殿部や太ももの痛み・しびれにはさまざまなタイプがあります。それぞれ原因も違えば、治療法も異なります。

症状の特徴からタイプ別にさまざまな疾患について詳しく解説します。現在の症状から、ご自身の痛みのタイプを選んでください。

殿部~太ももの痛み・しびれを起こす4疾患

▼症状が当てはまるものをクリックしてください。

お尻の痛みや足のしびれ(梨状筋症候群)

太もものしびれ(大腿外側皮神経障害)

お尻のしびれ(上殿皮神経障害)

あぐらをかくとお尻が痛い(仙腸関節障害)

お尻の痛みやしびれ   梨状筋症候群の原因や症状、治療法

梨状筋症候群りじょうきんしょうこうぐんとは

梨状筋りじょうきんとはお尻にある筋肉の一つです。その筋肉の真下を坐骨神経ざこつしんけいが通ります。
坐骨神経は、腰や仙骨せんこつから始まり足までいたる長い神経です。
何らかの原因で梨状筋が硬くなるとその下の坐骨神経は絞めつけられてしまい、坐骨神経に沿った痛みを引き起こします。

梨状筋と坐骨神経の位置関係

梨状筋と坐骨神経の位置関係

梨状筋症候群の症状

  • お尻や太もも後面の鋭い痛み
  • お尻や太もも後面のしびれ
  • ふくらはぎや足先にまで痛みやしびれが出現することもある
  • 前かがみになると、足がしびれる
  • 長時間座っていると痛みやしびれが悪化する
  • 横向きに寝ると症状が悪化する

梨状筋症候群の原因

梨状筋が硬くなってお尻から太もも後面、足に痛み・しびれを引き起こすメカニズムは大きく分けて3つあります。

  1. 梨状筋の過緊張による神経・血管の圧迫
  2. 梨状筋にあるトリガーポイントの活性による筋膜性関連痛きんまくせいかんれんつう
  3. 梨状筋の過緊張かきんちょうによる引き起こされる仙腸関節せんちょうかんせつ機能障害きのうしょうがい

なぜ梨状筋が硬くなるの?

梨状筋が硬くなる原因はたくさんあります。

  1. 打撲などで直接お尻をぶつける
  2. 長時間座っている
  3. 長時間立っている
  4. スポーツなどで過剰な負荷がお尻にかかる

梨状筋症候群の検査

梨状筋をあえて緊張させることで痛みの有無を検査します。これらのテストをしてお尻~足に痛みが出る場合には、梨状筋症候群が疑われます。

梨状筋症候群検査画像

梨状筋症候群の検査

梨状筋症候群の治療法

  1. 患部の安静
  2. 超音波療法
  3. ストレッチ
  4. 徒手療法
  5. 運動療法
  6. 筋膜治療

梨状筋の過緊張に対する治療

まず始めに、硬くなった梨状筋の緊張をとる必要があります。
筋肉の緊張を取り除くには、反復収縮はんぷくしゅうしゅくというテクニックを用います。
筋肉は正しく収縮した後は必ずリラックスして緩むという性質を利用したものです。
梨状筋の緊張がとれたら、次に坐骨神経が梨状筋の下をきれいに動けるように滑走性かっそうせいを高める治療をしていきます。



(図;関節機能解剖学に基づく 整形外科運動療法ナビゲーションより引用)

トリガーポイントってなに?

腰やお尻などの筋肉は、疲労や血行不良などが続くと強く緊張して硬いこわばりができます。
このこわばりの中に、とくに硬く、押さえると飛び上がるほどの痛みを発するポイントができます。
これが『トリガーポイント』です。『トリガーポイント』は、その周囲だけでなくそこから遠い部分にも痛み、しびれ、重だるさを発生させる特徴を持ちます。これを「筋膜性関連痛」といいます。

梨状筋トリガーポイント

梨状筋のトリガーポイント

梨状筋症候群に対する筋膜リリース

梨状筋症候群では、梨状筋と坐骨神経の間でのすべりが悪くなってしまうことが問題となることがあります。
梨状筋が硬くなり他の組織と癒着してしまいます。これまでの治療法(消炎鎮痛剤・従来の電気治療)では、このような癒着による痛みには効果が低いことがわかってきました。
海外の治療法として、IASTM(Instrument-Assisted Soft-Tissue Mobilization)が主流になってきました。
IASTMは癒着障害を治療できる全く新しい治療ツールです。

梨状筋周囲の組織の癒着を剥離するにはIASTMを使用します。

梨状筋周囲の組織の癒着を剥離するにはIASTMを使用します。

関連記事
詳しくは、最先端の筋膜治療 IASTMのページをご覧ください。

梨状筋症候群に対する超音波療法

梨状筋は深層筋であるため深部を刺激する超音波治療が適しています。高速度ミクロマッサージで、患部に刺激を与えます。患部の柔軟性を改善、血流の改善による痛みの緩和、筋肉の緊張軽減などに効果的です。

