肩甲上神経麻痺の原因と治療法
金沢市のアルコット接骨院の疾患コラム
バレーボールなどの腕を振り下ろす競技によくみられる「肩甲上神経麻痺」
肩甲上神経は首のつけ根から肩甲骨の後面に回り込み、骨により急カーブを繰り返しながら棘上筋・棘下筋を支配します。
そのため骨との間で圧迫・牽引を受けることで麻痺すると考えられています。
肩甲上神経麻痺の原因や症状、治療法などを詳しく解説します。
肩甲上神経麻痺の原因と治療法
金沢市のアルコット接骨院の疾患コラム
バレーボールなどの腕を振り下ろす競技によくみられる「肩甲上神経麻痺」
肩甲上神経は首のつけ根から肩甲骨の後面に回り込み、骨により急カーブを繰り返しながら棘上筋・棘下筋を支配します。
そのため骨との間で圧迫・牽引を受けることで麻痺すると考えられています。
肩甲上神経麻痺の原因や症状、治療法などを詳しく解説します。
肩甲上神経の走行
肩甲上神経とは、首の付け根から出て肩の筋肉(棘上筋、棘下筋)へつながっている神経です。
この神経が、何らかの原因(骨の変形やガングリオン)で圧迫されると、筋肉が麻痺し肩が挙げれなくなったり、肩が重くなるような症状が出現します。
肩甲上神経の走行
肩甲上神経とは、首の付け根から出て肩の筋肉(棘上筋、棘下筋)へつながっている神経です。
この神経が、何らかの原因(骨の変形やガングリオン)で圧迫されると、筋肉が麻痺し肩が挙げれなくなったり、肩が重くなるような症状が出現します。
肩甲上神経が支配する筋肉
肩甲上神経は、棘上筋と棘下筋を支配しています。腕を挙げる際に腕の骨を肩甲骨に押し付ける作用があります。これにより肩が安定して動かすことができます。
肩甲上神経が支配する筋肉
肩甲上神経は、棘上筋と棘下筋を支配しています。腕を挙げる際に腕の骨を肩甲骨に押し付ける作用があります。これにより肩が安定して動かすことができます。
肩が重い感じがする
腕が上がらない
肩周りのしびれ感
肩周りの違和感
肩のまわりの筋肉が痩せる(棘下筋の萎縮)
肩が重い感じがする
腕が上がらない
肩周りのしびれ感
肩周りの違和感
肩のまわりの筋肉が痩せる(棘下筋の萎縮)
肩甲上神経は、肩甲切痕と棘下切痕という2つのトンネルを通り、さらにこの部分で急激に方向を変えます。
つまり、肩甲上神経は、筋肉に到達するまでに、2回の急カーブを経なければなりません。そのため走行に無理があり圧迫を受けやすく麻痺を起こすことがあります。
肩甲上神経は、肩甲切痕と棘窩切痕という2つのトンネルを通り、さらにこの部分で急激に方向を変えます。
つまり、肩甲上神経は、筋肉に到達するまでに、2回の急カーブを経なければなりません。そのため走行に無理があり圧迫を受けやすく麻痺を起こすことがあります。
首から出て腕に分布する神経の集まりを腕神経叢といいます。腕神経叢から分枝した肩甲上神経は、背中〜肩方向に回り込み肩甲骨の後面に向かいます。
まずは肩甲切痕と上肩甲横靭帯の間をくぐって棘上筋に分布します。
さらに棘下切痕で内側に向きを変えて棘下筋に分布します。棘下切痕のところで肩甲上神経が圧迫されると、棘下筋のみに萎縮が起こります。
首から出て腕に分布する神経の集まりを腕神経叢といいます。腕神経叢から分枝した肩甲上神経は、背中〜肩方向に回り込み肩甲骨の後面に向かいます。
まずは肩甲切痕と上肩甲横靭帯の間をくぐって棘上筋に分布します。
さらに棘下切痕で内側に向きを変えて棘下筋に分布します。棘下切痕のところで肩甲上神経が圧迫されると、棘下筋のみに萎縮が起こります。
バレーボール選手では利き腕の著明な棘下筋の萎縮が多くみられます。これは肩甲上神経の絞扼性神経障害と考えられます。
多くは慢性化しており、バレーボール・テニスなど腕を振りおろす力が繰り返しかかる人に多く発生します。
バレーボール選手では利き腕の著明な棘下筋の萎縮が多くみられます。これは肩甲上神経の絞扼性神経障害と考えられます。
