「能ある鷹は爪を隠す」「爪に火を灯す」「爪の垢を煎じて飲む」「爪を研ぐ」など日本のことわざにも多く登場する「爪」。最近ではネイルサロンなども一般的になり、爪を綺麗に見せる文化も定着してきました。

爪は身近なものなのに、爪のことはあまり知らないことが多いのではないでしょうか?身体の一部であるにもかかわらず、医療従事者であってもその詳細についてはほとんど知られていません。ましてや足の爪のことになると、なぜか汚いものとして扱われ日頃のケアなどもきちんと行われていないのが現状です。

今回は爪と栄養の関係について解説していきます。

爪は健康の指標である

何もしていないのに爪が割れてしまったり、爪が薄くなよなよしていたりしていませんか?

後ほど詳しく解説しますが、爪は皮膚が変化し硬くなった組織で、「第2の皮膚」と言われています。病気になると肌の調子が悪くなりますよね。

爪はその人の健康状態を表す指標となります。不足している栄養素があったり、体に不調があると、爪には種々の症状が現れます。「巻き爪」「割れ爪」「二枚爪」などは爪のトラブルは栄養不足を示すサインなのです。

爪のケアにはキューティクルオイルなどを塗ることで外側からケアをする方法がありますが、これには限界があります。栄養の偏りを改善することで爪の内側からケアをすることが出来ます。

爪はどのような組織なのか

爪は皮膚や髪の毛と同じように角化性の上皮組織です。

上皮組織というのは、身体の表面を覆う組織です。身体の内面を保護し、外界と隔てる役割を持ってる組織です。つまり「空間と空間を隔てる」役割をしているのが上皮組織です。身体の表面を覆う皮膚だけでなく、食べ物の通り道(胃や腸など)や空気の通り道(気管や肺など)の壁も上皮組織にあたります。

これら上皮組織の特徴としては、細胞がきめ細やかに配列されていて隙間が少ないことが挙げられます。「細胞同士が密着している」ということです。

身体の表面を覆い、内部を保護することが上皮組織の仕事ですから、細胞同士が離れていて隙間ができると構造が弱くさらに雑菌が入り放題になってしまいます。そのため上皮組織は細胞同士が密接し、仕切りの役割をしているのです。

巻き爪と栄養不足

爪の構造

次に爪の構造について簡単に説明します。

爪は、爪甲、爪母、爪床、爪郭の4つの部位で構成されています。

爪の構造【金沢巻き爪】

爪甲

爪甲は、爪の本体のことです。通常はわずかに彎曲しています。この彎曲が強くなったものが「巻き爪」です。

爪甲そのものは半透明ですが、下の皮膚に接着している部分は毛細血管が透けて見えるためピンク色に、遊離している部分は白色に見えます。爪白癬(爪水虫)などの感染症では爪甲の色が変色してしまいます。

爪母

爪母は爪を作る工場のような部分です。大部分は皮膚に覆われて見えませんが、一部は白っぽく半月状に見えます。この爪母になんらかのトラブルがあると、病的な爪甲を形成することがあります。

爪床

爪床は爪の下に密着している皮膚のことを指します。正常な状態では軟らかい状態ですが、病的な状態では硬い角質が爪の下に形成されます。

爪床は毛細血管が豊富であり、爪は血液の健康状態に影響されやすいとされるのはこのためです。

爪郭

爪を取り囲む皮膚のことを爪郭と呼びます。爪の両側部分を側爪郭といい、爪の両側を支えています。深爪をしてしまうと、爪が側爪郭に刺さり激痛を起こします。

爪は何で出来ているの?

