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骨化性筋炎とは

骨化性筋炎こっかせいきんえんとは、筋肉の中に骨のような硬い組織ができてしまう状態のことです。
強い打撲だぼくや筋肉の大きな損傷のあとに、筋肉の中で出血や炎症が起こり、その回復の過程で誤って骨の組織が作られてしまうことがあります。これを骨化性筋炎と呼びます。
特に、太ももを強く打ったあとに起こりやすく、スポーツをしている人(小児や若年成人)に多くみられます。

多くの場合、時間がたつと少しずつ小さくなったり、体に吸収されたりしますが、回復までに数か月かかることもあります。

骨化性筋炎とは

打撲以外にも起こる?

外傷(打撲など)が最も多い原因ですが、外傷がなくても発症する場合があります。

  • 遺伝によるもの
  • 手術後
  • 脊髄損傷せきずいそんしょう
  • 明らかな原因がない反応性の骨化
  • 神経疾患(脳・脊髄の障害など)
  • 動脈硬化どうみゃくこうか靭帯じんたいの骨化などの関連病態

起こりやすいスポーツ

  • アメリカンフットボール
  • ラグビー
  • サッカー
  • バスケットボール
  • アイスホッケー
  • 格闘技

いずれもコンタクト(接触)が多く、筋肉に強い打撲が起こりやすいスポーツです。

内果疲労骨折が起こりやすいスポーツ

発生メカニズム

① 強い打撲・筋損傷が起こる

スポーツ中の衝突や転倒などで筋肉が強く押しつぶされると、筋線維が損傷し、筋肉内で出血が起こります。
特に太もも(大腿四頭筋だいたいしとうきん)で多く、いわゆる「モモかん」が典型例です。

強い打撲・筋損傷

② 筋肉内に血腫ができる

損傷した部位に血液がたまり、血腫けっしゅ(血のかたまり)ができます。
この血腫が大きいほど、骨化性筋炎が起こるリスクが高くなります。

筋肉内に血腫

③ 炎症と修復反応が起こる

体は傷を治そうとして炎症反応を起こし、修復のための細胞が集まります。
本来は筋肉を修復するための筋細胞の代わりに骨細胞が形成されてしまいます。

炎症と修復反応

④ 修復の過程で「骨を作る細胞」が入り込む(受傷後4週以内)

血腫の中に、骨を作る細胞(骨芽細胞こつがさいぼうなど)が入り込み、本来筋肉になるべき組織が骨の組織へ誤って分化してしまいます。これが「異所性骨化いしょせいこっか」の始まりです。

骨芽細胞の侵入

⑤ 筋肉の中に石灰化 → 骨化が進む(4〜8週)

最初はカルシウムが沈着する「石灰化せっかいか」が起こり、その後、数週間〜数か月かけて本物の骨に近い組織へ成熟します。

筋肉内の石灰化

⑥ 硬いしこり(骨様組織)として完成

筋肉の中に骨のような硬いかたまりができるため、

  • 運動時痛
  • 筋肉の硬さ
  • 関節が動かしにくい

などが起こります。

骨組織の完成

症状

  • 打撲した筋肉の痛みが長く続く(通常の打撲より治りが遅い)
  • 筋肉の中に硬いしこり(骨のような塊)を触れる
  • 動かすと痛みが強くなる(運動時痛)
  • 筋肉が硬くなる・張る感じがある
  • 関節の動きが悪くなる(可動域制限)
  • れ・熱感がある
  • 力が入りにくい
  • 運動後や翌日に痛みが増す
  • 朝や夜に痛みが強くなることがある
骨化性筋炎(筋肉の中のしこり)

原因

外傷がきっかけ

  • 強い打撲
  • 筋肉の挫傷ざしょう
  • スポーツ中の接触プレー、転倒、衝突による筋損傷
骨化性筋炎(強い打撲)

筋肉内の出血(血腫)

  • 損傷部位に血のかたまりができる
  • 大きな血腫ほど発症しやすい
  • 血腫内で異常な修復が起こり骨が形成される
骨化性筋炎(血腫)

回復途中の過度な刺激

  • 早すぎる運動復帰
  • 無理なストレッチ
  • 強すぎるマッサージ
  • 過度なリハビリ

再出血を起こし、骨化を促進する

骨化性筋炎(無理なストレッチ)

初期処置の不十分さ

  • 安静不足
  • 冷却・圧迫などの処置を行わなかった
  • 炎症や出血を抑えられなかった

反復外傷

  • 同じ部位への繰り返しの衝撃
  • 治りきる前に再受傷
骨化性筋炎(反復外傷)

検査

レントゲン検査(整形外科による)

  • 受傷後すぐには写らないことがある
  • 多くは発症後2〜4週間以降に骨化が確認できる
  • 数週間〜1か月後に異常が見えることがある
骨化性禁煙のレントゲン検査

超音波検査(エコー)

  • レントゲンより早期に変化を捉えられる場合がある
  • 石灰化(カルシウム沈着)や血腫の状態を確認できる
骨化性筋炎のエコー検査

治療法

保存療法(基本的な治療)

  • 安静・患部の保護
    • 無理に動かさず、負担を避ける
    • 局所の安静が重要
  • 痛みや炎症を抑える処置
    • 冷却(アイシング)
    • 鎮痛薬ちんつうやく抗炎症薬こうえんしょうやくの使用(整形外科による)
  • 経過観察
    • 多くの場合、時間とともに小さくなる・吸収される
    • 骨が成熟するまで様子を見る
骨化性筋炎(アイシング)

リハビリテーション(理学療法)

  • 関節の可動域訓練
  • 軽いストレッチ(痛みのない範囲)
  • 筋力低下を防ぐトレーニング(低負荷から)
  • 段階的な運動復帰プログラム

強すぎるストレッチや過度な運動は悪化要因になるため、無理をしない範囲で行う

骨化性筋炎(愛護的な関節可動域訓練)
麻多 聡史
院長

この記事を書いた人

アルコット接骨院院長
柔道整復師
フットケアトレーナーマスターライセンス、足爪補正士、テーピングマイスター、IASTMマニュアルセラピスト、FMS 、SFMA、FCS、BPL mentorship program修了、PRIマイオキネマティック・リストレーション、ポスチュラル・レスピレーション、ペルビス・リストレーション、インピンジメント&インスタビリティ修了