女性が歩いている様子

軽い巻き爪は放置しても大丈夫?
痛みがなくても確認したい巻き爪の進行サイン

「少し爪が巻いているけれど、痛くないからそのままで大丈夫?」

「以前より巻いている気がするけれど、治した方がいい?」

巻き爪が軽いうちは、このまま様子を見てよいのか迷う方も多いと思います。

結論からいうと、少し爪が湾曲しているだけで、痛み・赤み・腫れがなく、爪の形にも変化がない場合は、必ずしもすぐに矯正が必要とは限りません。

ただし、

  • 以前より爪が巻いてきた
  • 爪が切りにくくなった
  • 爪の端が皮膚に隠れて見えなくなった
  • 靴を履くと痛い
  • 爪を押すと痛い
  • 同じ場所を何度も深爪している

といった変化がある場合は注意が必要です。

「痛くない=進行していない」とは限らないため、痛みだけで判断しないことが重要です。

軽度の巻き爪を正面から見た写真

まず知っておきたい「巻き爪」と「陥入爪」の違い

巻き爪と陥入爪は、同じものとして扱われることがありますが、本来は少し意味が異なります。

巻き爪(pincer nail)は、爪を正面から見たときに、爪甲が横方向へ強く湾曲している状態です。

一方、陥入爪(ingrown toenail)は、爪の端が周囲の皮膚を刺激したり傷つけたりすることで、痛み・赤み・腫れ・肉芽などを起こした状態を指します。

つまり、

  • 巻き爪=爪の形の問題
  • 陥入爪=爪と皮膚の間で起きている問題

と考えると分かりやすくなります。

そのため、かなり巻いていても痛みがほとんどない人がいる一方、見た目にはそれほど巻いていなくても強い痛みが出ることがあります。

軽い巻き爪なら様子を見てもいい?

痛みがなく、次のような状態であれば、爪の変化を確認しながら経過を見ることもできます。

  • 爪の周りに赤みや腫れがない
  • 爪の両端が見えている
  • 無理なく爪を切ることができる
  • 以前と比べて巻きが強くなっていない
  • 靴を履いたときや歩いたときに痛みや違和感がない