爪は何でできている?
爪の構成要素

爪は主にタンパク質(ケラチン)と水分、わずかなビタミン・ミネラル類から出来ています。

ケラチンはタンパク質の一種で、軟ケラチンと硬ケラチンに分けられます。皮膚は軟ケラチンで、爪は硬ケラチンです。皮膚と比べて爪が硬くて衝撃に強い理由は上・中・下の3層から形成され、上・下層では縦方向に、中層では横方向に繊維が走るためです。

巻き爪と栄養不足

爪の役割

爪の役割

保護機能

爪は指の先の組織を保護する役割を持ちます。もし爪が剥がれると、靴などから受ける衝撃が直接指に加わってすぐに炎症を起こしてしまいます。

運動器としての機能

手の場合は物を握る時、足の場合は歩く・走る時に、爪は上から指を押さえることで、指の腹に加わる力を押し返す作用を持ちます。

特に足の爪が深爪したり剥離してしまうと、歩くときに地面を踏み込む力が弱くなってしまいます。

感覚器としての機能

爪には知覚を増加させるという機能もあります。手で細かい作業をする際に、爪があることで指先の知覚を鋭敏にしています。足の場合では、爪がなくなると歩行障害や転倒のリスクが増加すると言われています。

タンパク質不足になると爪が弱くなる

巻き爪タンパク質不足

先程述べた通り、爪の8割以上はタンパク質です。タンパク質の摂取が不足すると、爪が薄くなったり弱くなったりします。弱い爪の方は、まずタンパク質不足を疑ってみるとよいでしょう。

タンパク質が足りているか知る方法

では、ご自身がタンパク質が足りているかどうかを調べていきましょう。

朝・昼・夜に毎食十分な量のタンパク質を摂れているかどうか。

だいたいのタンパク質の摂取目安量は1食あたり20〜30gほどです。
豚ヒレ肉なら100g、サバなら1切れ程度です。

もう少し細かく解説すると、

  • 普通の活動量の人;1日に必要なタンパク質量は体重1kgあたり約0.9g
  • 妊娠・授乳中の女性や体の大きな人、軽い運動をしている人;体重1kgあたり1.2〜1.5g
  • ハードなスポーツをしている人;体重1kgあたり2.0g
  • 高齢者;体重1kgあたり1.06g

となります。

1食当たり20〜30gのタンパク質摂取を満たすには、それぞれの食品におけるタンパク質の含有量をざっくりと知っておく必要があります。

卵1個、牛乳コップ1杯、豆腐1/3丁にはそれぞれ6〜7g、納豆1パックで約8g、油揚げ1枚で約7g、ヒレステーキ1枚(100g)では約20gのタンパク質が含まれています。

巻き爪タンパク質不足

肉や魚の場合は「ハンドポーション」が便利です。肉や魚が自分の手のひらと同じサイズであれば重量は100gで、タンパク質含有量は20gということになります。

巻き爪タンパク質不足

まずご自身の活動量から1日に必要なタンパク質量を算出します。次に食べている食事の中の食品のタンパク質含有量を計算します。タンパク質摂取量が、1日に必要なタンパク質量を満たしていれば、タンパク質は足りていることになります。

ただしタンパク質の摂取量は十分でもバランスよくアミノ酸が配合された良質なタンパク質であること、また、しっかり消化吸収されていることに気をつけなければなりません。

良質なタンパク質を

巻き爪タンパク質不足

タンパク質が体内で最小まで分解されたものがアミノ酸です。その中でも体で合成できない9種類のアミノ酸を必須アミノ酸といい、また、体内で合成されるもののきちんと摂取した方が良いものを非必須アミノ酸といいます。

巻き爪タンパク質不足

これらをバランスよく含むタンパク質が、良質なタンパク質といえます。

巻き爪タンパク質不足

ケラチンは、18種類のアミノ酸が結合して出来たタンパク質のことです。「システイン(シスチン)」を14〜18%も含むことを特徴としています。システイン(シスチン)の含有量が爪の強さを左右していると言っても過言ではありません。