お尻の衰えが全ての始まり

お尻のもっとも表層にあるのが「大殿筋」という筋肉です。梨状筋は大殿筋のさらに深層にあります。
大殿筋の役割は、足を後ろに振り上げることです。現代の生活において、デスクワークが極端に増えてしまい、大殿筋を使うことが少なくなりました。
大殿筋は徐々に機能しなくなり、機能不全に陥ります。そうする大殿筋の担ってきた仕事は、さらに深層にある梨状筋が肩代わりしなければなりません。
このようなメカニズムで梨状筋は硬くなり、その下を通る坐骨神経を絞めつけてしまいます。

梨状筋と大殿筋の位置関係

梨状筋は大殿筋の深層に位置します

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太もものしびれ 股関節周囲の皮神経障害の原因や症状、治療法

太もものしびれの原因になる大腿外側皮神経障害だいたいがいそくひしんけいしょうがいとは

大腿外側皮神経という、大腿の外側の皮膚の感覚を伝える神経の障害です。
この神経は、骨盤に入るところで折れ曲がり方向を変えるので、このポイントで上から靭帯で押さえられたり、ベルトなどで外から圧迫されやすいのです。
この神経は、筋肉に行く枝はないので運動のマヒは起こりません。

外側大腿皮神経とは画像

外側大腿皮神経障害とは

大腿外側皮神経障害の症状

  • 鼠径部そけいぶ(太ももの付け根)辺りから太ももの外側にかけての広い範囲の痛みやシビレ
  • 筋肉のマヒは一切伴わない
  • 鼠径部を指で押さえると症状が強くなる

大腿外側皮神経障害の原因

大腿外側皮神経が鼠径靭帯そけいじんたい(骨盤の前面に張る靭帯)の下を通る際に絞めつけ、圧迫されることが原因でおこります。
締めつけの強いパンツやジーンズなどを履いたり、肥満や腫瘍による圧迫、股関節まわりの骨折や脱臼だっきゅうなどの外傷、妊娠などをきっかけに発症します。

大腿外側皮神経障害の検査

鼡径部を押さえると症状が再現される場合は、大腿外側皮神経の障害が考えられます。
また、大腿外側皮神経を伸張させることでも症状の再現がみられます。
きつめのジーンズを履いたなど原因を自覚していれば問題ないのですが、原因がはっきり思い当たらない場合は腫瘍による圧迫が考えられるので病院で検査が必要です。

FNSテスト画像

大腿神経伸展テスト

大腿外側皮神経障害の治療法

  1. 圧迫されている原因の除去
  2. 超音波療法
  3. ストレッチ
  4. 腫瘍によるものは手術

圧迫の原因を取り除く

長い時間座っていることは避けます。また、体重によって症状が出ることも多いため、減量が必要なこともあります。
きついズボンやポケットに沢山の荷物を入れる事も、症状を悪化させるため避けた方がよいでしょう。

神経の下にある腸腰筋ちょうようきん

「腸腰筋」という筋肉は大腿外側皮神経の下を走ります。
大腿外側皮神経はこの腸腰筋と鼡径靱帯に挟まれるような位置関係にあります。
そのため腸腰筋が硬くなったり緊張したりすると、大腿外側皮神経は逃げ場を失い、筋肉と靱帯の間で圧迫されてしまいます。

外側大腿皮神経と腸腰筋の関係

外側大腿皮神経と腸腰筋の位置関係

お尻のしびれの原因 上殿皮神経障害とは

お尻の皮膚感覚を伝える上殿皮神経じょうでんひしんけいが、骨盤の「腸骨稜」を乗り越える際に、腸骨とその表面に付着する筋肉を包む「筋膜」との間に挟まれ、神経が締め付けられることで発症します。
上殿皮神経障害は腰痛の12%ほどを占めるという説もあります。

上殿皮神経とは画像

上殿皮神経とは

上殿皮神経障害の症状

  • 腰の真中から7~8cm外側あたりの痛み
  • おしりの痛み、しびれ
  • 腰をひねる、反らす、しゃがむ、長時間の座位・立位・歩行で症状が強くなる

上殿皮神経障害の原因

原因は今のところ明らかにされていません。
比較的高齢者に多いことから、加齢による可能性がいわれています。

大腿外側皮神経障害の検査

骨盤の上縁で、背骨から 7㎝ほど外方に圧痛があることを確認します。
ここを押さえると放散するような痛みが出ることがあります。
また、腰をかがめたり反らせたりして痛みが出るか、長時間歩行して痛みが出るかなども重要な症状です。

上殿皮神経

上殿皮神経障害のしびれの場所

大腿外側皮神経障害の治療法

  1. 圧迫されている原因の除去
  2. 超音波療法ちょうおんぱりょうほう
  3. 腰背部ようはいぶの筋肉のストレッチ
  4. 筋膜リリース
  5. 症状が強いものは上殿皮神経ブロック注射

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Writter
麻多 聡史 アルコット接骨院院長、柔道整復師、オーソティックスソサエティ認定フットケアトレーナーマスターライセンス、ペディグラス社認定足爪補正士、3M社認定テーピングマイスター、Smart tools認定IASTMマニュアルセラピスト、FMS ,SFMA