軽い陥入爪でも、強い痛みや腫れ、化膿などがなければ、爪の切り方や靴を見直しながら経過を見ることがあります。

ただし、「今、痛くないから大丈夫」とは限りません。

爪が以前より巻いてきた、切りにくくなった、爪の端が見えにくくなったなど、爪の形が変化していないかを確認することが大切です。

爪の周りに赤みや腫れがない爪の両端が見えている無理なく爪を切ることができる以前と比べて巻きが強くなっていない靴を履いたときや歩いたときに痛みや違和感がない

痛みがなくても注意したい3つの変化

1.爪が以前より切りにくくなった

巻きが強くなると、爪切りの刃を爪の端まで入れにくくなります。

「以前は普通に切れていたのに、最近は端まで切れない」という変化は、爪の湾曲が強くなっている可能性があります。

無理に爪切りを差し込んで切ろうとすると、爪の角だけを深く切ってしまい、陥入爪の原因になることがあります。

2.爪の端が見えなくなってきた

正常な爪では、左右の爪縁をある程度確認できます。

ところが巻き爪が進んだり、爪周囲の皮膚が盛り上がったりすると、爪の端が皮膚の中へ隠れて見えにくくなることがあります。

この状態で「見えない爪の角」を自分で切ろうとすると、爪棘を残したり皮膚を傷つけたりする原因になります。

爪の端が見えなくなってきたら、自分で深く切り込まないことが重要です。

爪の端の皮膚が腫れて爪が見えにくくなった様子

3.以前より巻きが強くなってきた

痛みがなくても、数か月前の写真と比較して明らかに湾曲が強くなっている場合は注意します。

巻き爪は、爪そのものの状態だけでなく、靴による圧迫、足趾への荷重、足の変形、歩行量、爪白癬など複数の要因が関係します。

そのため、原因となる環境が続いていると徐々に形が変化することがあります。

巻き爪の見た目と痛みの強さは一致しないい

巻き爪にはさまざまなタイプがあり、見た目の巻き具合と痛みの強さが一致するとは限りません。

それほど強く巻いていなくても、爪の周りの皮膚が盛り上がっていたり、外から圧迫を受けたりすると痛みが出ることがあります。

例えば、むくみがある場合や体重増加、妊娠などによって爪周囲の軟部組織が張ると、爪の端と皮膚が接触しやすくなります。

また、

  • パンプスを履く
  • 安全靴を履く
  • 足袋を履く
  • サッカーなどでつま先に繰り返し負荷がかかる

といった環境でも、爪の周囲が圧迫されて痛みが出やすくなります。

つまり、巻き爪の痛みは「どれくらい巻いているか」だけで決まるものではありません。

爪の形、爪周囲の皮膚の状態、靴からの圧迫、スポーツや仕事で加わる力など、複数の要因が重なって痛みが生じます。そのため、「見た目ではそれほど巻いていないから大丈夫」と判断せず、痛みや爪周囲の変化もあわせて確認することが大切です。

巻き爪の痛みを決める要素を説明したベン図

軽い巻き爪でも痛くなる理由

痛みは、巻き具合だけで決まるわけではありません。

爪の端と皮膚がどのように接触しているか、さらに靴や靴下などからどの方向へ力が加わるかによって症状は変わります。

例えば、爪縁が皮膚に接している部分へパンプス・安全靴・ストッキングなどの圧迫が加われば、それほど強い巻き爪でなくても痛みが出ることがあります。スポーツで繰り返しつま先に負荷が加わる場合も同様です。

軽度の巻き爪でも痛い理由を説明したイラスト

逆に、かなり湾曲していても、爪縁が皮膚を強く刺激していなければ痛みがほとんどない場合があります。

つまり、「巻きが強いほど痛い」のではなく、爪の形と皮膚、そこに加わる力の組み合わせによって痛みが変わるということです。

重度の巻き爪でも痛くない理由を説明したイラスト

「見た目が軽い巻き爪」にも注意が必要

巻き爪の程度は、真上から見ただけでは正確に分からない場合があります。その代表が、ホッチキス型(plicated nail)の巻き爪です。

一般的なトランペット型の巻き爪では、爪全体が丸く湾曲するため、上から見ても変形が比較的分かりやすくなります。

一方、ホッチキス型では爪の中央部分が比較的平らなまま、左右の爪縁だけが急角度に下を向くことがあります。

さらに爪周囲の皮膚が盛り上がると、曲がった部分が皮膚の中に隠れます。そのため、上から見ると平らに見えるのに、爪先側から見ると爪の両端が強く曲がっているということがあります。

軽い巻き爪でも爪切りを間違うと痛くなることも

軽い巻き爪で特に注意したいのが、自己流の爪切りです。

爪の角が当たって痛いと、その部分だけを斜めに深く切りたくなります。

一時的には当たらなくなるため楽になりますが、伸びてきた爪の角が盛り上がった皮膚へ再びぶつかり、陥入爪を起こすことがあります。

さらに、爪の角を見えないところまで切り込むと「爪棘」と呼ばれる尖った爪が残り、皮膚を傷つけることがあります。「痛い場所ほど深く切る」は避けてください。

テーピングで楽になる巻き爪もある

爪の端と皮膚が接触して痛む場合は、テーピングによって皮膚を爪から離すことで、一時的に痛みを軽減できるケースがあります。

ただし、テーピングは巻いた爪そのものを持ち上げる治療ではありません。

皮膚への圧迫を減らすための応急的な方法として考える必要があります。

軽い巻き爪でまず見直したいこと

痛みや炎症がない段階では、爪だけを見るのではなく、巻き爪を起こしている環境を確認します。

  • 爪を短く切りすぎていないか
  • 爪の角を丸く切り込んでいないか
  • 靴のつま先が狭すぎないか
  • 靴が大きすぎて中で足が前へ滑っていないか
  • 母趾が十分に接地しているか
  • 以前より歩く量が減っていないか。