システインは、食品では肉類(特にレバー)、魚類、卵、ニンニク、玉ねぎ、ブロッコリー、芽キャベツなどに含まれます。ヒトの体内では、必須アミノ酸である「メチオニン」からシステインに変換されます。

巻き爪タンパク質不足

そのため必須アミノ酸を多く含んだ食品を摂取することが求められます。

動物性タンパク質と植物性タンパク質

巻き爪タンパク質不足

食べ物から摂取できるタンパク質は「動物性タンパク質」「植物性タンパク質」に大別されます。
動物性タンパク質は、肉や魚、卵や乳製品に含まれ、植物性タンパク質は、豆や大豆製品、穀物などに含まれます。

動物性タンパク質は爪を丈夫に割れにくくします。また植物性タンパク質は爪に弾力を与え、艶やかな爪を作ります。そのため動物性タンパク質と植物性タンパク質をバランスよく摂取することが大切です。

巻き爪タンパク質不足

しっかりと消化吸収されているか

「人間は食べたもので出来ている」というフレーズは聞き覚えがあると思います。でもこのフレーズは正確には、「人間は食べて消化吸収されたもので出来ている」です。

胃酸分泌低下による低タンパク

胃は消化吸収において大変重要です。胃は次の4つの役割を持ちます。

  • 食べ物の滞留
  • タンパク質と脂質の初期消化
  • ミネラルのイオン化
  • 微生物の殺菌

これらの役割を果たすのに大切なのは、「胃酸の分泌」です。胃酸の分泌が不十分だと、肉や魚などのタンパク質は食べても体内に吸収できず、腸内の廃棄物になります。

タンパク質を十分に摂取しているのに、低タンパク質状態になる場合、「胃酸の分泌低下」が原因かもしれません。下痢や排便の回数が多い、便が臭いなどの症状がある場合、タンパク質の消化不良のサインかもしれません。

胃酸分泌低下の原因

  • 糖質などの消化吸収の早いものばかり食べることによる胃酸分泌の機会減少
  • 咀嚼回数減

胃酸分泌をチェックする

血液データからチェックする方法

巻き爪タンパク質不足

胃酸の分泌をチェックする血液検査で「ペプシノーゲンテスト」があります。

  • PG1(ペプシノーゲン1);胃酸の分泌を推測できる
  • PG2(ペプシノーゲン2);炎症時に上昇
  • PG1/PG2;PG1が減り、PG2が増えるとPG1/PG2が上昇する。「胃炎のマーカー」となる。5未満では胃炎が起こっている可能性。

PG1が70以上であれば、胃酸は十分分泌されている。50未満になると、低胃酸状態で、タンパク質の消化が苦手であることが予測できます。30未満になると、自力でのタンパク質の消化が難しく、ペプチドやアミノ酸といったタンパク質が細かく分解された状態で摂取しなければいけません。

重曹(ベーキングパウダー)を使った方法

巻き爪タンパク質不足
  1. 朝起床後、飲み物・食べ物を摂る前に行う
  2. 重曹を約2g(小さじ1/3)をコップ1杯の水に溶かす
  3. その水を最低100ccゆっくり飲む

5分以内にゲップが出れば、胃酸分泌は十分。出なければ、胃酸分泌不十分ということになります。

胃酸分泌の改善方法

巻き爪タンパク質不足

①レモンや梅干しはpHが2と胃酸の酸度に近く、唾液の分泌も促進するため、胃酸分泌をサポートする食品として大変有効です。

②PG1の値が、30未満であるような低胃酸状態にあると、タンパク質という高分子の状態での食品では、消化吸収に難があります。その場合は、塩酸(HCL)ベタインのサプリメントが効果的です。

