足底腱膜そくていけんまくはかかとから足の指まで続く腱けんの膜のことです。強靭な組織で、足の土踏まず（縦アーチ）を支える役割があります。また足にかかる衝撃を吸収する重要な働きをします。

足底腱膜がわずかに断裂し炎症がおこり痛みをもたらす疾患です。痛みの出る場所としては、かかとの骨の前付近に多くみられます。
４０～５０歳代以上の方に多くみられますが、スポーツ選手（長距離ランナーなど）では若年者でも発症します。足の裏やかかとを押すと痛い場所があります。
朝起床時の一歩目に特に強い痛みが特徴的です。足が地面に着く瞬間または、離れる瞬間が痛いことが多いです。長時間立っていると痛くなることもあり、悪化すると足の裏のしびれ感も感じることがあります。

足底腱膜は足部のアーチ（土踏まず）を保持する役割をしています。体重がかかったときにショックを吸収する役割があります。

ランニングやジャンプなどで体重が足にかかる場合、足底腱膜は繰り返しの刺激によって微小断裂や炎症が起こります。他には使いすぎ、硬い路面、シューズの変更なども考えれます。

　足の裏の痛み
　起床時の一歩目の痛み
　長距離を歩くと痛い
　足の裏に押さえて痛い部分がある
　足の裏のこわばり

中足骨間ちゅうそくこつかんのチネル徴候ちょうこうや圧痛あっつう、foot squeezeテスト、足の裏の知覚検査ちかくけんさ、フットプリントなどを行います。

足底腱膜は、かかとの骨（踵骨）の内側に付着しており、エコー検査では、足底腱膜が帯状の白い線として映し出されます。

足底腱膜が付着している部分が厚くなり、かかとの骨に小さなトゲができることがあります。足底腱膜の表面に沿って異常な血流が見られることがあり、これが炎症を示します。

足底腱膜炎では腱膜の付着部から少し離れた部分で腱膜が厚くなっていることがあります。この部分には、エコー検査で異常な領域が映し出されることがあります。

①足底腱膜炎（実質部）
②足底腱膜炎（付着部）
③踵部脂肪褥炎（有痛性踵パッド）
④Jogger’s foot（内側足底神経絞扼性障害）
⑤外側足底神経第１枝絞扼性障害（Baxter’s nerve entrapment）

足底腱膜炎の初期症状：初期の足底腱膜炎では、足の裏やかかとに痛みを感じることが多いですが、腫れや熱感、赤み（発赤）はほとんど見られません。

慢性化した足底腱膜炎：足底腱膜炎が慢性化すると、かかとの部分が腫れたり、赤くなったりすることがあります。また、有痛性踵パッド（③）と呼ばれるかかとの脂肪組織が炎症を起こす状態を併発すると、さらに腫れや赤みが見られることがあります。

その他の関連疾患
1.Jogger’s foot（④）:
・原因: 内側足底神経が足の裏で圧迫されることによって起こります。
・特徴: 主にランナーに多く見られ、足の裏に痛みを感じます。長距離を走る人に多いです。

2.外側足底神経第1枝絞扼性障害（⑤）:
・原因: 外側足底神経の第1枝が圧迫されることで起こります。
・特徴: かかとの内側を押すと痛みがあり、その痛みが足全体に広がることがあります。

足底腱膜炎の治療を始める前に、まず知っていただきたいのは、人それぞれ足の形が異なるということです。足の形に合わせて治療法も異なります。

柔らかい足: 体重がかかると足のアーチ（足の土踏まず）がつぶれやすい人は、柔らかい足と呼ばれます。このタイプの足はクッション性があり柔軟ですが、過度に柔らかいと負担がかかりやすいです。

硬い足: 体重がかかっても足の形があまり変わらない人は、硬い足と呼ばれます。このタイプの足は安定していますが柔軟性が低いため、衝撃を吸収しにくくなります。

回内足（足が内側に倒れる）: このタイプの足は、土踏まずの中央部に痛みが出やすいです。足が内側に倒れることで、土踏まずに過剰な負担がかかるためです。

甲高の足（高いアーチ）: 甲が高い人は足の柔軟性が低く、足の筋膜（筋肉を包む膜）を損傷しやすいです。このタイプの足は、硬くて衝撃を吸収しにくいため、足底腱膜に負担がかかりやすくなります。

足底腱膜炎の効果的な治療を行うためには、まず自分の足がどのようなタイプかを知ることが重要です。足の柔らかさや硬さ、アーチの高さなどを理解することで、最適な治療法を選ぶことができます。

・体外衝撃波
・インソール
・筋膜リリース
・ストレッチ
・夜間装具
・運動療法

足底腱膜炎の痛みにお困りの方に、拡散型体外衝撃波療法（ESWT）が効果的な治療法として注目されています。強力な衝撃波を使って体内の特定の部位を治療する方法です。体の外から当てられるため手術のような切開は必要ありません。

