女性が歩いている様子

巻き爪を放置するとどうなる?
悪化したときに起こる症状と受診の目安

「巻き爪は痛くなければ放置しても大丈夫ですか?」当院でも非常によくいただく質問です。

結論からいうと、巻き爪があるからといって、すべての人が必ず悪化するわけではありません。

一方で、

  • 爪の湾曲が徐々に強くなる
  • 爪が切りにくくなる
  • 靴を履くと痛くなる
  • 爪の端が皮膚に食い込む
  • 赤みや腫れが起こる
  • 出血や肉芽、化膿を伴う

といった状態へ進むことがあります。特に注意したいのが、巻いた爪や深爪によって爪の端が皮膚を傷つける「陥入爪」を併発した場合です。

この記事では、巻き爪を放置したときに起こりうる変化と、自分で様子を見てもよい状態、医療機関を受診した方がよい状態について詳しく解説します。

巻き爪を正面から見た写真

まず知っておきたい「巻き爪」と「陥入爪」の違い

巻き爪と陥入爪は混同されることが多いですが、同じものではありません。

巻き爪

爪そのものが内側へ湾曲した状態を巻き爪といいます。

爪が強く巻いていても、皮膚に食い込んでいなければ痛みがないこともあります。

そのため、「見た目はかなり巻いているのに痛くない」という人も珍しくありません。

巻き爪を正面から見た写真

陥入爪

陥入爪は、爪の端や爪の角が周囲の皮膚に入り込み、皮膚を傷つけている状態です。

深爪をしたあとに残った小さな爪の角(爪棘)が皮膚へ刺さって起こることもあります。

赤み、腫れ、痛み、出血、肉芽などがみられる場合は、単に「爪が巻いている」だけではなく、陥入爪を起こしている可能性があります。

巻き爪と陥入爪は別の状態ですが、両方を同時に起こすこともあります。

ここを区別して考えることが非常に重要です。

爪のサイドが赤く腫れて血が滲んでいる写真

巻き爪を放置するとどうなる?

巻き爪の経過には個人差があります。以下の症状がすべて順番に起こるわけではありませんが、状態が悪化すると次のような変化がみられることがあります。

1.湾曲が強くなり、切りにくくなる

巻き爪が進行すると、爪の両端が内側へ入り込み、爪のカーブが強くなることがあります。

初期には痛みがなく、「以前より爪が丸くなった気がする」「爪切りを横から入れにくくなった」といった変化だけの場合もあります。

しかし、さらに湾曲が強くなると、

  • 爪の端が見えない
  • 爪切りが入らない
  • 自分では切れない
  • 靴を履くと圧迫される

といった問題が出てきます。

爪が切りにくくなってきたこと自体が、巻き爪の変形に気づくサインの一つです。

巻き爪が進行していく様子の写真

2.爪の周囲の皮膚が盛り上がる

爪と皮膚が繰り返しぶつかると、爪の横にある皮膚(側爪郭)が盛り上がってくることがあります。

すると、爪が巻く → 皮膚に当たる → 皮膚が盛り上がる → さらに爪と皮膚が接触するという状態になります。

真上から見たときには爪がそれほど巻いていないように見えても、盛り上がった皮膚に爪の端が隠れていることもあります。

そのため、巻き爪や陥入爪は真上から見るだけではなく、爪先側から爪のカーブと皮膚の状態を確認することも重要です。

爪のサイドの皮膚が盛り上がった様子

3.歩いたときや靴を履いたときに痛くなる

爪の端と皮膚の接触が強くなると、圧迫されたときに痛みを感じるようになります。

初期には、

  • 長時間歩いたあとだけ痛い
  • 革靴を履くと痛い
  • パンプスを履くと痛い
  • ストッキングを履くと痛い
  • スポーツをすると痛い

など、特定の状況だけで症状が出ることがあります。

さらに刺激が続くと、歩行時だけでなく、爪の周囲を軽く押しただけでも痛みを感じることがあります。

ただし、爪の巻き具合と痛みの強さは必ずしも一致しません。強く巻いていても痛くない爪もあれば、それほど巻いていないように見えても、爪の角が皮膚へ刺さることで強く痛むこともあります。

巻き爪が痛い画像

4.深爪を繰り返し、さらに食い込みやすくなる

痛くなったときに多くの人が行ってしまうのが、「痛い部分の爪をさらに短く切る」という対処です。

爪を切ることで皮膚への圧迫が一時的になくなるため、その場では楽になることがあります。しかし、爪の角を深く切りすぎると、切り残した小さな爪がトゲ状の「爪棘」となり、爪が伸びてきたときに再び皮膚へ刺さることがあります。

