上腕二頭筋長頭腱断裂と治療法
金沢市のアルコット接骨院の疾患コラム
上腕二頭筋というのは、力こぶを作るときの筋肉で、2本の筋で構成されています。この筋肉が切れてしまうのが「上腕二頭筋長頭腱断裂」です。
比較的若い方がブチっという音とともに突然断裂することもあれば、高齢者では自然と切れてしまうこともあります。
原因や治療法について詳しく解説します。

上腕二頭筋長頭腱断裂の原因と治療法
金沢市のアルコット接骨院の疾患コラム
上腕二頭筋というのは、力こぶを作るときの筋肉で、2本の筋で構成されています。この筋肉が切れてしまうのが「上腕二頭筋長頭腱断裂」です。
比較的若い方がブチっという音とともに突然断裂することもあれば、高齢者では自然と切れてしまうこともあります。
原因や治療法について詳しく解説します。


上腕二頭筋とは
上腕二頭筋は力こぶを作る筋肉です。「長頭」と「短頭」の2つの筋肉の束からできています。

上腕二頭筋とは
上腕二頭筋は力こぶを作る筋肉です。「長頭」と「短頭」の2つの筋肉の束からできています。

上腕二頭筋長頭腱断裂とは
上腕二頭筋の2つの束のうち、「長頭」の腱が切れてしまい、痛みや脱力感を引き起こします。

上腕二頭筋長頭腱断裂とは
上腕二頭筋の2つの束のうち、「長頭」の腱が切れてしまい、痛みや脱力感を引き起こします。

肩から上腕の前が痛い
肘を曲げて重い物を持ったり、力を入れて腕を外方向にねじると痛みが増す
力こぶの前に青あざができる
力こぶのふくらみが下に下がる

肩から上腕の前が痛い
肘を曲げて重い物を持ったり、力を入れて腕を外方向にねじると痛みが増す
力こぶの前に青あざができる
力こぶのふくらみが下に下がる

長頭腱は『大結節』『小結節』と呼ばれる骨のでっぱりの間にできた溝を通ります。
さらに、溝の中で急激に方向を変えます。そのため溝の中で摩擦を起こし、腕をよく使う人は断裂しやすくなります。

長頭腱は『大結節』『小結節』と呼ばれる骨のでっぱりの間にできた溝を通ります。
さらに、溝の中で急激に方向を変えます。そのため溝の中で摩擦を起こし、腕をよく使う人は断裂しやすくなります。

問診では痛くなった状況の確認、ケガの有無、痛みの状態などを確認します。
視診・触診により、押さえて痛い箇所、筋力の低下がないか、肩や肘の動きなどを確認します。「力こぶが下にさがる」特徴的な所見がみられるため、比較的発見は容易です。

問診では痛くなった状況の確認、ケガの有無、痛みの状態などを確認します。
視診・触診により、押さえて痛い箇所、筋力の低下がないか、肩や肘の動きなどを確認します。
「力こぶが下にさがる」特徴的な所見がみられるため、比較的発見は容易です。

さらにエコー検査を行い長頭腱を観察します。断裂した長頭腱は萎縮して黒く抜けたように描出されます。

さらにエコー検査を行い長頭腱を観察します。断裂した長頭腱は萎縮して黒く抜けたように描出されます。

・急性期には患部の安静
・超音波療法
・ラジオ波治療
・関節可動域訓練
・テーピング

・急性期には患部の安静
・超音波療法
・ラジオ波治療
・関節可動域訓練
・テーピング
キネシオテープを使ったリンパコレクションテーピングです。患部に溜まっている浸出液をリンパ管に向かって流す目的で貼付します。浸出液を流すことによって腫れやむくみを取り除く効果があります。
損傷部位の皮膚の下は、組織液、リンパ液、血液が溜まることによって内圧が高まった状態ですので、キネシオテープを貼ることで圧力を弱めた領域を作ります。近くのリンパ管に浸出液を向かわせるように流路を作り、腫れやむくみを取り除きます。

受傷後24~72時間の急性期では、炎症を抑制するために2本のリンパコレクションテーピングを貼ります。
約15~20cmのテープをカットし、5cmの基部を作り、短冊状にカットします。

受傷後24~72時間の急性期では、炎症を抑制するために2本のリンパコレクションテーピングを貼ります。
約15~20cmのテープをカットし、5cmの基部を作り、短冊状にカットします。

肘から肩に向けて上腕まで貼付します。基部を貼り付ける場所は内側上顆、外側上顆という2点です。(写真赤丸)
ここから斜め上方に30~45°の角度で貼ります。2本のテープは交叉します。テープは全く引っ張らずに貼るか、または10%ほどの強さで張力をかけて貼ります。

肘から肩に向けて上腕まで貼付します。基部を貼り付ける場所は内側上顆、外側上顆という2点です。(写真赤丸)
ここから斜め上方に30~45°の角度で貼ります。2本のテープは交叉します。テープは全く引っ張らずに貼るか、または10%ほどの強さで張力をかけて貼ります。

実際に貼付した写真。急性期にこのような対応をしておくかどうかでその後の予後は驚くほど変わります。ぜひ一度試してみてください。

急性期にこのような対応をしておくかどうかでその後の予後は驚くほど変わります。
ぜひ一度試してみてください。

上腕二頭筋長頭腱断裂では強い痛みは稀なものの、重だるい痛みが続くのが特徴です。これは断裂した部分に血流不全を起こしていることが原因です。
ラジオ波は水分や細胞を振動させ、体内で”熱”を発生させます。手では届かない体の深部を温め血流を改善する画期的な機器です。

上腕二頭筋長頭腱断裂では強い痛みは稀なものの、重だるい痛みが続くのが特徴です。これは断裂した部分に血流不全を起こしていることが原因です。
ラジオ波は水分や細胞を振動させ、体内で”熱”を発生させます。手では届かない体の深部を温め血流を改善する画期的な機器です。
上腕二頭筋長頭腱断裂は自然治癒しますか?
一度切れてしまった腱が元通りくっつくことはありません。傷めてすぐは炎症が強いため無理に動かさず安静にすることが大切です。
炎症が治まってくると見た目は元に戻りませんが、痛みは軽くなってきます。その時期から超音波治療やラジオ波治療により患部を温めた上で、傷んだ部分に負担がかからないように他の筋肉をトレーニングしていきます。
上腕二頭筋長頭腱断裂はどんな人に多いですか?
高齢者に起こる場合と肉体労働者やスポーツをしている方に起こる場合があります。
高齢者の断裂は、肩の腱板という筋肉が傷んでしまうのに伴って長頭腱が少しずつ擦り切れていき、何気ない日常生活で生じます。
一方、肉体労働やスポーツに伴って、重い物を持つなど急に力を入れた時にブチッという音とともに断裂することもあります。
断裂してままでも生活できますか?
断裂部の痛みは安静にしていれば徐々に治まり、日常生活を送るだけであれば支障がなくなります。
断裂しても肘を曲げる力の10~20%が落ちる程度なので高齢者の場合は、それほど不自由なく生活が送れる可能性が高いため、そのまま治療することがほとんどです。
しかし、上腕二頭筋の機能が失われているので、肘や肩の動きに制限が残ることがあります。それを補うために肩や肘を曲げるための補助筋をトレーニングしながら生活していくことをおすすめします。
また、現役で仕事やスポーツや家事を行うような場合は、病院で手術を行うこともあります。