
巻き爪の原因は?
靴・歩き方・足の形から専門家が詳しく解説

巻き爪は、爪だけを見ていても原因がわからないことがあります。
「靴がきついから」「爪を短く切ったから」と説明されることが多いものの、実際にはそれほど単純ではありません。
巻き爪には、
- 靴や靴下による圧迫
- 足趾や足の形
- 立ち方・歩き方
- 足趾に加わる荷重の不足
- 爪白癬や外傷など爪そのものの異常
- 活動量や筋力の低下
- 加齢や全身疾患
- 遺伝的な要素
など、さまざまな要因が関係します。

巻き爪はなぜ起こるのか
爪に加わる「力のバランス」
巻き爪を理解するうえで重要なのが、爪にどのような力が加わっているかという視点です。
足の爪には、もともと内側へ湾曲しようとする性質があり、歩行時に足趾の腹から加わる上向きの力とのバランスによって爪の形が保たれているという力学的な考え方があります。
通常は、爪が内側へ湾曲しようとする力と、立位・歩行時に地面から加わる力が釣り合っています。
ところが、
- 母趾が地面についていない
- 歩行量が極端に少ない
- 痛みのため母趾を浮かせて歩いている
- 足の変形によって母趾に正しく荷重できない
- 寝たきりや車椅子などで足趾に力が加わらない
といった状態では、足趾の底側から加わる力が不足します。
その結果、爪に加わる力のバランスが変化し、爪の湾曲が強くなる可能性があります。

原因① 靴による圧迫
巻き爪の原因としてまず確認したいのが、靴による圧迫です。
特に
- つま先が細い靴
- サイズが小さい靴
- 足幅に合っていない靴
- 指先に余裕のないパンプス
- 爪の上から強く押さえる靴
では、爪や爪の横の皮膚に繰り返し力が加わります。

靴の中で足が前に滑ると爪に負担がかかる
サイズが大きすぎる靴、足の甲が低くアッパーとの間に隙間がある靴、踵が小さくヒールカップに合っていない靴、足幅に対して幅が広すぎる靴では、靴の中で足を十分に固定できません。
そのため歩くたびに足が靴の中で前へ滑る「前滑り」が起こります。
前滑りすると、足趾が靴の先端にあるトゥボックスへ繰り返し衝突します。すると爪や爪の周囲に圧迫や摩擦が加わり、巻き爪、爪甲剥離、爪下出血、爪の肥厚や変形などにつながることがあります。
つまり、靴選びでは単に「サイズが大きい・小さい」だけでなく、足長・足幅・甲の高さ・踵のフィットまで確認することが重要です。

靴下やタイツによる圧迫にも注意
ストッキング、タイツ、靴下などでも、サイズが小さかったり締め付けが強かったりすると、足趾が横方向から圧迫されます。
五本指靴下や足袋そのものが悪いわけではありません。重要なのは、自分の足趾の長さや幅に合っているかどうかです。

原因② 足の変形
外反母趾など
巻き爪では、爪だけでなく足趾の向きも確認します。代表的なのが外反母趾です。
外反母趾では母趾が第2趾側へ曲がるだけでなく、母趾そのものが回旋していることがあります。その状態で立ったり歩いたりすると、母趾の腹全体へ均等に力が加わらず、母趾の一部分へ荷重が集中します。
さらに、第2趾が母趾に乗り上げたり、母趾を横から圧迫したりすると、爪や側爪郭にも力が加わります。このような場合、問題は単純に「靴が爪を押している」だけではありません。足趾そのものの向きが変化し、爪に加わる力の方向まで変わっていることがあります。
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外反扁平足
巻き爪を繰り返す場合には、母趾だけでなく足全体のアラインメントも確認します。その一つが外反扁平足です。
外反扁平足では、
- 踵が外側へ倒れる
- 足の縦アーチが低下する
- 前足部が広がる
- 横アーチも低下する
- 母趾の向きや回旋が変化する
といった変化が起こります。その結果、母趾が本来の位置で地面へ接触しにくくなり、歩行時の荷重が偏ることがあります。
力学的には、外反扁平足→踵骨外反・開張足→母趾の向きや回旋が変化→母趾への荷重が変化→爪に加わる力が偏るという流れを考えます。
ただし、扁平足があれば必ず巻き爪になるわけではありません。足の形だけで判断せず、実際に立ったとき・歩いたときに母趾へどのように力が加わっているかを見ることが重要です。

