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足関節内果疲労骨折とは

足関節の内側にある脛骨遠位端けいこつえんいたんの突出部(内果ないか・内くるぶし)に、繰り返しの荷重ストレスが加わることで生じる疲労骨折ひろうこっせつです。下肢に起こる疲労骨折全体のうち約0.6〜4%と少なく、比較的まれなケガです。初期には骨ストレス反応(stress reaction)として始まり、負荷が継続すると内果疲労骨折へ進行します。

発見が遅れると、ひびの状態だった骨折が完全に折れてしまったり、治るまでに長い時間がかかったり、最終的に骨がくっつかない状態(偽関節ぎかんせつ)になることがあります。

内果疲労骨折

疲労骨折とは?

疲労骨折とは、転倒などの一度の強い外力ではなく、同じ部位に繰り返し加わる小さな負荷(ランニングやジャンプなど)によって骨に微小な損傷が蓄積し、骨の修復が追いつかなくなることで生じる骨折です。スポーツ活動などの過度な使い過ぎ(オーバーユース)によって起こる代表的な障害の一つです。

疲労骨折とは

起こりやすいスポーツ

  • サッカー 25%
  • 陸上 24%
  • バスケット 13%
  • 野球 9%

走る・跳ぶの繰り返しが多い競技で起きやすい

内果疲労骨折が起こりやすいスポーツ

発生メカニズム

① ヒールストライク(後足部接地)

  • 踵接地時の反復衝撃
  • 足関節背屈位はいくついでの荷重
ヒールストライクの強い走り方

② 足関節背屈の繰り返し

  • 背屈時に距骨きょこつが内果へ衝突(インピンジメント)
  • 前内側部ぜんないそくぶへの応力おうりょく集中
背屈ストレスがかかる動作

③ 内反ストレスがかかる動作

  • 足関節が内反ないはんする着地や走動作
  • 下肢アライメントが異常な状態での荷重
内反ストレスがかかる動作

足部・足関節の運動連鎖による負荷動作

  • 前足部回内ぜんそくぶかいないを伴う踵接地かかとせっち
  • 距骨の内旋ないせんを伴う動作
  • 足関節のねじれ(回旋)負荷

→ 内果前内側〜脛骨遠位えんいへの圧縮・剪断応力せんだんおうりょく増大

距骨の内旋を伴う動作

症状

  • 足関節内側(内くるぶし)の限局した痛み
  • 背屈時の痛み
  • 運動時(走る・跳ぶ・着地)に痛みが増強
  • 内果を押すと強い圧痛
  • 安静時には軽減する
  • 捻挫ねんざ、ジャンプ着地、踏み込みなどをきっかけに急に強い痛みが出ることも
  • 徐々に増悪する痛み(数週〜数か月かけて進行)
  • 足関節の腫脹しゅちょう(軽度のことが多い)
内果疲労骨折の症状

間違えやすい疾患

  • 前内側インピンジメント症候群
  • 脛骨天蓋内側けいこつてんがいないそく離断性骨軟骨炎りだんせいこつなんこつえん、足関節内部障害
  • 内果周囲の副骨ふくこつ有痛性外脛骨障害ゆうつうせいがいけいこつしょうがい
  • 骨髄炎こつずいえん骨膜炎こつまくえん
  • 後脛骨筋腱炎こうけいこつきんけんえん
  • 長母趾屈筋腱炎ちょうぼしくっきんけんえん
  • 足根管症候群そっこんかんしょうこうぐん
内果疲労骨折に似ている疾患

原因

  • ランニングやジャンプなどによる繰り返しの荷重・オーバーユース
  • 走る・跳ぶなどの反復する圧縮力
  • 不適切なトレーニング環境(硬い路面・不整地・シューズなど)
  • 不適切なトレーニング量(頻度・強度・期間など)
  • 踵接地の繰り返しや背屈動作に伴う足関節への反復ストレス
  • 後足部回内や下腿内旋に伴う回旋ストレス
  • 慢性足関節不安定性(外側靱帯損傷がいそくそくふくじんたいそんしょう後など)による負荷集中
  • 下肢アライメント異常:脛骨内反、後足部内反、O脚 など
  • 筋力低下・柔軟性低下・関節可動域制限
  • 骨形成より骨吸収が上回る状態・骨密度低下

検査

レントゲン検査(整形外科による)

  • 早期は異常が写らないことが多い
  • 特徴的所見:脛骨天蓋と内果関節面の境界から垂直に内上方へ向かう骨折線
内果疲労骨折のレントゲン検査

MRI検査(整形外科による)

  • 早期診断に有用(X線で異常がない段階でも検出可能)
  • 骨折線の確認
  • 骨折周囲の骨髄浮腫こつずいふしゅの評価
内果疲労骨折のMRI検査

治療法

  • 安静・運動中止
  • 免荷(松葉杖など)
  • 痛みが強い急性期→ ギプス固定+免荷
  • 運動時のみ痛い場合→ ギプスなしで免荷・安静
  • 骨癒合こつゆごうが確認されるまで負荷のかかる運動は禁止
  • 骨癒合後に徐々に運動再開(約7〜8週で運動再開
  • 完全な骨癒合まで約14週(急いで復帰すると再発しやすい)
  • 下肢関節の可動域・柔軟性の左右差の改善(再発予防)

内果疲労骨折に対するLIPUS(低出力超音波パルス療法)

LIPUS(低出力超音波パルス療法)は、内果疲労骨折に対する有効な治療法で、骨癒合の促進を目的に用いられます。微弱な超音波刺激によって骨の修復を助け、安静のみの場合より治癒期間の短縮が期待されるため、治りにくい症例や早期復帰を目指すアスリートに対して使用します。

効果

  • 骨癒合の促進:超音波刺激により骨を形成する細胞の活動を高め、骨修復過程を促進します
  • 治癒期間の短縮:通常は安静のみで数週間〜数か月かかる回復を、より早められる可能性があります。
  • 難治なんち例・遷延せんえん例に有用:内果骨折など、治りにくい部位で効果が期待されます。
  • 痛みの軽減効果:骨修復の促進に伴い、運動時痛や圧痛の改善が期待されます。
内果疲労骨折LIPUS
麻多 聡史
院長

この記事を書いた人

アルコット接骨院院長
柔道整復師
フットケアトレーナーマスターライセンス、足爪補正士、テーピングマイスター、IASTMマニュアルセラピスト、FMS 、SFMA、FCS、BPL mentorship program修了、マイオキネマティック・リストレーション、ポスチュラル・レスピレーション、ペルビス・リストレーション、インピンジメント&インスタビリティ修了