前足根管ぜんそこんかんは足首の前方にある線維骨性のトンネルで、下伸筋支帯かしんきんしたいとその下にある骨の間の前足根管ぜんそっこんかんは足首の前方にある線維骨性のトンネルで、下伸筋支帯かしんきんしたいとその下にある骨の間のスペースのことをいいます。
下伸筋支帯（屋根）、内果（内側）、外果（外側）、および距舟関節包（床）で囲まれています。その中には、足背動脈/静脈、深腓骨神経、前脛骨筋腱、長母趾伸筋腱、長趾伸筋腱、第三腓骨筋が通ります。

前足根管症候群は、足の甲にある深腓骨神経が圧迫されることで起こります。一般的な原因は、怪我や長期間にわたる小さなダメージによって、神経が下伸筋支帯の下で圧迫されることです。
他にも距舟関節を覆う長母趾伸筋腱の下や、第1・第2中足趾節関節（MTP関節）を覆う短母趾伸筋の下で圧迫されることもあります。

深腓骨神経は、坐骨神経から続く総腓骨神経から枝分かれした神経です。この神経は、ふくらはぎの前側を走っており、骨の間を通っています。足首の少し手前で、深腓骨神経は2つの枝に分かれます。

1つ目の枝は、足の甲の外側にある筋肉（短趾伸筋や短母趾伸筋）を動かす役割を持っています。2つ目の枝は、足の甲の内側を走り、足の親指と隣の指の間に感覚を伝える役割を果たします。

また、この神経はふくらはぎの前側にあるいくつかの筋肉（前脛骨筋、長趾伸筋、第三腓骨筋、長母趾伸筋）を動かすための信号を送る役割も持っています。

・下伸筋支帯による圧迫
・足首や足の周りにできるガングリオンや腫れた血管
・余剰な骨の突起による圧迫
・特定の筋肉の肥大や腱による圧迫
・きつい靴やスポーツ用品、軍隊用のブーツなどの外部からの圧力
・ダンスやサッカー、ダイビング、イスラム教の祈祷など、足首を極端に曲げる動作
・足首をひねったり、足首が不安定であることによる損傷

・足の甲や特に第１趾と第２趾の間の鋭い痛みやしびれ、チクチクする感覚
・深腓骨神経を軽く叩くと、叩かれた場所から遠くに向かってしびれや痛み（Tinel徴候）

深腓骨神経の部分を叩いて、しびれや痛みが再現されるか確認するテスト（Tinel sign）が判断に役立ちます。通常、足の甲にある足背動脈の拍動を見つけ、すぐ内側を叩くことで認められます。

・靴による圧迫の除去、靴紐の調整
・伸筋支帯への徒手療法
・神経モビライゼーション
・エコーガイド下電気刺激療法
・パッドによる神経の保護
・効果がない場合は病院で注射・投薬・手術など

超音波（エコー）を使って神経障害部位を正確に確認しながら行う電気刺激療法です。超音波は体の内部をリアルタイムで映し出すことができるので、治療箇所を特定できます。電気刺激は筋肉や神経を刺激することで、痛みを軽減し、治癒を促進します。

圧迫されている神経の負担を減らすために、厚さ5㎜ほどの馬蹄形のパッドを使用します。パッドを使い始めてから約2～3週間ほどで症状が軽くなります。