タナとは
母親のおなかの中で関節が形成される際に関節を覆う袋(関節包)が造られていくときに「滑膜ひだ」という組織が作られます。
その滑膜ひだ一時的につくられるもので、成長とともに無くなっていくのですが、生まれた後も残存する状態をいいます。
「滑膜ひだ」の見た目が『タナ(棚)』に似ているので、通称タナといわれます。日本人の約6割に存在すると言われます。
タナ障害とは
タナが存在するだけで、痛みなどの症状が全くない無症候性のものであれば問題ありません。
膝の屈伸時に膝のお皿と太ももの骨の間に滑膜ひだが挟まれ、肥厚したり傷ついたりすると炎症が起こり症状が出ます。
これをタナ障害といいます。
タナ障害の症状
膝の関節の内側に次のような症状が出ます。
- 関節の中で引っかかりを感じる
- コリッ・ポキッと音がする
- 膝の違和感
- 膝のまわりを押すと痛い
- 運動時の痛み
タナ障害の原因
膝の曲げ伸ばしを繰り返し行うことや、膝をよくぶつけることで起こります。
滑膜ひだの大きさや厚みには個人差があり、厚みがある場合には症状が出やすい傾向にあります。
膝を使いすぎると太ももの筋肉(大腿四頭筋)が硬くなるため、症状が出やすくなります。
タナ障害はどんな人に多い?
野球、バスケットボール、バレーボール、ハンドボール、陸上競技をしている10~20歳代の若い女性にみられます。
タナ障害の検査
下図のように膝の内側のタナに親指を当て、膝を曲げ伸ばしすると、ポキポキという音とともに、弾発現象が生じることで発見できます。
タナ障害の治療法
軽症の場合
- 運動量を減らす
- 運動後のアイシングや、炎症を抑えるシップ
- 太ももの筋肉のストレッチング
- テーピング
大抵の場合は激しい運動を控えて安静を保っていれば、徐々に炎症が治まって2ヶ月前後で治ります。
繰り返し痛みが生じたり、数か月にわたって痛みが引かないなど重症の場合
- 病院で痛み止めの注射
- 関節鏡(関節内に挿入する内視鏡)による手術でタナを切除する
タナ障害に対するストレッチ
予防として有効なのは、膝周りの筋力を鍛えるトレーニングや、柔軟性を高めるストレッチングを行うことです。
タナの摩擦が弱まり炎症が起きにくくなります。
タナ障害に対するテーピング
①大腿四頭筋の走行に沿ってキネシオテープ(赤)を貼ります。
テープを引っ張らずに貼るのがポイントです。
②膝の内側に若干テープを引っ張りながら半円状に貼り付けます。(黄色)
徒手療法ってどんなことするの?
膝の皿の下には、膝の動きを円滑にする脂肪体という組織があります。
膝への負担が増えると脂肪体に炎症が起こり脂肪体が滑らかに動かなくなります。
脂肪体の柔軟性と滑走性の改善を目的に徒手療法を用います。
この徒手療法は、けして痛みをともなうものではなく、むしろ心地よささえ感じます。