
巻き爪治療の前に、爪について少しお勉強していきましょう。
巻き爪が全身に影響を及ぼす理由
爪は小さなパーツですが、なくてはならない存在です。
爪の主な働きは次の通りです。
- 指を保護する
- 指の力を強くする
- 指の感覚を鋭くする
- 指の動きのバランスをとる

もし足の爪がなかったら、歩くときに爪先に力が入らず足で地面をしっかりと蹴りだすことができません。
さらにバランスも崩れて転倒の原因にもなります。
爪の構造
①爪甲(nail plate)
爪の本体のことです。髪の毛と同じでハードケラチンで出来ています。
②爪溝(nail grooves)
爪の根本と両側には溝があり、これを爪溝といいます。根本の溝は深く、両側の溝は浅くなっています。
③後爪郭(posterior nail fold)
根本の爪甲を囲んでいる皮膚のことです。
④側爪郭(lateral nail fold)
爪甲の両側を囲んでいる皮膚のことです。爪甲を指の背面に固定する役割があります。
陥入爪(深爪)では、側爪郭に炎症が起こっています。
⑤爪上皮(cuticle)
甘皮とよばれる部位のことです。爪甲と後爪郭の隙間を閉じる役割があります。
⑥爪根(nail root)
爪甲の根元部分をいいます。実際には後爪郭に覆われていて表層からは見えません。
⑦爪母(nail matrix)
爪を作り出す部分です。大部分は後爪郭に覆われていて見えません。この爪母になんらかのトラブルがあると、病的な爪甲を形成することがあります。
⑧爪床(nail bed)
爪甲の下にある軟部組織のことです。正常な状態ではほとんど角化しませんが、病的な状態では角質が爪甲下に形成されます。
⑨爪半月(lunula)
爪の根元の半月状の形をした乳白色の部分です。皮膚に覆われていない爪母ともいえます。
⑩黄線(yellow line)
爪甲が爪床から離れる部位で、0.5~1.5mmの黄白色の横線のことです。


爪の成分はなに?1か月にどれくらい伸びるの?
爪の大部分は爪母のケラチノサイトというところで作られます。爪床でも作られているとの説もありますが、病的な状態に限られるのではないかといわれています。
爪は髪の毛と同じタンパク質の一種のハードケラチンから出来ています。
足の爪は1日に約0.05mm伸び、1ヶ月で約1.5mm伸びます。
母趾の爪が最も速く伸び、小趾の爪は最も遅いとされており、加齢とともに伸長速度は遅くなります。

爪の水分
爪甲は12~16%が水分とされています。その水分は爪床から供給されています。
爪が伸びてくると白くなるのは、爪床からの水分の供給がなくなり水分の含有量が低下するためです。
さまざまな巻き爪治療のメリット・デメリット

世の中にはさまざまな巻き爪の治療法が存在します。
これらののメリットデメリットなどについて詳しく述べていきます。
VHO式爪矯正法
VHO式爪矯正法とは

まずはVHO式爪矯正法について説明していきます。

VHOとはどんな意味なんですか?

VHOとは、Virtouse(熟練した)、Humane(痛みが少ない)、Orthonyxie(まっすぐな爪)の頭文字をとってつけられた名前です。
陥入爪や巻き爪に対して特殊なワイヤーを用いた治療法です。
VHOの実際

どのような治療なんですか?

まず専用のワイヤーを爪の大きさに合わせてカットします。
それを爪の両側にひっかけ、フックを巻き上げ爪の両側を持ち上げます。
余分なワイヤーをカットした後、ジェルネイルで固定します。


どのような利点がありますか?

爪に引っかけるだけなので、麻酔なしで施術可能な点です。

欠点はありますか?