1.血流の促進: 血流が増加し傷ついた組織が修復されることで痛みが和らぎます。

2.炎症の軽減: 炎症を抑え、足底腱膜の腫れや痛みを軽減します。

3.新しい血管の生成: 衝撃波は新しい血管の生成を促し、患部への酸素や栄養の供給が増え治癒が促進されます。

・非侵襲的: 切開が必要ないためリスクがほとんどありません。
・短時間で済む: 治療が短時間で済むため、忙しい方にも適しています。
・早い回復: 多くの人が数回の治療で症状の改善を実感しています。

筋膜リリースは、筋肉や筋膜（筋肉を包む薄い膜）を柔らかくして、痛みを和らげる方法です。特に足の裏にある筋膜を対象に行うことで、足底腱膜炎の症状を改善します。

1.筋膜の緊張をほぐす: 足底腱膜が硬くなっていると、痛みが増します。筋膜リリースでは手や道具を使って筋膜を柔らかくし、緊張をほぐします。

2.血流の改善: 筋膜リリースによって筋肉がリラックスすると、血流が改善されます。これにより患部に酸素や栄養が行き渡り、治癒が促進されます。

3.動きの改善: 筋膜の柔軟性が戻ると足の動きがスムーズになります。これにより足底腱膜への過度な負担が減り、痛みの再発を防ぐことができます。

オーダーメイドインソールは、あなたの足の形や歩き方に合わせて特別に作られた靴の中敷きです。一般的なインソールと違い、個々の足の特徴にぴったりフィットするように設計されています。

1.足のアーチをサポート: インソールは足のアーチをしっかりサポートします。足底腱膜にかかる負担が軽減され、痛みが和らぎます。

2.圧力を分散: インソールが足全体にかかる圧力を均等に分散するため、特定の部位にかかる過度な負担が減ります。炎症や痛みが軽減されます。

3.正しい歩行を促進: インソールは正しい歩行姿勢をサポートします。足や脚全体のバランスが改善され、長期的な痛みの予防につながります。

オーダーメイドインソールは、足の形や歩き方に合わせて作られた特別な中敷きです。これを使うことで足底腱膜炎の痛みを和らげ、再発を防ぐことができます。日常生活で簡単に使用できるため、長期的な効果が期待できます。

足底にアンカーテープを２本貼ります。
アンカーテープとは、テーピングを行う際に最初に貼るテープで、他のテープを固定するための「土台」となるテープのことです。これにより、テーピング全体がしっかりと安定し、ずれにくくなります。

土踏まずをサポートするアーチサポートテープを貼ります。
母趾球を始点にして、踵を通って同じ場所に戻ります。次に小趾球を始点にして、踵を通って同じ場所に戻ります。

少しずつ中央にずらしながら交互に繰り返し、足の裏全体をカバーします。

横アーチを支える水平サポートを貼ります。
足底腱膜の付着する踵の骨から足の裏を押し上げるように外側(小趾側）から内側（母趾側）方向に横アーチを貼ります。
テープを指方向に1/2〜1/3ずらしながら、足の裏全体をカバーする。

横アーチの端を止めるように、アンカーを貼り完成です。
アンカーテープがしっかりと固定されていることで、全体のテーピングが効果的になります。

この写真のように、母趾球部分を壁に当て指をしっかりと反らせます。硬い足の人はアーチが高いため、アーチを平らにするようにセットします。
その後、膝を壁の方向に倒します。そのまま30秒ストレッチします。

朝の一歩目の痛みに対しては、「足底腱膜サポート歩行」が有効です。

これは足のゆびを目一杯曲げることで、足の裏の筋肉を働かせアーチを高めます。そうすることで足底腱膜を保護することができます。

朝起きてすぐは体がまだ温まっていないため、痛みを起こしやすい状態です。朝の一歩目や夜中にトイレに行く際などは「足底腱膜サポート歩行」を徹底してください。

ナイトブレースというのは、夜間装具のことです。
夜寝ているときは、足首が下にさがり足の裏が縮んでいる状態です。朝起きて足をつけた時に、いきなり足の裏が引き伸ばされることで強い痛みを感じます。それを防ぐために夜間寝ているときに足首を90°以上に保ち、アキレス腱や足の裏の筋肉をストレッチした状態でキープしておきます。

①体重が重い人: 体重が増えると足にかかる負担が増えるため、足底腱膜炎になりやすくなります。

②運動量が多い人: 特にランニングやジャンプを頻繁に行うスポーツ選手は、足底腱膜に繰り返し負担がかかるためリスクが高くなります。

③柔らかい足: 体重がかかると足のアーチがつぶれやすい人です。過剰に柔らかいと腱膜に負担がかかりやすく、足底腱膜炎を引き起こしやすくなります。

④不適切な靴を履いている人: サポートが少ない靴やクッション性がない靴を履いていると、足底腱膜に負担がかかりやすくなります。

⑤アキレス腱の硬い人：衝撃を吸収しにくく、足底腱膜に負担がかかりやすいです。

⑥立ち仕事が多い人: 一日中立っている仕事をしている人は、足に負担がかかりやすく、足底腱膜炎になりやすいです。