピンジメントの原因

半月板は膝の曲げ伸ばしに伴って、前後に動きます。
しかし、半月板は軟骨なんこつのような組織なので動かそうと思って動かすことができるわけではありません。
では、どのように動くかというと、膝の周りの筋肉や靱帯じんたいに引っ張られたり押し出されたりして二次的に動くわけです。
この半月板の前後移動が障害されると、膝の曲げ伸ばしのときに半月板がはさみ込まれてしまいます。

 

膝を伸ばして前が痛いのは?

膝を伸ばしたときに半月板が前方に移動する仕組みには3つのメカニズムが関与しています。
これらのメカニズムのいずれかが破綻しても膝を伸ばしたときの痛みの原因になります。

1つめのメカニズム

半月板の移動

半月板が前に移動するメカニズム

①膝の皿が上に持ち上がる

②靭帯が半月板を引っ張る

③半月板が前方に移動

 

2つめのメカニズム

半月板が前に移動するメカニズム

半月板が前に移動するメカニズム

膝をのばしていくと、膝の皿の下の脂肪体が形を変え半月板が前に動けるスペースを作る。

 

3つめのメカニズム

半月板の移動

半月板が前に移動するメカニズム

膝の裏を支える靭帯が緊張し、半月板を前に押し出す。

 

膝を曲げて後ろが痛いのは?

膝を曲げたときに半月板が後方に移動する仕組みには3つのメカニズムが関与しています。
これらのメカニズムのいずれかが破綻しても膝を伸ばしたときの痛みの原因になります。

1つめのメカニズム

半月板の移動

半月板が後ろに移動するメカニズム

内側の半月板に付着する筋肉(半膜様筋)が後ろに引っ張る

2つめのメカニズム

半月板の移動

半月板が後ろに移動するメカニズム

外側の半月板に付着する筋肉(膝窩筋)が後ろに引っ張る

3つめのメカニズム

半月板の移動

半月板が後ろに移動するメカニズム

膝の裏を支える靭帯が緩み半月板が後ろに移動するスペースを作る

 

半月板インピンジメントの治療法

  1. 運動療法・リハビリテーション
  2. 徒手療法
  3. 超音波療法
  4. テーピング

 

 

超音波療法

膝関節の中に超音波を直接照射することにより関節の中の循環を良くし、血流の改善させることにより痛みの緩和が期待できます。
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歩くと膝の裏が痛い 膝関節後外側回旋不安定性の原因や症状、治療法

膝関節後外側回旋不安定性とは

膝関節の後外側回旋不安定性こうがいそくかいせんふあんていせいとは、膝の裏の外側を支える靱帯などが損傷することにより膝が不安定になってしまう疾患です。
英語でpostero-lateral rotatory instabilityポステロラテラルローテーショナリーインスタビリティというため、頭文字をとってPLRIとも呼ばれます。

膝関節の構造

膝関節後外側回旋不安定性とは

 

膝関節後外側回旋不安定性の症状

  • 歩き始めて、一定時間すると痛みが出てくる
  • 歩いているとき、足がついて片足立ちになる瞬間の膝が伸びる局面で痛みが出る
  • 膝の裏の筋肉である膝窩筋を押さえると痛い(後述)
  • 膝が内側に入り、つま先が外を向く特徴的な姿勢をとることが多い

 

膝関節後外側回旋不安定性の原因

膝の裏の外側を補強する組織は、膝窩筋しつかきんという膝の裏の筋肉のけんをはじめ、
いくつかの靱帯じんたいで構成されています。これらのゆるみは不安定性の原因となります。

膝窩の構造

膝裏の構造

 

なぜ膝の裏が痛くなるの?

後外側回旋不安定性が存在すると、膝が外側にねじれる方向に動き過ぎてしまいます。
そのため、歩いたり走ったりするときに、膝が過剰にねじれるのを防ごうと膝の裏の筋肉(膝窩筋)が強く収縮してそれに抗します。
こうした状態を続けていると、膝窩筋のれや微細損傷びさいそんしょうを引き起こし、痛みが生じます。

膝窩の構造

膝窩筋の走行

膝関節後外側回旋不安定性の検査

  1. 外旋反張がいせんはんちょうテスト
  2. 後外側こうがいそく引き出しテスト
  3. リバース・ピボット・シフトテスト
  4. レバースジャークテスト
  5. ダイアルテスト
    などで膝の裏の外側の不安定性を検査します。
膝関節後外側不安定性外旋反張テスト

膝関節後外側不安定性 外旋反張テスト

①外旋反張テスト

膝関節後外側不安定性後外側引き出しテスト

膝関節後外側不安定性 後外側引き出しテスト

②後外側引き出しテスト

膝関節後外側不安定性

膝関節後外側不安定性 リバースピボットシフトテスト

③リバースピボットシフトテスト

膝関節後外側不安定性リバースジャークテスト

膝関節後外側不安定性 リバースジャークテスト

④リバースジャークテスト

ダイヤルテスト

膝関節後外側不安定性 ダイヤルテスト

⑤ダイヤルテスト

 

膝関節後外側回旋不安定性の治療法

  1. 患部の安静
  2. 運動療法
  3. 超音波療法
  4. テーピング
  5. インソール療法

 

膝関節後外側回旋不安定性に対するテーピング

膝関節後外側不安定性に対するテーピング

膝関節後外側不安定性に対するテーピング①

①アンカーテープ(黒)を膝の上下に巻きます。

膝関節後外側不安定性に対するテーピング

膝関節後外側不安定性に対するテーピング②

②膝の外側から内側に向けてアンカーテープ(赤)を巻きます。

 

膝関節後外側不安定性に対するテーピング

膝関節後外側不安定性に対するテーピング③

③外側から内側に向けてのスパイラルテープ(赤)だけでは、バランスが悪くなる恐れがあるので、反対方向にもスパイラルテープ(水色)を巻きます。基本的には、外側からのテープ(赤)を多めに巻きます。(例:赤2本、水色1本)

 

膝関節後外側不安定性に対するテーピング

膝関節後外側不安定性に対するテーピング④

④アンカーテープ(黒)を巻いて完成。

 

靴合わせとインソール療法

膝関節後外側回旋不安定性をもつ方の多くは、歩く際に過剰にすねの骨が外側にねじれてしまいます。
インソールを用いてスムースな体重移動が行えるようにコントロールしていきます。

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Writter
麻多 聡史  金沢市のアルコット接骨院院長、柔道整復師、オーソティックスソサエティ認定フットケアトレーナーマスターライセンス、ペディグラス社認定足爪補正士、3M社認定テーピングマイスター、Smart tools認定IASTMマニュアルセラピスト、FMS ,SFMA