施術者の技術により効果にばらつきがある点や、ワイヤーを外した際に再発するリスクが高い点です。
また、ワイヤーを1年近く爪の表面につけっぱなしにするため、見た目も気になります。
履ける靴や靴下に制限がありますね。
爪先がないと施術できないのもデメリットの一つです。
その他の矯正ワイヤー

VHO式爪矯正法以外にワイヤーを使った矯正法はありますか?

まず有名なのがマチワイヤですね。
これについては後程述べます。
あとは、
ワイヤー付きのプレートを接着剤で爪に固定して矯正するポドフィックス(podo fix®)、
ワイヤー付き樹脂を爪の縁にひっかけて矯正するコンビペド(COMBI ped®)、
バネ加工されたワイヤーを使用して矯正する3TOプラス(3TO PLUS+®)などがあります。
マチワイヤ
マチワイヤとは

次に超弾性ワイヤーを用いたマチワイヤによる巻き爪治療について説明します。

マチワイヤは何で出来ているんですか?

ニッケルとチタンの合金で出来ています。
超弾性を有していて、曲げても元に戻る性質を持っています。

どうやって爪に取り付けるんですか?

爪の先端に注射針で両側2か所に穴を開けます。
その穴にワイヤーを通して、ワイヤーがまっすぐに戻る力を利用して爪を平らにします。

治療方法
マチワイヤの治療手順

マチワイヤによる巻き爪治療の手順について教えてください。

まずは爪を適切な長さにカットして、爪の端に注射針を使って穴を開けます。
2つの穴にワイヤーを通して、余ったワイヤーをカットし、接着剤で固定します。
その後、徐々に爪の形が改善していきます。



どのくらいの治療期間が必要ですか?

巻きの強さや程度によって異なりますが、巻きの強い人ではかなり長期間に渡ってワイヤーを入れておく必要があります。
利点と欠点

マチワイヤによる巻き爪治療の利点について教えてください。

やはり強制力の強さでしょう。厚い爪であっても矯正が可能です。
また、1ヶ月~1ヶ月半に1度の通院ですみますから患者さんにとっては楽でいいですね。

欠点はありますか?

爪に穴を開けるので爪を傷つけることになります。
薄い爪や硬い爪に穴を開けると割れてしまうことがあります。
また、爪が欠けワイヤーが外れるとワイヤーがピンと立ってしまい危険です。

爪に穴を開けるんは怖いですね

そうですね。これは欠点ではないのですが、注射針を使いますので医師でなければ出来ない治療法です。
施術できる病院やクリニックが限られているのが実際のところです。
爪のテーピング法

自分でできる簡単な巻き爪治療はありませんか?

応急処置など用途は限られますが、テーピングによる治療も有効です。

どのような方法なんですか?

刺さっている爪から皮膚をテープで牽引し、皮膚を引き離すことによって皮膚を保護する方法です。

テーピングの方法を詳しく教えてください。

まず、幅1~1.5cm、長さ5~8cmの弾性絆創膏を準備します。
爪のまわりを囲むように爪の上から側面の皮膚にテープを貼り、爪から皮膚を引き離すようにテープを引っ張ります。
反対側のテープの端をらせん状に貼り付けます。
その上からサージカルテープをさらに引っ張りながら貼って完成です。



注意点はありますか?

指を1周巻くと循環が悪くなってしまうため、1周巻くことはしないでください。

詳しくは動画を参考にして下さい。
手術療法

かなり痛みが強く日常生活に支障があるような例では手術療法が検討されます。
フェノール法

どのような巻き爪に対して適応となるのですか?

中等度の巻き爪に対して行われます。

どのような方法ですか?

刺さっている爪を切除し抜爪した後、液状フェノールによって爪母細胞を化学的に焼いてしまう方法です。



想像しただけで痛そうですね。

そうなんです。巻き爪の手術はとても痛いんです。
当院にいらっしゃる患者さまの中には手術だけは絶対にイヤという方も多いです。
鬼塚法

鬼塚法は重症例に対して行われる手術療法です。

どのような方法ですか?