凹足
扁平足とは反対に、足のアーチが高い「凹足」や凹足傾向の足でも、爪への力が偏ることがあります。アーチが高い足では接地面積が小さくなり、踵や前足部など特定の場所へ荷重が集中します。
その結果、凹足傾向→接地面積の減少→前足部への荷重集中→足趾を使ったバランス調整が増える→母趾や第2〜5趾の使い方が変化→爪への力が変化という状態が起こることがあります。
第2〜5趾を強く曲げながら歩くようになると、爪の先端が靴や地面へ繰り返し当たり、爪甲肥厚や爪変形につながることもあります。「アーチが低い足だけが問題」というわけではありません。

浮き指・足趾への荷重不足
母趾が地面についていない「浮き指」も、巻き爪を考えるうえで重要です。歩行時に母趾が地面へ接触しなければ、母趾の底側から爪へ伝わる力も少なくなります。
また、
- 足の痛み
- 外反母趾
- タコやウオノメ
- 関節の硬さ
- 足趾の変形
- 合わない靴
などがあると、無意識に痛い部分を避けて歩くようになります。その結果、母趾への荷重がさらに減少することがあります。

ハンマートウ・クロウトウなど足趾の変形
母趾以外の爪では、ハンマートウやクロウトウなどの足趾変形も重要です。足趾の関節が曲がった状態になると、爪の先端や上面が靴へ当たりやすくなります。
歩くたびに繰り返し圧迫されることで、
- 爪が厚くなる
- 爪が変形する
- 爪が浮く
- 爪が湾曲する
などの変化につながります。特に第2〜5趾の厚い爪や変形した爪では、爪だけを削るのではなく、なぜその指だけ繰り返し靴へ当たっているのかを確認することが重要です。

爪や足趾そのものの形
爪や足趾の形には大きな個人差があります。
たとえば、
- 横幅が広い爪(オーバーサイズネイル)
- 薄い爪
- 母趾が長い足
- 第2趾が長い足
- 母趾が短い足
- 末節骨の形態に特徴がある足
などです。
これらの形が直接巻き爪を起こすとは限りませんが、靴との接触や地面から受ける力が変化するため、巻き爪や陥入爪を繰り返す背景要因になることがあります。

オーバーサイズネイルとは
爪の横幅が足趾の幅に対して大きい状態を、オーバーサイズネイルと表現することがあります。このタイプでは、爪がそれほど巻いていなくても爪の両端が側爪郭へ入り込みやすくなります。
そのため、「爪が巻いているから皮膚に刺さる」のではなく、「爪の横幅が広いため皮膚と干渉している」場合があります。
巻き爪矯正で爪を平らにすると、かえって爪幅の広さが目立ち、第2趾や側爪郭と干渉するケースもあります。

原因③ 歩行量や筋力の低下
歩行量・活動量の低下
歩く量が大きく減ったことも確認します。
たとえば、
- 長期間の入院
- 寝たきり
- 車椅子生活
- 外傷後の安静
- 高齢による活動量低下
- 下肢の麻痺
などです。
こうした状態では、足趾が地面から受ける力そのものが少なくなります。長期間ほとんど足趾に荷重しない状態では、爪の形を維持している力学的な環境も変化すると考えられています。

体幹・下肢の筋力低下
爪から離れた場所も関係することがあります。体幹や下肢の筋力が低下すると、立位や歩行時のバランスが変化します。
その結果、
- 母趾まで体重を移動できない
- 前足部への荷重が偏る
- 足趾を浮かせて歩く
- 外側ばかりに荷重する
など、足底へ加わる力が変化することがあります。
特に、「入院後から巻きが強くなった」「けがをして歩き方が変わってから爪が巻いてきた」という場合には、爪だけでなく身体全体の使い方も確認する必要があります。

