単純性股関節炎について
1.単純性股関節炎とは
股関節に一過性の炎症が起きる疾患です。
10歳以下(とくに5~6歳の幼児)に急に発症して、2~3週間で症状が消退してしまいます。
2.単純性股関節炎の症状
- ケガなどの明らかな原因がなく、股関節を痛がる
- 太ももや膝が痛くなることもある
- 跛行(足をひきずる、びっこをひく、歩き方がおかしい等)
- 股関節の動きが悪い
- 足のつけ根を軽く曲げた姿勢になる
- 微熱が出ることもある
- レントゲン写真で骨の変化はみられない
3.単純性股関節炎の原因
炎症が起こる原因ははっきり分かっていませんが、ウイルスやケガに対する自然な免疫反応と考えられています。
4.単純性股関節炎の検査
病院でレントゲン検査、超音波検査、血液検査などを行います。
症状が改善しない場合は、他の疾患が疑われます。
稀ではありますが、小児が発症する股関節疾患で早期発見・早期治療が重要とされる化膿性股関節炎やペルテス病との見極めが必要です。
5.単純性股関節炎の治療法
安静が基本になります。関節に溜まった水も自然に減少し、後遺症が残ることもなく、予後は良好です。
化膿性股関節炎について
1.化膿性股関節炎とは
股関節に細菌が入ることで起こる炎症です。乳幼児や新生児に多くみられます。抵抗力の弱い赤ちゃんに生じると、骨が発育する成長軟骨という部分を損傷する可能性があるため、なるべく早い対応が必要になります。
2.化膿性股関節炎の症状
新生児の場合
- ぐったりしている
- ミルクを飲まない
- 熱がある
- 足を動かさない
- 足の付け根を押すと激しく痛がる
- 患部の熱感、発赤
乳幼児の場合
- 歩かない
- 足を痛がる
- 膝の辺りを痛がる
- 熱がある
- 食欲が無い
- 足の付け根を押すと激しく痛がる
- 患部の熱感、発赤
3.化膿性股関節炎はどのような経過をたどるの?
関節は袋につつまれていて、その中は常に無菌状態に保たれています。
一度、細菌が入り込むと簡単にはなくならず、周りの組織を壊していきます。
軟骨や骨端線(成長線)が破壊されると、関節の形が変形したり、成長障害が起こったりします。
4.化膿性股関節炎の原因
ブドウ球菌などの細菌感染により股関節の関節内が化膿し炎症を起こすことです。
5.化膿性股関節炎の検査
レントゲンだけでは判断が難しく、超音波検査で膿がたまっているか調べたり、血液検査で炎症があるかないかを調べます。
一番の診断材料は、股関節を注射器で直接刺して膿の有無を確認する検査になります。
6.化膿性股関節炎の治療法
変形や成長障害を防ぐには、診断がつき次第、手術をすることが好ましいとされています。
変形や成長障害が起こる前に、徹底的な治療が必要です。発症してから数日以内に治療しなければなりません。
治療は手術で関節内を洗浄し、術後に抗生剤を投与します。
7.異変に気付いたらすぐに専門医へ
新生児や乳幼児に発症するため気づくのが難しく、早期に治療を開始しないと重大な後遺症を残す可能性がある疾患です。
- ミルクの飲みが悪い
- 不機嫌である
- 熱がある
- おむつの交換時に激しく泣く
- 脚を動かさない
などの症状があれば、早急に整形外科専門医を受診することが重要です。
8.化膿性股関節炎の身体的な特徴
化膿性股関節炎の身体的な特徴がいくつかあります。
当てはまるものがあればすぐに専門医を受診しましょう。
このような肢位をとるのが特徴
太もものしわが左右不均等になる