ガングリオンとは
関節を包む袋(関節包)や腱鞘などに生じ、ゼリー状の粘性物質が入った良性の腫瘤で、やわらかいものもあれば硬いものもあります。
若い女性に多くみられます。ギリシャ語で「腱の周辺にできる腫れもの」という意味です。
ガングリオンの症状
- 関節の周辺に米粒からピンポン玉くらいまでの大きさの腫瘤ができる
- 手を使いすぎると腫瘤は大きくなることがある
- 不快感はあるが、多くの場合強い痛みはない
- 神経が圧迫されると痛みが出ることもあり、しびれや感覚障害があらわれることもある
ガングリオンの原因
関節のそばにできたものは、関節液(関節の中にある少量の液体)が、関節と小さな穴でつながっている組織に流れて溜まることで発生するという説がありますが、詳しいことはわかっていません。
ガングリオンのできやすい場所は?
多くは手首のまわりに発生しますが、指の関節付近、腱や腱鞘の周りにも発生します。
ガングリオンの検査
典型的なものは、発生した部位、触った感じからこの病気を疑うことができます。
しかしこの病気と同じような症状を示す腫瘤のなかには、ごく少数ながら悪性の腫瘍がまぎれている可能性があります。
小さな腫瘤でも、この病気と少し違った感じを受けた場合は、病院で超音波検査やMRIなどで中身の状態を確認します。
ガングリオンの治療法
痛みなどの症状がない場合は放置しても問題ありません。30~40%は自然に消失するといわれており、自然につぶれてしまうこともあります。
だんだん大きくなるもの、強い痛みやしびれがあるものは、病院で治療が必要になります。
ガングリオンの吸引
病院では注射針を用いて、しこりの中の液体・ゼリー状のものを吸引して身体の外で排出することもあります。
ガングリオンを根っこから取り除くわけではないため、しばらくすると再発することもあります。
(図;全部見えるスーパービジュアル整形外科疾患より引用)
吸引後の圧迫固定
ガングリオンは、再発性が高く何回でもできる腫瘤です。再発率は20~64%とされています。
病院で内容物を吸引してもらった後、その部位を圧迫固定することが有効です。
ガングリオンの摘出
ガングリオンを吸引し圧迫しても、再発が続く場合は、切除によってガングリオンを根っこから退治する方法があります。
この方法は、病院で行われる手術療法です。ガングリオンを根っこから取りのぞくことができ、再発を防止することが出来ます。
ガングリオンと似た疾患
ガングリオンと似た疾患で、脂肪腫やアテローム(粉瘤)、軟部腫瘍などがあります。
脂肪腫は、その名の通り脂肪でできた良性の腫瘍です。皮膚の下に柔らかい固まりとして触れることができ、大きさは様々です。
柔らかいというのが脂肪腫の大きな特徴です。普通5cm前後のことが多いのですが、中には10cm、20cm以上のものもあります。
アテローム(粉瘤)は、皮膚の良性腫瘍の一つで、皮下組織に老廃物がたまって徐々に大きくなってくるこぶのことです。特徴として、盛り上がりの中央に黒い点ができることがあります。
軟部腫瘍の症状としては、しこりがもっともよくみられる症状です。
しかし、小さいうちははっきりしないため、ある程度の大きさになってはじめて自覚されます。
さらに痛みを伴わないことが多いため、比較的大きくなってから初めて病院を受診されるといわれています。
5cm以上の大きさ、急速に増大するなどの場合は、悪性の可能性もあり早期に病院を受診することが重要です。
ガングリオンは何科にかかればいいの?
皮膚科、形成外科、整形外科が専門です。