巻き爪には、爪そのものの問題だけではなく、靴・足の形・歩き方・活動量などが関係している場合があります。

このような場合は一度ご相談ください

「軽いから大丈夫」と判断するよりも、以前からどう変化しているかを見ることが重要です。見るべきポイントは、「痛いかどうか」だけではなく、以前と比較して爪が変化しているかどうかです。

  • 爪が切りにくくなった。
  • 爪の端が見えなくなった。
  • 以前より巻きが強くなった。

このような変化がある場合は痛みの有無に関わらず早めにご相談ください。

こんな症状は皮膚科などの医療機関へ

次のような状態では、巻き爪矯正を行う前に医療機関での診察が必要です。

  • 出血している
  • 肉芽がある
  • 強く腫れている
  • 強い痛みが続いている
  • 傷がなかなか治らない
  • 感染している可能性がある
  • 爪白癬など爪の病気が疑われる

特に糖尿病、末梢循環障害、免疫機能に関わる疾患などがある方は、自己判断で処置をせず医療機関へ相談してください。

当院では、出血や肉芽組織がある状態への巻き爪矯正は行っていません。まず皮膚科などの医療機関で皮膚の状態を改善してからご相談ください。

よくある質問

Q
痛くない巻き爪でも矯正した方がいいですか?

A

Q
軽い巻き爪は自然に治ることがありますか?

A

Q
巻き爪は自然に治りますか?

A

Q
巻き爪の端が痛いときは、自分で切ってもいいですか?

A

Q
軽い巻き爪でも急に痛くなることはありますか?

A

Q
どのような状態になったら受診した方がいいですか?

A

参考文献

  • Goldsmith LA, Katz SI, Gilchrest BA, Paller AS, Leffell DJ, Wolff K, eds. Fitzpatrick’s Dermatology in General Medicine. 8th ed. McGraw-Hill Medical; 2012.
  • 崎山とも,ほか.簡便かつ有用な巻き爪の評価法.日本皮膚科学会雑誌.2016;126(12):2275-2280.
  • Lee JI, Lee YB, Oh ST, et al. A clinical study of 35 cases of pincer nails. Ann Dermatol. 2011;23:417-423.
  • 今井亜希子.足をトラブルから守るために必要な皮膚科の知識(2)爪編.WOC Nursing. 2018;6(3):21-25.
  • 東禹彦.爪 基礎から臨床まで 改訂第2版. 東京:金原出版;2016:164.
  • 高山かおる.爪甲肥厚,爪甲鉤彎症の病態と対処.安木良博,ほか編.カラーアトラス 爪の診療実践ガイド. 東京:全日本病院出版会;2016:172-179.
  • 高山かおる,上田暢彦.第II足趾にみられる肥厚爪.皮膚病診療. 2011;33(3):233-236.
  • Baran R, Haneke E, Richert B. Pincer nails: definition and surgical treatment. Dermatol Surg. 2001;27(3):261-266.
  • Baran R, Dawber RPR, Haneke E, Tosti A, Bristow I, eds. A Text Atlas of Nail Disorders. Taylor & Francis; 2003.
  • Heifetz CJ. Operative management of ingrown toenail. Mo Med. 1945;42:213-216.
麻多 聡史
院長

この記事を書いた人

アルコット接骨院院長
柔道整復師
フットケアトレーナー・足爪補正士として足・爪領域に19年間従事。テーピングマイスター、IASTMマニュアルセラピスト、FMS 、SFMA、FCS、BPL mentorship program修了、PRIマイオキネマティック・リストレーション、ポスチュラル・レスピレーション、ペルビス・リストレーション、インピンジメント&インスタビリティ修了、脚の長さコーディネーター

    金沢巻き爪専門外来アルコットプラスロゴ

    〒920-0942 石川県金沢市小立野3丁目24-12

    受付時間月火水木金土日
    8:30 – 20:00○○ー○○○ー
    ※祝日は営業します