骨盤を整えるエクササイズを3回に渡り紹介してきました。

そもそもこれらのエクササイズは何のために行うのか?

今回はその理由について紹介します。

膝や股関節、腰、肩などに痛みがある方にはある特定の制限があることが多くあります。

どちらかの体幹の回旋に制限があったり、片側の肋骨がボッコリ飛び出ていたり(リブフレア)、肩の可動域に差があったり、片側の肩が下がっていたり。

これらの症状に関係する姿勢のパターンの一つにレフトAICパターンというものがあります。

このレフトAICパターンというのは、PRI(Postural Restoration Institute)の概念の一つです。

今回は、このレフトAICパターンについてご紹介したいと思います。

PRIのコンセプト

PRIのコンセプトとして、そもそも人間の身体は左右対称の構造をしていないということです。

それは運動器系、循環器系、呼吸器系、神経系、視覚器系は左右非対称の構造になっています。

心臓が左寄りで、肝臓が右側にあることでバランスが保たれていることからもわかります。

AICとは

AICというのは、アンテリア・インテリア・チェイン(Anteior Interior Chain)の頭文字をとったもので、体幹、胸郭、腰椎、骨盤、大腿部をつなぐ役割を持ちます。

横隔膜、大腰筋、腸骨筋、大腿筋膜張筋、外側広筋、大腿二頭筋は、いくつもの関節をまたぎながら連鎖して一つの繋がりを持っています。この繋がりは左右に一つずつあります。

アンテリア・インテリア・チェイン(前から見た図)

左のアンテリア・インテリア・チェイン(前から見た図)

アンテリア・インテリア・チェイン(後ろから見た図)

左のアンテリア・インテリア・チェイン(後ろから見た図)

アンテリア・インテリア・チェイン(左右に1つずつあります)

アンテリア・インテリア・チェイン(左右に1つずつあります)

AICの働き

これらの筋肉は第7〜12肋骨、腰椎、骨盤、大腿骨、膝蓋骨の外側、腓骨頭、脛骨に付着し、腹壁の活動を高めたり、体幹を曲げたり回旋したりする一連の動作をこのAICという筋肉の連鎖した繋がりが担っています。

右のAICと左のAICが交互にバランスよくONとOFFを繰り返すことできれいな動作を行うことが出来ます。

AICの働き

AICの働き

 

レフトAICパターンとは

レフトAICパターンとは、左右のアンテリア・インテリア・チェイン(AIC)のうち左のAICだけが過活動を起こした状態をいいます。

本来であれば下記の振り子のように、左右のAICが交互にONとOFFを繰り返しながら、動作を行うのが理想的です。

左のAICがONになっているときは、右のAICはOFFになっている必要があるということです。

左右のアンテリア・インテリア・チェインが均等に機能する理想的な状態

左右のアンテリア・インテリア・チェインが均等に機能する理想的な状態

レフトAICパターンでは、このバランスが崩れ、左側のAICのスイッチだけが入りっぱなしになってしまい、振り子が左側に大きく触れてしまいます。

決して「レフトAIC」が悪いわけではなく、レフトAICが過剰に働いた状態がパターン化してしまい、レフトAICから抜け出せなくなってしまう、いわゆる「レフトAICパターンにハマった状態」が良くないわけです。

左右のAICのバランスが崩れた状態

左右のAICのバランスが崩れた状態

レフトAICパターンに陥ると

レフトAICが過活動を起こすと、左の寛骨が前傾・前方回旋を起こします。仙骨は右斜軸で回旋し(後述)、腰部は右回旋しながら伸展します。左の肋骨は外旋し(リブフレア)、左の横隔膜は過剰に緊張します。

レフトAICパターンに陥ると・・・

レフトAICパターンに陥ると・・・

レフトAICパターンに陥ると・・・

レフトAICパターンに陥ると・・・

ちょっと難しくなってきましたが、仙骨の話を少々。

仙骨の斜軸とは

仙骨の斜軸とは

仙骨には垂直方向の軸と水平方向の軸以外に斜軸という斜めに走る仮想の軸が存在します。

この右斜軸で仙骨が回旋すると腰椎もともなって右回旋を起こします。

仙骨が右斜軸で回旋すると

仙骨が右斜軸で回旋すると

左のAICが過活動を起こすと、寛骨の前傾・前方回旋に伴いこの仙骨の右斜軸での回旋が起こり、腰椎の右回旋も同時に起こります。

結果的にこのような典型的な姿勢が出来上がります。

レフトAICパターンの姿勢

レフトAICパターンの姿勢

 

骨盤~体幹が歪みやすい理由

98%の人がレフトAICパターンだと言われるくらい人間はレフトAICパターンに陥りやすいです。

その理由として挙げられるのは、筋肉の連鎖の一つ「横隔膜」です。

横隔膜は胸腔と腹腔を隔てる膜様の筋肉で、肋骨、胸骨、腰椎に付着しています。

この横隔膜が腰椎に付着する部位で、下図のように右側の横隔膜の方が長くできています。このため右側の横隔膜の方が強く働き、腰椎は右に回旋しやすい傾向があります。

横隔膜の腰椎付着部の左右差

横隔膜の腰椎付着部の左右差

また、右の横隔膜の下には肝臓が位置しており、下から押し上げています。これにより右の横隔膜はドーム形状に復元しやすくなっています。

右の横隔膜の下には肝臓がある

右の横隔膜の下には肝臓があるため横隔膜を下から支えることが出来る

右横隔膜はドーム形状に復元しやすい

右横隔膜はドーム形状に復元しやすい

横隔膜がドーム状 = 非収縮状態 = 休んでいる状態 = 吐いている状態 =肋骨が下がっている

横隔膜が平らな状態 = 収縮状態 = 働いている状態 = 吸っている状態 = 肋骨が上がっている

ですから、左側の横隔膜は常に働いている状態でいることが多く、胸腔には空気が残り、反対に腹腔には伸ばされ弱くなりやすい傾向にあります。

さらにそもそもが右の横隔膜は左の横隔膜よりも大きく強い構造にあります。

横隔膜は左側より右側が大きい

横隔膜は左側より右側が大きい(横隔膜を上から見た図)

日常生活での体の使い方の偏りやスポーツなどで片側を極端に使った結果、そもそも左右非対称である身体が更に左右非対称を助長させてしまいます。

この左右非対称をくい止めて修正するのがPRIのエクササイズの目的です。

骨盤・体幹のゆがみ「レフトAICパターン」の修正エクササイズ

レフトAICパターンにハマってしまった骨盤を整えるエクササイズがリポジショニング・エクササイズです。

左のハムストリングス、左のイシオコンダイラー・アダクター、右の大殿筋の活性化を狙ったエクササイズです。

イシオコンダイラー・アダクターというのは、大内転筋の中でも坐骨結節から内側顆に付着する部分のことです。
大内転筋には垂直方向に走る線維と斜め方向に走る線維があり、PRIでは垂直方向に走る線維のことをイシオコンダイラー・アダクターとして分けて考えています。

イシオコンダイラーアダクター

大内転筋は2つの線維に分類出来る

大内転筋の縦走線維と斜走線維

大内転筋の縦走線維と斜走線維

イシオコンダイラーアダクター

イシオコンダイラーアダクター

レフトAICパターンにハマってしまった大腿〜骨盤を修正するエクササイズ