原因④:爪そのものに原因がある場合
爪白癬などの爪疾患
爪そのものの病気によって巻き爪様の変形が起こることがあります。代表的なのが爪白癬、いわゆる爪の水虫です。
爪白癬では、
- 爪が厚くなる
- 黄色や白色に変色する
- 爪がもろくなる
- 表面が崩れる
- 爪床から爪が浮く
- 爪全体が変形する
などの変化が起こります。
爪が厚く変形すると、靴にも当たりやすくなります。また、爪白癬以外にも乾癬などによって爪甲が変形することがあります。急に爪が厚くなった、色が変わった、ボロボロになってきた場合には、単なる巻き爪と判断しないことが重要です。
※爪白癬が疑われる場合には、皮膚科などの医療機関で検査を受ける必要があります。

爪甲剥離
爪甲剥離とは、爪がその下にある爪床から浮いた状態です。
原因には、
- 足趾を強くぶつける
- 靴の中で繰り返し爪先が当たる
- スポーツによる反復外傷
- 爪白癬
- その他の爪疾患
などがあります。
爪床と爪甲の接着が失われると、爪が正常な形態を保ちにくくなり、その後に爪の湾曲が強くなることがあります。そのため、爪が巻いている部分だけを見るのではなく、爪が爪床へ正常に付着しているかも確認します。

外傷・繰り返す小さな衝撃
大きなけがだけが外傷ではありません。
スポーツや仕事によって爪先へ小さな衝撃が繰り返されることもあります。たとえば、
- サッカー
- ランニング
- 登山
- テニス
- バスケットボール
- サイズの合っていない安全靴を履く仕事
などです。
爪先が靴へ繰り返し衝突すると、爪下出血、爪甲剥離、爪甲肥厚などを起こし、その後に爪が変形することがあります。

原因⑤ 間違った爪切り・爪むしり
深爪
「爪を短く切ると(深爪をすると)巻き爪になる」とよくいわれます。
しかし、深爪をしたからといって、それだけで爪の湾曲率が大きくなるとは限りません。深爪で特に問題になるのは陥入爪です。
爪の角を深く切ると、伸びてきた爪の端が皮膚に刺さることがあります。また、爪の角を斜めに切ったときに小さな爪が残ると、「爪棘」と呼ばれる鋭い爪の破片が皮膚へ刺さることがあります。
すると、痛い→さらに深く切る→一時的に楽になる→爪が伸びる→再び刺さる→また深く切るという悪循環になります。

爪むしり
爪切りを使わず、手で足の爪をむしる人もいます。
爪をむしると爪先が不規則になり、鋭い爪棘が残りやすくなります。特に短くなるまで繰り返しむしる場合には、陥入爪や爪周囲炎につながります。

原因⑥ 加齢や身体の変化
加齢
「年をとったから爪が巻く」という単純なものではありません。
加齢に伴って、
- 歩行量が減る
- 筋力が低下する
- 足部の変形が進む
- 外反母趾が強くなる
- 足趾を使わなくなる
- 爪が厚くなる
- 自分で爪を切ることが難しくなる
など複数の変化が起こります。
その結果、爪に加わる力学的な環境も変化します。

急激な体重や足部環境の変化
短期間に体重が大きく増えると、足に加わる荷重も変化します。
また、妊娠などでは体重だけでなく、足のサイズやアーチの状態が変化することがあります。そのため、これまで履いていた靴が合わなくなったり、足部の荷重が変わったりすることがあります。
体重や身体環境の変化によって、足部アラインメント、荷重、靴との適合などが変化することで巻き爪の要因となることが考えられます。

原因⑦ 遺伝的な要素
家族内で巻き爪がみられることはあります。一部には遺伝性の巻き爪も報告されています。
ただし一般的な巻き爪では、「巻き爪そのものが遺伝する」と考えるより、巻き爪になりやすい身体的特徴が似ていると考えた方がよい場合があります。
親子では、
- 爪の形
- 足趾の長さ
- 足の骨格
- 足部アーチの形
- 関節や靱帯の柔軟性
などが似ることがあります。その結果、歩行時の荷重や靴との当たり方まで似て、親子で巻き爪が起こる可能性があります。
原因⑧ 病気や薬
頻度は高くありませんが、全身疾患や薬剤が爪変形に関係することもあります。
また、
- 糖尿病
- 末梢の血流障害
- 感覚障害
などがある場合には、巻き爪そのものだけでなく、皮膚の傷や感染にも注意が必要です。
血流や感覚に問題がある足では、小さな傷でも治りにくく、感染が重症化することがあります。
また、一部の抗がん剤や分子標的薬では、
- 爪囲炎(ひょう疽)
- 爪甲剥離
- 爪下出血
- 爪周囲の肉芽
- 爪変形
などが起こることがあります。

