変形性膝関節症とは
長年の繰り返される負担、けがなどによって、関節の軟骨がいたんだり、骨の変形が生じたりする病気です。
女性に比較的多い病気で、年齢とともに多くなります。
変形性膝関節症の症状
初期の症状
- 膝のこわばり
- 歩き始めの痛み
- 階段の昇り降りの痛み
- 長時間歩いたり立ち仕事のあとなどの痛み
進行期の症状
- 正座ができない
- 膝が伸びきらなくなる
- O脚・X脚
- 関節の腫れ、半月板損傷、ベーカー嚢腫などの合併
変形性膝関節症の原因
原因がはっきりしない加齢による関節の変形と、骨折や靱帯損傷や半月板損傷などの外傷、関節の炎症などが原因で生じる関節の変形があります。
関節軟骨が加齢とともに水分量を失い変性することが多く、肥満や遺伝とも関与します。
変形性膝関節症が進行すると
軟骨は、弾力に富み柔軟で、荷重を吸収・分散する能力に優れています。
しかし衝撃が繰り返されることによって、軟骨の表面に傷がつきます。軟骨の変性が進行すれば、次第に弾力性・柔軟性が失われてきます。
放っておくと関節の隙間は狭くなり、最終的には軟骨は完全になくなってしまい、軟骨の下の骨が露出した格好になります。
変形性膝関節症の検査
問診や触診、関節の動きの範囲、腫れやO脚変形などを調べ、場合によっては病院でレントゲン検査を行います。
当院でとても大切にしているのは、正確な痛みの原因部位の特定です。
変形性膝関節症の治療法
- 超音波療法・ラジオ波療法
- ストレッチ・マッサージ
- サポーター・テーピング
- リハビリテーション
- インソール療法
- 減量
変形性膝関節症のリハビリ
当院で行う変形性膝関節症のリハビリは、「体幹安定性」「姿勢制御」「下肢筋出力」「日常生活」の4つのサークルで構成されます。
各サークルにはAとBの2つのエクササイズがあり、4×2の8種類のエクササイズを行います。
さらにそれぞれのエクササイズは、運動能力に応じてレベル1〜3と段階的に行います。
サークル1 体幹安定性エクササイズ | サークル2 姿勢制御エクササイズ | サークル3 下肢筋出力エクササイズ | サークル4 日常生活エクササイズ | |
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レベル1 | A:骨盤リフト(膝90°) B:腹筋運動(両手を太もも) | A:後方ランジ(スライダー) B:側方ランジ(スライダー) | A:股関節内転・外転(壁支持・バンド弱) B:膝の屈伸(バンド弱) | A:椅子からの立ち上がり(支持あり) B:階段昇降(支持あり) |
レベル2 | A:骨盤リフト(膝軽く曲げる) B:腹筋運動(両手を胸の前) | A:後方ランジ(スライダー・不安定板) B:側方ランジ(スライダー・不安定板) | A:股関節内転・外転(不安定板) B:膝の屈伸(バンド中) | A:椅子からの立ち上がり(支持なし) B:階段昇降(ダンベルあり) |
レベル3 | A:骨盤リフト(片足) B:腹筋運動(両手を頭の上) | A:後方ランジ(支持なし) B:側方ランジ(支持なし) | A:股関節内転・外転(不安定板・バンド強) B:膝の屈伸(バンド強) | A:椅子からの立ち上がり(片足) B:階段昇降(高い台) |
エクササイズ中にわずかな痛みや違和感があった場合でも続行して構いません。ただし腫れなどの炎症を起こしている場合は中止してください。
回数はそれぞれ10〜15回 × 2〜3セットを週に2回行います。
リハビリ動画
サークル1A 体幹安定性エクササイズ① 腹筋運動
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サークル1B 体幹安定性エクササイズ② 骨盤リフト
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サークル2A 姿勢制御エクササイズ① 後方ランジ
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サークル2B 姿勢制御エクササイズ② 側方ランジ
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サークル3A 下肢筋出力エクササイズ① 股関節内転・外転
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サークル3B 下肢筋出力エクササイズ② 膝の屈伸
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サークル4A 日常生活エクササイズ① 立ち上がり
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サークル4B 日常生活エクササイズ② 階段昇降
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変形性膝関節症の歩き方
変形性膝関節症の方の多くは、特徴的な歩き方をしています。
歩行中、片足立ちになる瞬間に急激に膝が外側に動揺します。
これを「ラテラルスラスト」といいます。
膝が外側に動揺した瞬間に痛みを示すことが多く、リハビリやインソールを用いてラテラルスラストを改善させることが重要です。
インソール療法
前述のように、変形性膝関節症の方は外側にバランスを崩す特徴的な歩き方をしています。
インソールで悪い動きを修正すると痛みの軽減も早く、再発予防にも効果的です。