痛い
↓
深く切る
↓
一時的に楽になる
↓
爪が伸びる
↓
再び皮膚へ刺さる
↓
また深く切る

という悪循環になります。「痛くなるたびに爪の角を切っている」という方は注意が必要です。

深爪して腫れた様子

5.赤く腫れ、炎症や出血を起こすことがある

爪の端が皮膚を傷つける状態が続くと、周囲に炎症が起こることがあります。

代表的なのは、

  • 赤くなる
  • 腫れる
  • 押すと痛い
  • ズキズキする
  • 滲出液が出る
  • 出血する

といった症状です。

ここまでくると、単純に「爪が巻いている」というよりも、陥入爪によって皮膚が傷ついている状態を考える必要があります。痛みが強いからといって、自分で爪の奥まで切り込むことは避けてください。

爪の横が出血している様子

6.肉芽ができることがある

陥入爪による刺激が続くと、爪の横に赤く柔らかい組織が盛り上がることがあります。

これを肉芽組織といいます。

肉芽は、

  • 赤く盛り上がる
  • 触れると痛い
  • 少し触れただけで出血する
  • ジュクジュクする
  • 靴や靴下に触れると痛い

といった特徴があります。

肉芽は、傷ついた組織を修復する過程で作られる組織です。しかし、爪の端が繰り返し接触していると機械的な刺激が続くため、肉芽が治まりにくくなることがあります。

肉芽ができている場合は、自分で爪を切ったり、肉芽を取り除いたりせず、皮膚科などの医療機関を受診してください。

爪のサイドに肉芽組織が形成されている様子の写真

7.傷口から細菌感染を起こし、化膿することがある

皮膚が傷ついた部分に細菌感染が加わると、膿が出ることがあります。

  • 腫れが強い
  • 熱をもっている
  • 膿が出る
  • 強いズキズキした痛みがある
  • 赤みが広がる

といった症状がある場合には、感染を伴っている可能性があります。

ただし、爪の周囲から液体が出ている=すべて膿というわけではありません。

炎症による滲出液の場合もあるため、見た目だけで自己判断するのは困難です。

出血、膿、強い炎症などがある場合は、皮膚科・形成外科などの医療機関へ相談してください。

爪の横が化膿している様子

「痛みがなくなった=治った」とは限らない

巻き爪や陥入爪では、一度痛くなったあと、何もしなくても痛みが軽くなることがあります。

そのため、「自然に治った」と思われることがあります。

しかし、痛みがなくなったことと、爪の形や食い込みの原因が改善したことは同じではありません。

靴を変えた、歩く量が減った、炎症が一時的に落ち着いたなど、爪への刺激が減ることで症状だけが軽くなることもあります。

その後、

  • 長く歩いた
  • 旅行へ行った
  • スポーツをした
  • 合わない靴を履いた
  • 爪を短く切った

ことをきっかけに再び痛くなるケースもあります。そのため、痛みだけではなく、爪の形・皮膚への食い込み・爪の切り方・靴との関係まで確認することが大切です。

巻き爪が痛いときにやってはいけないこと

爪の角を深く切る

最も注意したいのが深爪です。

痛い部分だけを斜めに切り込むと、一時的には楽になります。

しかし、奥に爪の角を残すと、伸びてきた爪が再び皮膚へ刺さる原因になります。

「痛いところを切る」を繰り返さないことが重要です。

爪の両サイドを深爪した様子の写真

自分で食い込んだ爪をとる

爪切り、ニッパー、ピンセットなどを爪の奥へ入れ、自分で食い込んだ爪を取ろうとすると、皮膚を傷つける可能性があります。

特に、

  • 赤く腫れている
  • 出血している
  • 肉芽がある
  • 膿が出ている

場合には自己処置を避けてください。

ホッチキス型の巻き爪とC型の巻き爪の外観の違い

痛い靴をそのまま履き続ける

爪の周囲に炎症がある状態で、つま先が圧迫される靴を履き続けると症状を悪化させることがあります。

単に「幅広い靴」にすればよいとは限りません。靴が大きすぎて足が前へ滑っている場合も、つま先が靴へぶつかります。足長・足幅・甲・踵が自分の足に合った靴を選ぶことが重要です。

巻き爪で靴を履くと痛い

軽い巻き爪ならテーピングも

出血、化膿、肉芽などがなく、軽い違和感程度であれば、

  • 深爪をしない
  • 爪の角を切り落とさない
  • つま先を圧迫する靴を避ける
  • 靴の中で足が前滑りしていないか確認する
  • 爪の周囲を清潔に保つ