多くは慢性化しており、バレーボール・テニスなど腕を振りおろす力が繰り返しかかる人に多く発生します。
棘下筋の萎縮
棘下筋は肩甲骨の後面に存在する筋肉です。バレーボールのスパイクのように腕を振り下ろす動作において、肩甲上神経が棘下切痕のところで向きを変える際に伸張されることが原因と考えられています。
左右比べて、利き手側の肩甲骨の後面が萎縮して薄くなっている場合は肩甲上神経障害による棘下筋萎縮が疑われます。
棘下筋の萎縮
棘下筋は肩甲骨の後面に存在する筋肉です。バレーボールのスパイクのように腕を振り下ろす動作において、肩甲上神経が棘下切痕のところで向きを変える際に伸張されることが原因と考えられています。
左右比べて、利き手側の肩甲骨の後面が萎縮して薄くなっている場合は肩甲上神経障害による棘下筋萎縮が疑われます。
腱板断裂の所見がなく棘上筋・棘下筋の筋力低下が認められ、棘下筋に萎縮がある場合は、肩甲上神経麻痺の疑いがあります。
肩甲切痕や棘下切痕を押さえて神経に沿って放散するような痛みがあるかを確認します。
腱板断裂の所見がなく棘上筋・棘下筋の筋力低下が認められ、棘下筋に萎縮がある場合は、肩甲上神経麻痺の疑いがあります。
肩甲切痕や棘下切痕を押さえて神経に沿って放散するような痛みがあるかを確認します。
棘上筋の筋力検査です。棘上筋は肩を横から上げる動き(外転)で検査します。左右を比べることで力の入り具合を確認します。
棘上筋の筋力検査です。棘上筋は肩を横から上げる動き(外転)で検査します。左右を比べることで力の入り具合を確認します。
棘下筋の筋力検査です。棘上筋は脇を閉じた姿勢から腕を外に開く動き(外旋)で検査します。左右を比べることで力の入り具合を確認します。特に棘下筋で萎縮が起こっている場合、この動きでの力が著明に低下します。
棘下筋の筋力検査です。棘上筋は脇を閉じた姿勢から腕を外に開く動き(外旋)で検査します。左右を比べることで力の入り具合を確認します。特に棘下筋で萎縮が起こっている場合、この動きでの力が著明に低下します。
棘下筋の萎縮を起こす疾患は他にもあります。肩の安定性をつかさどる棘下筋の腱が切れてしまう「腱板断裂」です。
超音波エコーを用いて腱板が切れていないかを確認します。肩甲上神経麻痺と腱板断裂ではどちらも棘下筋萎縮を認めることがありますが、それぞれ治療法が異なるため見分けることが重要です。
棘下筋の萎縮を起こす疾患は他にもあります。肩の安定性をつかさどる棘下筋の腱が切れてしまう「腱板断裂」です。
超音波エコーを用いて腱板が切れていないかを確認します。肩甲上神経麻痺と腱板断裂ではどちらも棘下筋萎縮を認めることがありますが、それぞれ治療法が異なるため見分けることが重要です。
棘下筋の神経が麻痺して腕が上げにくいのか、棘下筋の腱が断裂して腕が上がらないのかをエコーを使って見分けていきます。腱が断裂していると断裂部分が黒く抜けたような像が描出されます。
棘下筋の神経が麻痺して腕が上げにくいのか、棘下筋の腱が断裂して腕が上がらないのかをエコーを使って見分けていきます。腱が断裂していると断裂部分が黒く抜けたような像が描出されます。
・筋肉を刺激し筋萎縮を防ぐEMSという電気治療
・筋力改善のリハビリ
・神経周囲の徒手療法
・筋肉を刺激し筋萎縮を防ぐEMSという電気治療
・筋力改善のリハビリ
・神経周囲の徒手療法
棘下筋には肩甲骨とは付着せず、「脂肪組織(棘下筋下脂肪体)」が介在している部分があります。その脂肪組織の中を肩甲上神経が走行するため、この脂肪組織が硬くなると神経の滑りを妨げて神経障害を起こす可能性があります。
棘下筋には肩甲骨とは付着せず、「脂肪組織(棘下筋下脂肪体)」が介在している部分があります。その脂肪組織の中を肩甲上神経が走行するため、この脂肪組織が硬くなると神経の滑りを妨げて神経障害を起こす可能性があります。
