外脛骨がいけいこつ は、足の舟状骨しゅうじょうこつの内側に存在する過剰な骨で、日本人の約21.2%に見られる最も一般的な過剰骨かじょうこつです。発達の過程で元の骨と癒合しなかったり分かれたりした骨と考えられます。

この骨自体は通常、病気ではなく、ほとんどの人は痛みを感じません。

しかしスポーツ活動や外傷、靴の圧迫、扁平足などが原因で痛みが生じることがあります。この状態を「有痛性外脛骨ゆうつうせいがいけいこつ」と呼びます。小学生の高学年以降に多く見られる障害です。

有痛性外脛骨の痛みの原因としては、以下のようなものがあります：

・軟骨結合なんこつけつごうの損傷: 外脛骨と舟状骨間の軟骨の損傷。
・裂離骨折れつりこっせつ: 外脛骨が剥がれるような骨折。
・後脛骨筋腱付着部炎こうけいこつきんけんふちゃくぶえん: 後脛骨筋が付着する部分の炎症。
・靴の圧迫: 靴が外脛骨を圧迫することによる痛み。

　内くるぶしの前方が隆起してくる
　外脛骨を押さえると痛い
　運動を繰り返しているうちに痛みが強くなってくる
　スポーツ活動が盛んな１０～１５歳に発症することが多い

女子に多く発症し、扁平足へんぺいそくが発症に関与しているといわれています。サッカー選手に多いのも特徴です。

これらの選手には特徴があり、Knee In Toe Out姿勢となっていることが多くあります。

・左の図: 足を揃えて立っているときの姿勢です。X脚気味でつま先が外を向きます。

・中央の図: 片脚で立っているときの姿勢です。この姿勢では、体重が内側にかかりやすくなります。

・右の図: 後ろから見たときの姿勢です。この姿勢では、片脚で立つと内側に体重がかかりやすいことがわかります。

・Knee In Toe Out姿勢では、足の内側に体重がかかりやすくなります。

・片脚荷重のとき、特に体重が内側に強くかかり、足が内側に倒れる「回内足」の傾向が顕著になります。

Veitchは外脛骨を3つのタイプに分類しています：

・タイプI：舟状骨から離れて独立して存在し、円形で小さい骨。後脛骨筋腱内にあります。
・タイプII：舟状骨に隣接し、線維性または軟骨性に結合している骨。痛みを引き起こしやすいのはこのタイプです。
・タイプIII：舟状骨と骨性に癒合して突起を形成している骨。

当院では超音波エコーを用いて外脛骨の状態を正確に把握します。タイプⅠ、Ⅱでは外脛骨が舟状骨から分離した様子が観察できます。

有痛性外脛骨では外脛骨と舟状骨の間や後脛骨筋腱付着部に異常血流を認めることもあります。

・体外衝撃波治療
・低出力超音波パルス療法
・テーピング
・インソール
・靴による調整

近年、衝撃波治療がスポーツ障害の治療に広く使われるようになってきました。この治療法はさまざまな難治性の腱や骨の問題に対して効果的です。
子供の有痛性外脛骨にも安全に使用でき、外脛骨にも問題なく適用できます。運動療法と併用することで、さらに良い効果が期待できます。

1.自由神経終末の破壊: 痛みを感じる神経の末端を破壊します。

2.組織修復の促進: 必要な神経や血管の新生を促し、組織の修復を助けます。

手術をすることなく麻酔も必要ありません。何回かの治療で効果が出ることが多く、普段の生活に早く戻ることができます。

LIPUS（低出力超音波パルス療法）は、低出力の超音波をパルスとして患部に当てる治療法です。超音波が体内の組織に微細な振動を与え、外脛骨の治癒を促進します。

1.組織の修復を促進: 細胞の活動が活発になり組織の修復が促進され、外脛骨の痛みが軽減されます。
2.血流の改善: 血流を改善し、患部への酸素や栄養の供給が増えます。これにより、治癒がさらに促進されます。
3.炎症の軽減: 炎症を抑える効果があり、外脛骨周辺の腫れや痛みが軽減されます。

足首を90°に保ちます。足の裏にテープを貼るため、汚れを拭き取ります。

足の裏に伸縮テープの75mmを貼ります。
踵から中足骨頭部に向けて、最初はテープの小指側のみ貼ります。残りの土踏まず側は横方向に引っ張るように貼ります。

次は土踏まずの下に50mmの伸縮テープを貼ります。同じく土踏まずの下は横方向に引っ張って貼ります。

ホワイトテープ25mmを使って土踏まずを持ち上げます。足の裏から足の甲に向かって引っ張りながら貼ります。Xになるようにテープを交差させます。この工程を３〜４回繰り返します。

ソフト伸縮テープを用いてラッピングします。この時もアーチを持ち上げるように土踏まずの下はテンションをかけて巻いていきます。

そのままヒールロックで踵の傾きを調整して出来上がりです。

有痛性外脛骨は症状が出ない場合もありますが、特定の要因があると発症しやすくなります。特に扁平足の人や足の内側の筋肉が弱っている人に多く見られます。

そのため足のアーチをサポートするインソールが効果的です。これにより足の負担を軽減し、痛みを和らげます。特に踵の倒れ込みが強い場合は、内側に傾斜のあるインソールが有効です。

靴のかかと部分が硬い素材で作られているものを選びます。これによりかかとの安定性を高めます。

有痛性外脛骨と関連がある足のトラブルには、扁平足へんぺいそくと回内足かいないそくがあります。外脛骨には後脛骨筋腱が付着していますが、この筋肉は足のアーチを支える重要な役割を果たしています。
扁平足と回内足を改善するエクササイズを紹介します。

扁平足とは、足のアーチ（土踏まず）が低くなっている状態のことです。足の裏が平らで、地面にぴったりと接している状態です。

足のアーチは歩いたり走ったりするときに重要な役割を果たします。アーチがあることで足にかかる衝撃を吸収し、体重を均等に分散させることができます。

・遺伝: 家族に扁平足の人がいる場合、遺伝的に扁平足になりやすいです。
・筋力の低下: 足の筋肉が弱くなると、アーチが支えられなくなり、扁平足になります。
・過度な負荷: 長時間の立ち仕事や過度の運動が、足のアーチに負担をかけて扁平足になることがあります。

回内足とは、足が内側に倒れ込む状態のことを指します。歩いたり立ったりするときに、足の内側に体重がかかりやすくなります。

・足の内側に体重がかかる: 回内足の人は歩行や立位時に足の内側に体重がかかりやすく、足の外側が浮いてしまうことがあります。

・土踏まずの低下: 回内足では、足のアーチ（土踏まず）が低くなりがちです。これは足の内側に体重がかかることでアーチがつぶれてしまうためです。

足の指でタオルをつかむ運動です。これにより、足の指の筋肉と足の内側の筋肉を強化し、内側のアーチを支える力を高めます。

最初はゆっくり確実に足の指を曲げることを意識して行います。憤れてきたら徐々にスピードを上げていきます。

ボールを両足で挟んで内側に力を入れる運動です。これにより、後脛骨筋の強化と内反筋力の増強を図ります。

つま先立ちをすることで、ふくらはぎの筋肉を強化し、足の内側への負担を軽減します。

ゴルフボールやテニスボールを土踏まずからかかとにかけて転がす運動です。足の関節が自然に動き、痛みを和らげる効果があります。