このような場合はご相談ください
巻き爪を何度も繰り返している
矯正を終了すると再び爪が巻いてくる
左右どちらか一方だけ強く巻いている
外反母趾や扁平足も気になる
母趾が地面についていない
靴を履くと爪が痛む
爪が厚くなり自分では切れない
なぜ巻き爪になったのか知りたい
当院では、巻いている爪の状態だけでなく、足の形、歩き方、靴なども確認しながら巻き爪の原因を考えます。
強く巻いている爪そのものには、透明なプレートを使用した巻き爪矯正にも対応しています。
金沢市で巻き爪矯正をお探しの方は、巻き爪矯正専門ページをご覧ください。
医療機関への受診をおすすめする場合
次のような場合は、巻き爪矯正を行う前に皮膚科など医療機関での検査をおすすめすることがあります。
- 爪白癬が疑われる
- 強い腫れや膿がある
- 出血を繰り返している
- 爪の下にしこりがある
- 爪の色が急に変化した
- 短期間で爪の形が大きく変化した
- 糖尿病や重度の血流障害がある
- 抗がん薬などによる治療中である

よくある質問
Q巻き爪の一番多い原因は何ですか?
巻き爪の原因は1つではありません。足に合っていない靴、外反母趾や扁平足などの足の形、浮き指、歩行量の低下、爪白癬や外傷など、複数の要因が関係します。
特に、爪に横から圧迫が加わっていることや、反対に歩行時に母趾へ十分な力が加わっていないことは、巻き爪を考えるうえで重要です。
Q深爪をすると巻き爪になりますか?
深爪をしたからといって、それだけで爪そのものが強く巻くとは限りません。
深爪で特に問題になるのは陥入爪です。爪の角を短く切り込みすぎると、伸びてきた爪の端や切り残した爪棘が皮膚へ刺さり、痛みや腫れを起こすことがあります。
そのため、足の爪は角を深く切り込まず、ある程度長さを残して切ることが大切です。
Q靴が合っていないと巻き爪になりますか?
合わない靴は巻き爪の原因の一つです。
つま先が細い靴や小さい靴では、爪や足趾が横から圧迫されます。一方、大きすぎる靴でも、靴の中で足が前後・左右へ動くことで爪の周囲に繰り返し負担が加わります。
そのため、靴選びでは「きつくないか」だけでなく、「靴の中で足が動きすぎていないか」も重要です。
Q扁平足や外反母趾も巻き爪に関係しますか?
関係することがあります。
外反扁平足や外反母趾では、母趾の向きや地面への接触の仕方が変わり、母趾へ加わる力が偏ります。また、浮き指などによって母趾が地面についていない場合には、歩行時に母趾の底側から加わる力が少なくなります。
Q巻き爪は遺伝しますか?
家族内で巻き爪がみられることはありますが、すべての巻き爪がそのまま遺伝するわけではありません。
遺伝性の巻き爪では、左右対称に複数の爪が巻く傾向が報告されています。一方、後天的な巻き爪では左右差がみられやすく、特定の指だけに強く出る場合には、靴による圧迫や足の形、歩き方、荷重の偏りなどの影響も考える必要があります。
Q巻き爪は矯正すれば再発しませんか?
巻き爪矯正によって爪を広げても、巻き爪になった背景が残っていると再び巻いてくることがあります。
たとえば、
- 合わない靴を履き続けている
- 母趾へ十分に荷重できていない
- 外反母趾や足部アラインメントの問題がある
- 爪白癬など爪そのものに問題がある
といった場合です。
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この記事を書いた人
アルコット接骨院院長
柔道整復師
フットケアトレーナー・足爪補正士として足・爪領域に19年間従事。テーピングマイスター、IASTMマニュアルセラピスト、FMS 、SFMA、FCS、BPL mentorship program修了、PRIマイオキネマティック・リストレーション、ポスチュラル・レスピレーション、ペルビス・リストレーション、インピンジメント&インスタビリティ修了、脚の長さコーディネーター