その脂肪組織と骨に隙間を作ることで神経の滑走性を促します。脂肪を骨から引き離すように手技を加えます。繰り返し行うことで神経の滑りが改善していきます。
その脂肪組織と骨に隙間を作ることで神経の滑走性を促します。脂肪を骨から引き離すように手技を加えます。繰り返し行うことで神経の滑りが改善していきます。
電気刺激によって筋肉や神経への興奮を促すことで筋収縮を起こします。筋肉の萎縮を改善・予防、さらに筋力増加にも役立ちます。
後述するリハビリテーションのエクササイズと並行して電気刺激を繰り返し行うことで筋萎縮を防ぎます。
電気刺激によって筋肉や神経への興奮を促すことで筋収縮を起こします。筋肉の萎縮を改善・予防、さらに筋力増加にも役立ちます。
後述するリハビリテーションのエクササイズと並行して電気刺激を繰り返し行うことで筋萎縮を防ぎます。
肩甲骨の位置異常
肩甲上神経の障害は肩甲骨が下を向き、首から離れるような動きで症状が増悪します。いわゆる猫背でなで肩姿勢が肩甲上神経麻痺のリスク因子になります。そのため肩甲骨の位置異常を修正するエクササイズが大切になります。
肩甲骨の位置異常
肩甲上神経の障害は肩甲骨が下を向き、首から離れるような動きで症状が増悪します。いわゆる猫背でなで肩姿勢が肩甲上神経麻痺のリスク因子になります。そのため肩甲骨の位置異常を修正するエクササイズが大切になります。
肩甲上神経障害のリハビリ
四つ這いの姿勢をとります。両側の耳の下のくぼみ部分と首のつけ根でテニスボールを挟みます。
肩甲上神経障害リハビリ
四つ這いの姿勢をとります。両側の耳の下のくぼみ部分と首のつけ根でテニスボールを挟みます。
エクササイズ①
四つ這いのままボールを落とさないように手で床を押しながら背中を最大限に丸めます。
ボールを挟むことで肩甲骨の上方回旋を誘導します。上方回旋をさせることで肩甲挙筋や大・小菱形筋を使わずに、僧帽筋上部線維、前鋸筋、腹斜筋群を同時に働かせることができます。
エクササイズ①
四つ這いのままボールを落とさないように手で床を押しながら背中を最大限に丸めます。
ボールを挟むことで肩甲骨の上方回旋を誘導します。上方回旋をさせることで肩甲挙筋や大・小菱形筋を使わずに、僧帽筋上部線維、前鋸筋、腹斜筋群を同時に働かせることができます。
エクササイズ②
エクササイズ①が可能になったらエクササイズ②に進みます。肘立ちの姿勢で骨盤を床につけたポジションをとります。
その状態で背中を丸めていきます。できるだけ骨盤を動かさずに行います。骨盤と背中を別々に動かすエクササイズになるため難易度が上がります。
エクササイズ②
エクササイズ①が可能になったらエクササイズ②に進みます。肘立ちの姿勢で骨盤を床につけたポジションをとります。
その状態で背中を丸めていきます。できるだけ骨盤を動かさずに行います。骨盤と背中を別々に動かすエクササイズになるため難易度が上がります。
無理して競技を続けていたらどうなりますか?
肩甲上神経麻痺に至った症状を放置したまま腕を振り下ろす動作を続けていると、筋肉が萎縮して見た目でも筋肉が薄くなっているのがわかるようになります。そうなると肩が上げにくくなったり力が入りにくくなったりと日常生活においても支障が出てきます。
肩甲上神経麻痺は自然治癒しますか?
まずは神経が絞扼・牽引されている場所を特定します。もし骨の変形やガングリオンなどの介在物がある場合は手術で取り除く必要があります。介在物がなく肩甲骨の位置異常が原因で神経が絞扼されている場合は、エクササイズによって肩甲骨の位置を修正します。萎縮している筋肉を元に戻すのは時間はかかりますが、原因を取り除くことで改善していきます。
手術は必要ですか?
ガングリオンなどが神経の近くにある場合は手術で取り除く必要があります。