踵骨棘を徹底解説
メカニズム・症状・治療まで詳しく解説

踵骨棘について

踵骨棘しょうこつきょくは、かかとの骨に骨の突出ができた状態です。足底腱膜そくていけんまくへの繰り返しの牽引ストレスや、歩行・ランニング時の衝撃などが関与して生じると考えられています。

初期は「朝の1歩目が痛い」「長く歩くと踵が痛む」程度のことも多く、放置すると慢性化しやすいため、早めのケアが大切です。

踵骨棘のレントゲン

 朝の1歩目に踵が痛む

 長時間歩くと踵や足裏が痛くなる

 立ち仕事のあとに踵がジンジンする

 レントゲンで「踵骨棘」と言われた

 靴を変えると踵の痛みが強くなる

 クッション性の少ない靴や仕事用の靴で困っている

踵骨棘とは?

踵骨棘とは、踵骨しょうこつ(かかとの骨)の足底側にできる骨のトゲ(骨棘こつきょく)です。

レントゲン検査で、踵の前方へトゲのように突出した骨として確認されることが多く、足底腱膜炎の患者さんで高頻度に認められます。

踵骨棘とは?

踵骨棘の原因

以前は、「足底腱膜が繰り返し引っ張られることで骨が引き出される traction spur(牽引性骨棘)」
と考えられていました。

しかし近年では、組織学的研究から、

  • 腱深層に接して形成される
  • 変形性変化に近い骨増殖

であることが示されており、単純な牽引だけでは説明できないとされています。

つまり、

  • 足底腱膜への慢性的ストレス
  • 加齢性変化
  • 圧迫ストレス
  • 微細損傷の繰り返し

などが複合的に関与して形成されると考えられています。

踵骨棘の原因

どのような人に多い?

特に

  • 長期間症状が続く場合
  • 中高年
  • 荷重負荷が強い人

では踵骨棘が認められやすい傾向があります。

踵骨棘の原因

踵骨棘ができる部位

踵骨棘は、主に

  • 足底腱膜付着部
  • 踵骨内側結節周囲

足底腱膜は踵骨から足趾までつながる強い線維組織であり、歩行やランニング時に繰り返し牽引ストレスを受けています。

その慢性的な力学的負荷によって、踵骨付着部周囲で骨増殖が生じると考えられています。

踵骨棘ができる部位

踵骨棘の症状

踵骨棘は痛いのか?

ここが非常に重要なポイントです。踵骨棘があっても、痛みがない人は多く存在します。

逆に、踵骨棘がなくても強い足底腱膜炎症状が出ることもあります。つまり、「踵骨棘=痛みの原因」とは限りません。

実際、レントゲンを撮ると

  • 無症状の人
  • 健常者
  • 高齢者

の多くに踵骨棘を認めます。

そのため踵骨棘が見つかっても、必ずしもそれが痛みの原因とは限りません。

  • どこを押すと痛いのか(圧痛部位)
  • どんな時に痛むのか(歩行・立ち上がり・運動時など)
  • 歩き方に問題がないか
  • 足部の動きやアーチ機能が低下していないか

などを総合的に評価し、本当に踵骨棘が症状に関係しているのかを判断することが重要です。

足底腱膜炎との関係

足底腱膜炎では、

  • 足底腱膜付着部への牽引ストレス
  • ヒールストライク時の圧迫ストレス

が繰り返されます。

その結果、

  • 足底腱膜変性
  • 微細損傷
  • 周囲骨反応

が生じ、踵骨棘形成につながると考えられています。

圧迫ストレスと牽引ストレス

踵骨棘の検査

触診(圧痛)

触診のよって踵骨棘そのものを見つけるというより、「どこが痛みの原因か?」を確認します。

圧痛部位によって、

  • 足底腱膜炎
  • 踵部脂肪褥炎
  • 神経絞扼障害
  • 踵骨疲労骨折

などを鑑別します。

踵骨棘の圧痛

超音波エコー

超音波エコー検査にて踵骨棘を発見できることもあります。

足底腱膜の状態も合わせて確認します。

  • 足底腱膜の肥厚
  • 足底腱膜の低エコー変化
  • 足底腱膜のfibrillar patternの乱れ
  • 周囲組織の変性
足底腱膜炎エコー2

レントゲン(整形外科にて)

踵骨棘の確認に最も一般的な検査です。

側面X線で、踵骨底側から突出する骨棘を確認します。

ただし、踵骨棘があっても無症状の人は多く、画像だけで診断はできません。

「レントゲンで骨棘がある=痛みの原因」とは限らない点を理解しておくことが大切です。

踵骨棘のレントゲン

踵骨棘の治療

踵骨棘そのものを治療するというより、「踵骨棘ができる背景にある力学的ストレス」を改善することが重要です。

そのため、

  • 足底腱膜ストレッチ
  • アキレス腱・下腿三頭筋ストレッチ
  • 足部内在筋トレーニング
  • インソール
  • 歩行改善
  • 荷重コントロール
  • 体外衝撃波治療

などが行われます。

多くの場合は保存療法で改善し、骨棘を切除する手術が必要になるケースは多くありません。

足底腱膜炎に対する体外衝撃波

踵骨棘にはインソール療法がおすすめです

「骨のトゲ」そのものを治すのではなく、足底腱膜や踵部へ繰り返しかかるストレスを減らすことが重要になります。

そのためインソール療法では、

  • 踵の圧迫ストレス軽減
  • 足底腱膜への牽引ストレス軽減
  • 足部アライメント改善
  • 歩行時の荷重コントロール

を目的に行います。

扁平足用のインソール

インソールの踵部分を部分的にくり抜き、そこへクッション材を入れることで、踵に集中する圧力を分散させる方法が用いられます。

これにより、

  • 踵骨棘周囲への圧迫ストレス軽減
  • 接地時の衝撃吸収
  • 歩行時痛の軽減

を目的に行います。

除圧を目的としたインソール

また足底腱膜は歩行や蹴り出しで強く引っ張られます。

そのため

  • アーチサポート
  • 内側縦アーチ支持

によって、足底腱膜への過剰な伸張ストレスを軽減します。

麻多 聡史
院長

この記事を書いた人

アルコット接骨院院長
柔道整復師
フットケアトレーナーマスターライセンス、足爪補正士、テーピングマイスター、IASTMマニュアルセラピスト、FMS 、SFMA、FCS、BPL mentorship program修了、PRIマイオキネマティック・リストレーション、ポスチュラル・レスピレーション、ペルビス・リストレーション、インピンジメント&インスタビリティ修了