ギヨン管症候群とは
尺骨神経が手首にある豆状骨と有鉤骨鉤の間にあるトンネルで絞扼され生じる尺骨神経の障害です。まれな疾患とされています。
ギヨン管症候群の症状
- 手の小さな筋肉の痩せで始まることが多い
- 指をしっかり伸びない
- 指を合わせることができない
- 顔を洗うときに水がこぼれる
- 特徴的な手指の症状(後述)
ギヨン管症候群の原因
- ギヨン管の周辺の組織の変形(老化などによる)
- ギヨン管の付近に発生したガングリオン
- 仕事による使いすぎ、長時間の自転車走行
- 外傷・骨折 など
ギヨン管症候群の特徴的な手の変形
ギヨン管症候群のような尺骨神経の障害では次のような手の特徴的な症状が現れます。
- フローマン徴候:両手の親指と人差し指で紙をつまみ、反対方向に引っ張る時に親指の第1関節が曲がれば陽性となります。
- 母指内転筋の萎縮:尺骨神経に支配されている母指内転筋が委縮します。親指と人差し指によるつまみがしにくくなります。
- かぎ爪変形:手内筋が萎縮し、特に薬指・小指の付け根の関節が過伸展し、第1・2関節が屈曲した形になります。
ギヨン管症候群の特徴的なシビレ
尺骨神経が手首にあるトンネルで圧迫を受けるギヨン管症候群のほかに、肘にあるトンネルで圧迫を受ける肘部管症候群という疾患もあります。
これら2つの疾患は同じような小指側のしびれを呈しますが、よく観察すると違いがあります。
ギヨン管症候群の場合は、ギヨン管周辺のシビレ感や知覚低下はありません。
肘部管症候群の場合は、手首を超える範囲でギヨン管周辺も含めた領域でシビレ感や知覚低下を認めます。手のひら側だけでなく、手の甲の小指側も痺れます。
ギヨン管症候群の検査
手首のギヨン管部分を叩いて小指・薬指にしびれが出ると、ギヨン管症候群が疑われます。
ギヨン管症候群の治療法
かすかなしびれ程度のごく初期の段階には、安静にし、筋肉が委縮しないように電気刺激をあたえます。
神経がギヨン管を通りやすくするために神経の滑走エクササイズを行います。
治療を続けても改善が認められない場合、マヒが進行する場合、骨折後や腫瘤によるものは手術が必要になります。