③食事中の飲水は低胃酸状態の人では、さらに胃酸が薄まってしまうため、避けた方がよいでしょう。ただし高齢者の場合は例外です。

ビタミンA不足になると爪が割れやすい

ビタミンAとは

ビタミンAは脂溶性ビタミンの1つです。脂溶性ビタミンは、脂質に溶けやすいため肝臓やほかの組織に蓄積しており、吸収のされ方や体内運搬も脂質の影響を受けます。

ビタミンAの種類

レチノール、レチナール、レチノイン酸の3種類があり、通常、レチノールをビタミンAと呼びます。

ビタミンAの働き

ビタミンAの役割は、皮膚や粘膜を形成することです。皮膚や粘膜などの上皮組織は、ビタミンAが関わることで、細胞が新しく入れ替わり、正常な状態に保たれているのです。

肌の乾燥を防止し、肌のバリア機能を高める働きや、爪の原料となるケラチンの形成にも関わります。

ビタミンAが足りないと

爪が割れるビタミン不足

ビタミンA不足になると、上皮組織の細胞の組織の入れ替わりがうまく働かないため、爪が乾燥し割れやすくなります。二枚爪になることもあります。薄い爪を硬く丈夫にするには、上皮組織の細胞分裂を活発化させるためにビタミンAが必要です。

他には、夜盲症、上皮組織の乾燥による角膜乾燥症、粘膜抵抗性の減少による細菌感染症などの恐れがあります。

ビタミンAの摂取方法

ビタミンAは、動物性食品にはレチニルエステルとして、植物性食品にはβ−カロテンなどのカロテノイドとして含まれています。

ビタミンAは摂取しすぎると肝臓に過剰に蓄積されてしまうため、耐容上限量は2,700μg RAE/日とされています。

ビタミンAを多く含む食品

爪が割れるビタミン不足
  • 鶏レバー 14,000μg
  • 豚レバー 13,000μg
  • アナゴ(蒸し) 890μg
  • モロヘイヤ(生) 840μg
  • にんじん(生) 680μg
    ※可食部100g当たりの含有量

爪を強くするにはビタミンB群を

ビタミンB群とは

ビタミンB群は、ビタミンB1・B2・B6・B12・ナイアシン・パントテン酸・葉酸・ビオチンの8種類から構成されています。

爪が割れるビタミン不足

細胞を活性化させ丈夫な爪を育てる

ビタミンB群の中でも爪の発育と関わるのは、ビタミンB2、ナイアシン、ビオチンです。

ビタミンB2は、タンパク質の代謝を助け、細胞が作られたり合成されるのを促進することから「発育のビタミン」とも呼ばれます。成長の促進や皮膚、髪、爪の細胞の再生を手伝います。

ナイアシンは、血管拡張作用による血液循環改善や健全な皮膚の生合成に関与していることから「肌のビタミン」とも呼ばれています。

ビオチンはアミノ酸の代謝などにも関与し、細胞分裂にも関与するので皮膚や粘膜の健康維持にも大切な存在です。爪の細胞の成長を活発にし、爪を厚く丈夫にする、爪の損傷を防ぐ効果があります。ビオチンが不足するとアミノ酸からタンパク質をうまく作り出せなくなります。

ビタミンB群の摂取方法

ビタミンB群は、水溶性ビタミンですので、摂りすぎても尿と一緒に排泄されるため、普段の食事から積極的に摂ることをおすすめします。

ビタミンB2を多く含む食品

爪が割れるビタミン不足
  • 豚レバー 3.60mg
  • 牛レバー 3.00mg
  • 納豆 0.56mg
  • まいたけ(生) 0.49mg
  • 鶏卵(生) 0.43mg
  • モロヘイヤ(生) 0.42mg
    ※可食部100g当たりの含有量

ナイアシンを多く含む食品

爪が割れるビタミン不足
  • カツオ(生) 19.0mg
  • キハダマグロ(生) 17.5mg
  • ピーナッツ 17.0mg
  • 豚レバー 14.0mg
  • 牛レバー 13.5mg
    ※可食部100g当たりの含有量

