膝関節後外側回旋不安定性とは

膝関節の後外側回旋不安定性こうがいそくかいせんふあんていせいとは、膝の裏の外側を支える靱帯などが損傷することにより膝が不安定になってしまう疾患です。
英語でpostero-lateral rotatory instabilityポステロラテラルローテーショナリーインスタビリティというため、頭文字をとってPLRIとも呼ばれます。

膝関節の構造
膝関節後外側回旋不安定性とは

膝関節後外側回旋不安定性の症状

  • 歩き始めて、一定時間すると痛みが出てくる
  • 歩いているとき、足がついて片足立ちになる瞬間の膝が伸びる局面で痛みが出る
  • 膝の裏の筋肉である膝窩筋を押さえると痛い(後述)
  • 膝が内側に入り、つま先が外を向く特徴的な姿勢をとることが多い

膝関節後外側回旋不安定性の原因

膝の裏の外側を補強する組織は、膝窩筋しつかきんという膝の裏の筋肉のけんをはじめ、いくつかの靱帯じんたいで構成されています。これらのゆるみは不安定性の原因となります。

膝窩の構造
膝裏の構造

膝の裏が痛くなる理由

後外側回旋不安定性が存在すると、膝が外側にねじれる方向に動き過ぎてしまいます。
そのため、歩いたり走ったりするときに、膝が過剰にねじれるのを防ごうと膝の裏の筋肉(膝窩筋)が強く収縮してそれに抗します。
こうした状態を続けていると、膝窩筋のれや微細損傷びさいそんしょうを引き起こし、痛みが生じます。

膝窩の構造
膝窩筋の走行

膝関節後外側回旋不安定性の検査

  1. 外旋反張がいせんはんちょうテスト
  2. 後外側こうがいそく引き出しテスト
  3. リバース・ピボット・シフトテスト
  4. レバースジャークテスト
  5. ダイアルテスト
    などで膝の裏の外側の不安定性を検査します。
膝関節後外側不安定性外旋反張テスト
膝関節後外側不安定性 外旋反張テスト

①外旋反張テスト

膝関節後外側不安定性後外側引き出しテスト
膝関節後外側不安定性 後外側引き出しテスト

②後外側引き出しテスト

膝関節後外側不安定性
膝関節後外側不安定性 リバースピボットシフトテスト

③リバースピボットシフトテスト

膝関節後外側不安定性リバースジャークテスト
膝関節後外側不安定性 リバースジャークテスト

④リバースジャークテスト

ダイヤルテスト
膝関節後外側不安定性 ダイヤルテスト

⑤ダイヤルテスト

膝関節後外側回旋不安定性の治療法

  1. 患部の安静
  2. 運動療法
  3. 超音波療法
  4. テーピング
  5. インソール療法

膝関節後外側回旋不安定性に対するテーピング

①アンカーテープ(黒)を膝の上下に巻きます。

膝関節後外側不安定性に対するテーピング
膝関節後外側不安定性に対するテーピング①

②膝の外側から内側に向けてアンカーテープ(赤)を巻きます。

膝関節後外側不安定性に対するテーピング
膝関節後外側不安定性に対するテーピング②

③外側から内側に向けてのスパイラルテープ(赤)だけでは、バランスが悪くなる恐れがあるので、反対方向にもスパイラルテープ(水色)を巻きます。基本的には、外側からのテープ(赤)を多めに巻きます。(例:赤2本、水色1本)

膝関節後外側不安定性に対するテーピング
膝関節後外側不安定性に対するテーピング③

④アンカーテープ(黒)を巻いて完成。

膝関節後外側不安定性に対するテーピング
膝関節後外側不安定性に対するテーピング④

靴合わせとインソール療法

膝関節後外側回旋不安定性をもつ方の多くは、歩く際に過剰にすねの骨が外側にねじれてしまいます。
インソールを用いてスムースな体重移動が行えるようにコントロールしていきます。

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