刺さっている爪の辺縁を切除し抜爪します。
その後、爪母、爪床、爪のサイドの皮膚、側骨間靭帯を一塊にして切除してしまう方法です。

手術療法の問題点

なんだか手術による治療は恐ろしいですね。
すごく痛そう…

そうなんです。
手術による治療はすごく痛いんです。
もちろん麻酔をするのですが、この麻酔をするときがまた痛いんです。

巻き爪の手術動画です。
出血を伴う映像が流れますので、苦手な方は飛ばして下さい。

手術による治療にはどのようなリスクがあるのでしょうか?

糖尿病や下肢の動脈硬化がある場合には感染などのリスクがあります。
組織を切開し出血を伴うわけですから、術後の炎症や腫れ、痛みなどは当然起こります。

手術にはどのような問題点があるのでしょうか?

フェノール法にしろ鬼塚法にしろ爪母を破壊するため、手術をすると爪の形は二度と元に戻ることはありません。
術後十数年たって爪の変形や痛み、歩行困難が起こる可能性があるといわれています。



再発するんですか?

約30%に再発が起こるとされています。痛い思いをして1/3が再発するなんて悲惨ですよね。

どのくらいの割合で巻き爪の手術が必要になるのですか?

現在では手術以外の方法が開発されているため、手術に至るケースは減ってきているものの、少なからず現在でも行われている治療法です。
これには医師が手術治療以外の方法にあまり関心がないためともいわれています。
そのため患者さん自身が巻き爪治療に対して正しい知識を持つことが必要です。
当院の巻き爪矯正
当院の巻き爪矯正は痛みを伴いません

当院の巻き爪矯正は世界特許の画期的な方法で、爪を傷つけず痛みなく施術を行うことができます。

どのような方法なんですか?

当院の巻き爪矯正は、専用の特殊な器具を爪に取り付けることで、巻き爪を矯正する技術です。
爪の先がない状態や深爪の状態、根元が巻いている爪に対しても施術可能です。
施術時間は両側で30~40分ほどです。
痛みを感じることはほとんどなく、ウトウト眠ってしまうほどです。

当院の巻き爪矯正の実際の映像です。

どのような特徴があるんですか?

なんといっても施術に痛みがないことが特徴です。
ワイヤーを使わないため目立たないのも人気の理由の一つです。

施術後はどのような靴でも履けるんですか?

はい。治療器具は薄く削って綺麗に仕上げるため見た目では何がついているのかわからないくらいになります。
そのためワイヤーのように靴や靴下に引っかかることもなく、靴に制限はありません。


他にはどのような特徴がありますか?

もう一つの大きな特徴は爪先が短い深爪にも対応可能な点です。
他の治療法は爪先が伸びていないと施術できないものも多く、他院で断られて当院に来院される方が多くいらっしゃいます。
当院の巻き爪矯正は陥入爪(いわゆる深爪)による痛みにも対応可能です。
また、根元上げという施術方法があり、これにより再発率を大きく下げることができます。


深爪の矯正動画です。

通院はどのくらい必要なんですか?

通院頻度は1ヶ月に1度で済みます。
治癒までにどのくらいの期間が必要かというと、巻きの程度や爪の厚さなどによって異なりますが、おおむね3~6ヶ月ほどです。
次のような症状の方は病院での治療が必要です

・血が出ている方
・化膿している方
・糖尿病で治療中の方
・爪の感染症がある方
・傷口があり化膿している方
上記の方は、当院での矯正はできません。
まずは、病院で傷口や化膿の治療を受けてください。
大切なのは、血が出たり化膿したりする前にきちんとケアをして巻き爪を悪化させないようにすることです。

ペディグラステクノロジーは、皮膚を傷つけるなどのリスクが伴わないと判断した陥入爪や巻き爪の状態を補正しています。
しかしリスクが高いと思われる場合には、医療機関への診察を常にご案内しています。