ビオチンを多く含む食品

爪が割れるビタミン不足
  • 鶏レバー 232.4μg
  • 落花生 92.3μg
  • 豚レバー 79.6μg
  • 牛レバー 76.1μg
  • 鶏卵(卵黄・なま) 65.0μg
    ※可食部100g当たりの含有量

ビタミンEでツヤのある爪を

ビタミンEは毛細血管の血行を良くする働きがあります。抗酸化作用を有し、「若返りのビタミン」と呼ばれます。ビタミンEが十分に摂取され抗酸化作用が発揮されると、爪は艶のあるピンク色になります。

抗酸化作用というのは、いうならば身体をサビから守る働きを指します。活性酵素の害から血管や身体を守ります。

ビタミンEの摂取方法

ビタミンCもビタミンEと同じく抗酸化作用を持っていて、両者は特別な関係にあります。ビタミン EはビタミンCと一緒に摂ることで相乗効果が得られます。

ビタミンEを多く含む食品

爪が割れるビタミン不足
  • アーモンド 29.4mg
  • サフラワー油 27.1mg
  • トウモロコシ油 17.1mg
  • モロヘイヤ(生) 6.5mg
  • 西洋かぼちゃ(生) 4.9mg
    ※可食部100g当たりの含有量

ビタミンCを多く含む食品

爪が割れるビタミン不足
  • 赤ピーマン 170mg
  • 黄ピーマン 150mg
  • ゆず果皮 150mg
  • 菜の花 130mg
  • パセリ 120mg
  • ブロッコリー 120mg
  • レモン 100mg
    ※可食部100g当たりの含有量

鉄不足は反り爪の原因に

不足しがちなミネラル

日本人が不足しやすいミネラルの一つです。鉄は成人の体内に約2〜4g含まれ、おもに赤血球内のヘモグロビンとして存在するほか、肝臓や筋肉などにも貯蔵されています。とくにヘモグロビンは体内で酸素を運搬する重要な役割を果たします。

食品中の鉄には、肉や魚などの動物性食品に含まれるヘム鉄と、野菜などの植物性食品に含まれる非ヘム鉄に分けられます。例外として、鶏卵、乳製品は動物性食品ですが、非ヘム鉄が多く存在します。

吸収率はヘム鉄で10〜20%、非ヘム鉄で1〜6%とヘム鉄の方が数倍も高くなります。

鉄欠乏を見抜く爪チェック

爪鉄不足

鉄は全身の細胞のエネルギー産生に欠かせないミネラルのひとつなので、鉄欠乏が起こると、爪にも様々なトラブルが起こります。有名なのが、横から見たときに爪が反り返るスプーンネイルです。また、爪が白く見える、爪に筋が入る、凹凸ができるなども要注意です。

鉄欠乏は「ヘモグロビン」ではなく「フェリチン」で判断を

鉄が足りているかどうかは、血液検査のヘモグロビンの数値で判断されます。ヘモグロビンというのは赤血球に含まれる鉄のことです。ヘモグロビンの値が12.5以下だと「貧血」と診断されます。

しかし、ヘモグロビンの数値は正常でも、鉄欠乏による様々な不調を抱える人がいます(隠れ貧血)。実は鉄は赤血球に優先的に運ばれるため、そのぶん体に回す鉄が不足していたとしても「貧血」とは診断されず見逃されてしまいます。

爪鉄不足

鉄欠乏に気づくためには、「フェリチン」の数値で判断する必要があります。フェリチンというのは、赤血球以外に貯蔵されている鉄の指標のことです。ヘモグロビンの数値は正常でもフェリチンの値が低下していることもあります。

爪鉄不足

鉄を「お金」に例えると、ヘモグロビンは「財布」、フェリチンは「預金通帳」に例えられます。

正常な状態では、財布の中も預金通帳の中にも十分なお金があります。フェリチンの値もヘモグロビンの値も正常な状態です。

爪鉄不足

しかし財布の中にはお金があって安心していても、実は預金通帳の中はお金が空っぽということもあります。これが、ヘモグロビンの値が正常でもフェリチンの値は低下している状況で、「隠れ貧血」と呼ばれる症状の正体です。

