強直性脊椎炎とは
とくに背骨および骨盤を中心に全身の腱や靱帯に原因不明の炎症が起こり、長い年月の中で背骨が固まり、曲げ伸ばしが難しくなってしまう病気です。
ほとんど症例が10~20代で発症し、男性が女性の3~5倍多く発症します。
強直性脊椎炎の症状
- くび、背中、腰、お尻の痛みやこわばりで発症する。経過とともに次第に動かなくなる。
- 初期には病状の波が激しい(激痛が数日続きその後は痛みがほとんどなくなることある)
- 腰痛、仙腸関節痛、お尻の痛み
- 時に股・膝・足関節などの痛みや腫れ
- 安静にしているより体を動かした方が症状が軽くなる
- 夜間や朝方の痛み
- 病状の進行に伴い、背骨の動きが悪くなって体が前傾気味となる
- 体を反らす、上を見上る、うがいをするといった動作に支障が出てくる
強直性脊椎炎の原因
原因はまだはっきりわかっていません。なんらかの形で遺伝の関与があるのは確かなようです。
たとえば細菌感染などがこれに加わり免疫異常が生じた結果、発症すると考えられています。
仙腸関節とは
仙腸関節は、仙骨と腸骨の間の関節で、お尻の両わきに左右に1つずつあります。
周囲は靭帯により硬く連結されてるため、仙腸関節は3~5mmほどのわずかな動きしかありません。
強直性脊椎炎では、初期にこの関節に炎症がみられ、痛みがあることが多いとされています。
強直性脊椎炎が進行すると
1~2割の人は重症化し、発症してから10~20年経過すると背骨が動かなくなり、日常生活や就労に不自由を感じるようになります。多くの人は、多少の支障はあっても通常の生活を送ることができます。
強直性脊椎炎の検査
若年者が、全身のこわばりや朝の疲労感、繰り返す腰痛や原因不明の手足の関節炎のある場合には強直性脊椎炎が疑われます。病院で血液検査やレントゲン検査を行って診断されます。
強直性脊椎炎の治療
- 運動療法
- 痛みを和らげるための温熱療法や電気治療
- ストレッチ・マッサージ
- 筋力トレーニング
- 炎症をおさえるための薬による治療
強直性脊椎炎の特徴的な姿勢
強直性脊椎炎では、背骨の動きが少なくなったり変形することで前かがみ姿勢になっていきます。
こういった姿勢にならないように、ストレッチや体操が大切です。
強直性脊椎炎に対する運動療法
①背中のストレッチ
スタートポジション:四つ這い姿勢
頭を下げながら、背中を丸めます(15~30秒保持)
ゆっくりスタートポジションに戻ります
胃を床の方向に落とすように、背中を反らせます(15~30秒保持)
ゆっくりスタートポジションに戻ります
これを2~4回繰り返します
②胸のストレッチ
スタートポジション:足を肩幅に開いて座ります
手のひらを上に向けて息を吸いながら胸を開きます(15~30秒保持)
息を吐きながら、腕を元に戻します
これを2~4回繰り返します
③肩のストレッチ
スタートポジション:まっすぐ立つか、座ります
頭の上に両腕を上げ、息を吸いながら息を吸いながら天井に向かって両腕を伸ばします(15~30秒保持)
ゆっくり手を降ろします
これを2~4回繰り返します
④首のストレッチ
スタートポジション:まっすぐ立つか、座ります
顎を引いたまま、顔を右に向けます(15~30秒保持)
同じく左に向けます(15~30秒保持)
首を左右に倒します
これを2~4回繰り返します
⑤バックエクステンション
スタートポジション:うつ伏せになります
肘で床を押して背中にアーチを作るように体を反らせます(15~30秒保持)
ゆっくりとスタートポジションに戻ります
これを2~4回繰り返します