踵かかとの骨と足底腱膜そくていけんまくの間には、踵骨下滑液包しょうこつかかつえきほうと呼ばれる小さな液体が入った袋があります。踵にかかる刺激を吸収してかかとのクッションとして働いているのが、「滑液包かつえきほう」という小さな袋状の組織です。

しかし、踵骨下滑液包が炎症を起こし、刺激されると「踵骨下滑液包炎しょうこつかかつえきほうえん」が発生し、非常に強い痛みを引き起こします。

踵骨下滑液包の主な役割は、足底腱膜が踵骨の下側に直接擦れないようにすることです。足が過度に回内かいない（内側に傾く動き）すると、足底腱膜の張力が増加し、踵骨下滑液包炎が発生するリスクが高まります。

足底腱膜の張力が増加すると、踵骨下滑液包が足の裏に押し込まれ、歩行やランニングの繰り返しによって滑液包が炎症を起こし、痛みを引き起こします。

踵骨下滑液包炎の原因には、足の異常（過度な回内）や不適切な履物なども挙げられます。

・踵骨の下の真ん中に腫れや痛み

・裸足で歩くと踵がズキズキ痛む

・熱感を伴うこともある

・コリコリした腫瘤を触れることもある

踵骨下滑液包炎はレントゲン検査では発見が困難です。そのため症状を詳しく聞いて足底腱膜炎や踵骨の疲労骨折などと見分けることが重要です。

足底腱膜炎は踵の骨のど真ん中というよりやや土踏まず寄りに痛みが生じます。踵骨の疲労骨折は踵の骨を真横から挟むように圧迫すると痛みが強くなります。踵骨下滑液包炎では、踵の真ん中に痛みがあり、裸足で歩くことで痛みが増悪することが特徴です。

踵にかかる衝撃を減らすことで痛みも軽減します。パッド、テーピング、インソール等を使用してかかとを保護します。

どうしても歩かなければならないときは、靴のインソールの踵部分をピンポイントでくり抜くことも効果的です。

炎症を抑えるには、超音波治療により炎症を抑え痛みを軽減できます。

炎症が起きている部分への圧力を減らすために、インソールに穴を開けて痛い部分を避けるようにします。この処置によって痛みが和らぎ、症状も改善します。

ほとんどの場合、インソールを使用してしばらく時間が経過することで痛みは治まります。

剣道や空手などの裸足で踏み込む競技の場合、インソールを使うことができないため、ヒールパッドに穴を開けてテーピングで直接踵に貼り付けます。

インソールと同じく使用してしばらく時間が経過することで痛みは治まります。

拡散型体外衝撃波療法は、患部に対して高エネルギーの圧力波を送ることで、組織の修復を促進し、痛みを緩和する効果があります。衝撃波が踵の脂肪の深部に浸透し、細胞の働きを活発にすることで、炎症を抑え痛みを和らげる効果が期待されます。

滑液包や周囲の組織に対して微小な損傷を引き起こし、それが治癒プロセスを刺激します。この刺激によって新しい血管が形成され、栄養が供給されやすくなるため治癒が促進されるのです。

・非侵襲的: 切開が必要ないためリスクがほとんどありません。
・短時間で済む: 治療が短時間で済むため、忙しい方にも適しています。
・早い回復: 多くの人が数回の治療で症状の改善を実感しています。

LIPUSは低出力超音波パルス（LIPUS）は、1秒間に150万回の振動刺激を患部に照射し、患部の修復と再生を促進します。

滑液包が繰り返しの衝撃や圧力によって炎症を起こしていますが、LIPUSはこの炎症を軽減し、痛みを緩和することができます。また、組織の修復をサポートするため、治癒時間を短縮し、再発を防ぐ効果も期待できます。

かかとを囲むようにアンカーテープを巻きます。使用するテープは18mmまたは25mmの非伸縮ホワイトテープです。

水平サポートと馬蹄状テープを繰り返し貼っていき、かかとの脂肪を中央に向かって集めていきます。

面で押さえるように貼るのではなく、脂肪体を持ち上げるように貼ります。

馬蹄状テープは、かかとの脂肪を中央に向かって押し下げるように貼っていきます。

かかとの中央にしわが寄るように貼ります。

水平サポートと馬蹄状テープを少しずつズラしながら何度も繰り返します。かかとの脂肪体を周りから中央に寄せ集めてくるイメージです。

痛みのあるところはテープを貼らずに空けておきます。

最後にホワイトテープが剥がれないようにソフト伸縮テープ50mmでカバーリングします。フィギュアエイト（8の字）を半分ずつズラしながら足首〜かかとを覆っていきます。

カバーリングも同様に痛みのあるところはテープを押し付けずに乗せるだけのイメージで貼ります。