さらに鉄欠乏が進むと、預金通帳の中にも財布の中にもお金がなくなってしまいます。フェリチンもヘモグロビンも低下してしまう「鉄欠乏性貧血」になってしまいます。

慢性炎症による鉄欠乏

爪鉄不足

鉄欠乏には、「鉄不足型鉄欠乏」と「炎症型鉄欠乏」の2つがあります。

「鉄不足型鉄欠乏」とは、排出される鉄が摂取した鉄を上回り体内の鉄が不足して起こるものです。もう一つの「炎症型鉄欠乏」とは体内に慢性炎症があり鉄が無駄遣いされてしまいうまく使えなくなり起こる鉄欠乏です。

慢性炎症とは、脂肪肝・肥満、腸内環境の悪化、糖尿病、ストレス、アトピー性皮膚炎などの体内で起こる「小さな火事」のようなものです。熱も赤みもありません。

このような慢性炎症があると、体内に鉄があってもうまく利用できなくなります。炎症があると体は、細菌に感染したと勘違いします。細菌は鉄を食べて増殖するため、体は血液中に鉄を流さないように指令を出します。つまり、鉄剤を飲んだとしても、炎症があると腸から鉄が吸収できなくなったり、必要なところに鉄を移動することができなくなったりします。

これが慢性炎症による鉄欠乏のメカニズムです。

炎症がある場合、鉄は吸収されずに腸に溢れてしまいます。鉄は腸内細菌の悪玉菌の餌になり、腸内環境が悪化してさらに炎症を招きます。炎症がある場合は、鉄剤は飲まないようにするのが原則です。

鉄の摂取方法

フェリチンの値が低い場合は鉄を補う

爪鉄不足
  • 豚レバー 13.0mg
  • 鶏レバー 9.0mg
  • シジミ 5.3mg
  • アサリ 3.8mg
  • 大根葉 3.1mg
    ※可食部100g当たりの含有量
爪鉄不足

1.酸味のある食材を一緒に

ビタミンCやクエン酸、酢酸は鉄の吸収をよくします。お酢やレモン、梅干し、ゆずやトマトなどの食品と一緒に摂るように心がけましょう。

2.胃酸の分泌をよくする

鉄は胃酸がしっかり出ていると吸収されやすくなります。30回噛むことで胃酸の分泌に繋がりますのでよく噛んで食べましょう。食事中に水分を摂り過ぎると胃酸を薄めてしまうため注意が必要です。

3.添加物を避ける

インスタント食品や加工食品に含まれるリン酸塩は鉄の吸収を阻害します。リン酸塩は鉄などのミネラルと結合して腸からの吸収を低下させ、尿中に排出してしまいます。

慢性炎症がある場合は、鉄を摂る前に炎症の改善を

爪鉄不足

鉄欠乏だからといって鉄を摂るだけではなかなか改善しません。まずは炎症を引き起こす原因となる食材を取り除きましょう。

ジュース(果糖ブドウ糖液糖)やお菓子(精製糖)などに含まれる質の悪い糖質は腸の悪玉菌の餌になります。マーガリンやショートニング(トランス脂肪酸)やサラダ油、市販のドレッシング(オメガ6)などの質の悪い油にも気をつけましょう。

うどんやパンなどの小麦製品(グルテン)や牛乳などの乳製品(カゼイン)は腸や体内の炎症の原因になりやすいため避けるとよいでしょう。

爪鉄不足

よい油、食物繊維、発酵食品で鉄を吸収できる腸を

1.抗炎症作用のある油

オメガ3系の油(魚油・えごま油・アマニ油)や良質なオリーブオイルを意識して摂り、オメガ6系の油(大豆油・コーン油などのサラダ油、市販のドレッシング)を減らしましょう。