といった対策が基本です。

皮膚と爪の接触を減らすためにテーピングを使用する方法もあります。

ただしテーピングは爪そのものの形を変えるものではなく、皮膚を爪から離して痛みを軽減するための補助的な方法です。

この症状があれば皮膚科などの医療機関へ

次のような状態では、巻き爪矯正を行う前に医療機関での診察が必要です。

  • 出血している
  • 肉芽がある
  • 強く腫れている
  • 強い痛みが続いている
  • 傷がなかなか治らない
  • 感染している可能性がある
  • 爪白癬など爪の病気が疑われる

特に糖尿病、末梢循環障害、免疫機能に関わる疾患などがある方は、自己判断で処置をせず医療機関へ相談してください。

当院では、出血や肉芽組織がある状態への巻き爪矯正は行っていません。まず皮膚科などの医療機関で皮膚の状態を改善してからご相談ください。

初期の巻き爪は早めの対処を

  • 爪が以前より巻いてきた
  • 爪が切りにくい
  • 靴を履くと爪が痛い
  • 長く歩くと痛い
  • ストッキングを履くと痛い
  • 爪を切ると一時的に楽になる
  • 以前にも同じ場所が痛くなった

という段階では、早めに爪の状態を確認しておくことをおすすめします。

巻き爪は、強く痛くなってから初めて気づくとは限りません。

「爪が切りにくくなった」
「爪の端が見えなくなった」
「以前より丸くなった」

という変化は重要なサインです。

「爪が切りにくくなった」「爪の端が見えなくなった」「以前より丸くなった」イラスト

19年間、足と爪をみてきて感じること

当院ではこれまで、巻き爪矯正・爪ケアに延べ23,000回以上対応してきました。巻き爪の相談で非常に重要だと感じるのは、痛みの強さだけで状態を判断しないことです。

大きく巻いていても痛みがない人がいる一方、見た目の変形がわずかでも、爪の角が皮膚へ刺さることで強く痛む人もいます。また、「痛くなったら深く切る」ことを何年も繰り返した結果、陥入爪を起こして相談される方もいます。

巻き爪は爪だけを見ればよいわけではありません。

当院では、

  • 爪の形
  • 爪の厚さ
  • 爪の切り方
  • 周囲の皮膚
  • 足趾の形
  • 靴
  • 足への力のかかり方

なども確認しています。

痛くなるまで待つのではなく、爪の形が変わってきた段階で原因を確認することが、悪化を防ぐうえで重要です。

金沢市で巻き爪にお悩みの方へ

当院では、透明な特殊プレートを使用した巻き爪矯正を行っています。金属製のワイヤーを使用せず、爪の表面に透明なプレートを装着して爪を持ち上げます。

出血・化膿・肉芽などがない状態で、

  • 巻き爪が気になる
  • 爪が切りにくい
  • 靴を履くと痛い
  • 巻き爪を繰り返している
  • 自分の爪が矯正できるか分からない

という方はご相談ください。

よくある質問

Q
巻き爪は放置すると必ず悪化しますか?

A

Q
痛くなければ巻き爪を放置しても大丈夫ですか?

A

Q
巻き爪は自然に治りますか?

A

Q
痛いところの爪を切ってもいいですか?

A

Q
肉芽ができています。巻き爪矯正できますか?

A

参考文献

  • 椎谷千尋.「陥入爪の診療」日本皮膚科学会雑誌.2024;134(4):711-721.
  • 米澤幸平ほか.「肉芽を伴う陥入爪への新しい試み」日本臨床整形外科学会雑誌.2020;45(1):97-98.
  • Mayeaux EJ Jr, Carter C, Murphy TE. Ingrown Toenail Management. American Family Physician. 2019;100(3):158-164.
麻多 聡史
院長

この記事を書いた人

アルコット接骨院院長
柔道整復師
フットケアトレーナー・足爪補正士として足・爪領域に19年間従事。テーピングマイスター、IASTMマニュアルセラピスト、FMS 、SFMA、FCS、BPL mentorship program修了、PRIマイオキネマティック・リストレーション、ポスチュラル・レスピレーション、ペルビス・リストレーション、インピンジメント&インスタビリティ修了、脚の長さコーディネーター

    金沢巻き爪専門外来アルコットプラスロゴ

    〒920-0942 石川県金沢市小立野3丁目24-12

    受付時間月火水木金土日
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