裂離骨折れつりこっせつとは

筋肉が急激に強い力が働くと、筋肉が骨にくっついている部分を引っぱるように骨折を生じるものが裂離骨折です。

裂離骨折は強い収縮力を発揮する筋肉が骨に付着する部分で発生します。

骨盤裂離骨折とは

骨が弱い成長期に発生しやすいスポーツ障害です。

骨盤のなかでも上前腸骨棘じょうぜんちょうこつきょくには大腿筋膜張筋だいたいきんまくちょうきん縫工筋ほうこうきん下前腸骨棘かぜんちょうこつきょくには大腿直筋だいたいちょっきん坐骨結節ざこつけっせつにはハムストリングスという筋肉が付着しています。

これらの筋肉が強い力で収縮すると、骨盤付着部を急激に牽引けんいんするために、骨盤の一部ががれてしまいます。

頻度は上前腸骨棘の裂離骨折がもっとも多く全体の約50%、下前腸骨棘は約30%です。

坐骨結節も10%以上あると考えられます。

骨盤の裂離骨折坐骨結節の裂離骨折上前腸骨棘の裂離骨折下前腸骨棘の裂離骨折
骨盤の裂離骨折とは

骨盤裂離骨折の症状

  • 足のつけ根付近に突然の激痛が出現する
  • 走行不能、歩行困難になる
  • 骨折部に圧痛(押さえると痛い

骨盤裂離骨折の原因

骨盤にある出っ張りは、成長期(13~17歳くらい)にはまだ骨がしっかりと出来上がっておらず、軟骨で出来ています。

そのため筋肉による引っぱる力に耐えられず、引きちぎられるように骨折を起こします。いずれもスポーツ中に急激に強い引っ張る力がはたらいた場合に起こります。

上前腸骨棘は短距離走のスタートダッシュ時、下前腸骨棘はサッカーでのキックやハードルの着地などの際に、坐骨結節は全力疾走やジャンプなどで発生します。

骨盤の裂離骨折
骨盤裂離骨折の好発部位

骨盤裂離骨折はどんな人に多いの?

12~18歳(14~16歳に最も多い)に好発し、筋力の強い男子に多く、ほとんどは右側に発生します。

骨盤裂離骨折の検査

骨折が疑われた場合、レントゲン検査を行うと、剥れた骨片こっぺんを認めます。

必要に応じてCT検査を行うと、骨片を確認できます。

骨盤裂離骨折の治療法

アイシングを行いながら1~2週間の安静後に松葉杖歩行を行います。

歩行時の痛みがなくなったら関節可動域訓練と筋力トレーニングを行います。

骨の状態をみながら負荷を増やし、8~12週でのスポーツ復帰を目指します。

骨のくっつきは良く、スポーツ活動に支障は少ないため比較的予後は良好です。

再発予防

再発予防のためには、骨盤周囲の筋肉や股関節のストレッチを十分に行うことが重要です。