2.食物繊維

水溶性食物繊維は、腸内細菌によって短鎖脂肪酸に変わります。短鎖脂肪酸は悪玉菌を抑え、善玉菌を増やします。

不溶性食物繊維は、便のかさを増し、腸の動きを改善し排便を促します。

3.発酵食品

乳酸菌などの善玉菌が豊富に含まれています。腸内の腐敗物の増加を抑制します。

4.オリゴ糖

腸内の善玉菌の餌となり、短鎖脂肪酸の材料となります。

5.抗酸化食品

活性酸素は、炎症の原因となります。活性酸素というのは、体内に取り込まれた酸素がエネルギーを作り出すときなどに発生する物質のことです。活性酸素は殺菌力が強く、細菌やウィルスが体内に侵入してくると殺菌・分解してくれます。

しかし、活性酸素が必要以上に増え過ぎると、炎症の原因となり脳や体にダメージを与えてしまいます。

抗酸化力の高い食材を摂ることで、体内の炎症を抑えることができるのです。

6.抗菌食材

有害菌を減らすには、口腔を含めた腸管の抗菌対策が必要です。

亜鉛不足による白い斑点

爪亜鉛不足

亜鉛とは

亜鉛は鉄同様、不足しがちな栄養素です。成人体内に約2g含まれており、肝臓や皮膚、眼球の硝子体、前立腺などに存在します。

亜鉛はDNAやRNAの合成にも必要とされ、不足するとDNA複製が抑制され、細胞分裂も阻害されることになります。そのことにより、細胞分裂が活発な皮膚や粘膜の健康維持にも関わっています。

ケラチンの合成、皮膚や爪、髪の形成に深く関わるため、髪や爪が伸びるために必要な新陳代謝を促す必要不可欠な栄養素です。

爪亜鉛不足

亜鉛の摂取方法

亜鉛は体内で蓄積されにくく、汗から消費されていきます。摂取基準は成人男性10mg、成人女性8mgです。

通常の食生活では過剰症はほとんど心配ありませんが、サプリメントなどから長期にわたり過剰摂取すると、銅の吸収阻害などが報告されています。

亜鉛を多く含む食品

爪亜鉛不足
  • 牡蠣 13.2mg
  • 松の実(生) 6.9mg
  • 豚レバー 6.9mg
  • 牛肩ロース赤身 5.6mg
  • 牛もも肉赤身 4.4mg
    ※可食部100g当たりの含有量

ケイ素

ケイ素は体内において、骨・関節・血管・皮膚・毛髪・歯・爪など身体全体に分布しています。生命維持に必要な必須の栄養素ですが、年齢を重ねるごとにケイ素を摂取する力が落ちてきます。

ケイ素は、体内では生成されないため、食事で摂り入れるしか方法がありません。食品中には野菜などの根菜類・穀物、ミネラルウォーター、海藻、貝類などに含まれています。これらが土の成分であるケイ素を養分として吸収し、栄養素として体内へ入ります。

ケイ素不足になると、爪が割れる、髪の毛が抜けやすい、皮膚がたるんで皺になりやすいなどの症状に繋がります。

ケイ素と爪の関係

爪も皮膚と同じように毎日作り替えられ、生まれ変わっています。新陳代謝が起こっているわけです。

若い時はまだ体の中のケイ素が沢山あったので、新陳代謝も良く、コラーゲンをしっかり結びつけ、老廃物を残さない丈夫な爪に生まれ変われました。

しかしピーク時(20代)の半分に減少してしまう40代になると、体にあるケイ素では組織を修復するには力不足で、
老廃物を排出できず、接着剤の力が弱まっているのでコラーゲンを結びつけられません。その結果、爪細胞組織をがスカスカになり、もろく割れやすい爪になってしまうのです。

まとめ

爪のトラブル栄養不足