踵骨疲労骨折とは、かかとに繰り返し衝撃が加わることで、古い骨がどんどん吸収され、新しい骨の形成が追いつかなくなり、骨の強度が低下して骨折に至るものをいいます。

踵骨疲労骨折は、スポーツを始めたときや種目を変えたとき、運動の強度や時間が増えたとき、また急激に体重が増えたときに起こりやすいです。長時間歩くことが多い新兵や、かかとで着地することが多い中長距離のランナーに多くみられます。

疲労骨折とは、1回の強い力ではなく同じ場所に繰り返し力がかかることで骨がダメージを受け、最終的に骨が折れる状態です。足や脚の部分でよく見られる疲労骨折は、すねの内側(24~73%)や第2・第3中足骨(17~35 ％）、かかとの骨（21~28%)で発生することが多いです。

特に中学生や高校生に多く、16歳がピークです。疲労骨折がよく見られるスポーツは陸上競技で、中でも中長距離ランナーに多いです。そのほか、バスケットボール、野球、サッカー、バレーボール、ハンドボール、ソフトボール、ラグビーなどでも発生します。

疲労骨折の原因は、内的な要因と外的な要因に分けられます。内的な要因には、体の構造的な問題（例えば、膝が内向きや外向きに曲がっている状態や扁平足など）や体のコンディション（筋力や柔軟性、ビタミンD不足、ホルモンの異常など）があります。

特に女性アスリートは、ホルモンの異常が原因で無月経、摂食障害、骨粗鬆症を引き起こすことがあり、これを「女性アスリートの三主徴（female athlete triad）」として注意が必要です。

外的な要因には、トレーニングの方法（時間、頻度、強度、フォーム）や環境（硬い地面や人工芝など）が含まれます。複数のチームメンバーが同時に疲労骨折を起こす場合、外的な要因が原因であることが多いです。

骨は、外部からの力に効率よく耐えるために常に修復作業（リモデリング）を行っています。これは、古い骨を吸収する相と新しい骨を作る相で成り立っています。古い骨を吸収する段階は約2週間、新しい骨を作る段階は約90日かかります。

骨への機械的な負荷や血流の減少により、古い骨を吸収する細胞（破骨細胞）が活性化し、骨の修復が始まります。破骨細胞が作った空洞は、新しい骨を作る細胞（骨芽細胞）で満たされますが、骨がしっかりと成熟するにはさらに時間がかかります。

新しい骨を作る相が終わる前に新たなストレスが加わると，破骨細胞の活性化がしさらに骨が吸収され、骨の強度が低下して疲労骨折が発生しやすくなります。

古い骨を吸収する段階は約2週間、新しい骨を作る段階は約90日かかります。骨への機械的な負荷や血流の減少により、古い骨を吸収する細胞（破骨細胞）が活性化し、骨の修復が始まります。破骨細胞が作った空洞は、新しい骨を作る細胞（骨芽細胞）で満たされますが、骨がしっかりと成熟するにはさらに時間がかかります。

新しい骨を作る相が終わる前に新たなストレスが加わると，破骨細胞の活性化がしさらに骨が吸収され、骨の強度が低下して疲労骨折が発生しやすくなります。

かかとの骨には後ろにアキレス腱、下には足底腱膜がついています。歩くときには、これらの腱によりかかとの骨が引っ張られて剪断力がかかり、疲労骨折が起こりやすくなります。

この2つの牽引力がかかとの疲労骨折を引き起こすと考えられています。そのため長時間歩くことが多い新兵や、かかとで着地することが多い中長距離のランナーに、この骨折がよく見られます。

・歩くときや運動するときにかかとだけに感じる痛み

・かかとを両側から同時に押すと痛みが再現される

・かかとの腫れ

・跛行（びっこを引く）や歩行の困難

・片足で繰り返しジャンプすると痛い

・運動中や運動後は慢性的な痛みを感じるが日常生活は支障がないこともある

足底腱膜炎による痛みと踵骨疲労骨折の痛みは異なります。一般的に、足底腱膜炎の痛みは朝に悪化し、活動を始めるとだんだん緩和されます。痛みは踵の土踏まず側にあり、踵骨の側面ではありません。

ただし、初期段階ではこれらの2つの状態を区別することが難しい場合があります。

踵骨疲労骨折が疑われる場合は、まずレントゲン検査が行われます。症状が出てから約10日後に、かかとの後ろに骨が硬くなったように見えることが多いです。
もしレントゲンで異常が見つからず症状が続く場合は、MRI検査が行われます。MRIでは、骨折部分は暗く、周囲の腫れや出血は明るく映ります。この検査は非常に高い精度で早期診断に役立ちます。

最近では、超音波エコー検査も使われます。エコーでは骨膜が厚くなった状態や血流の増加が見られます。

踵骨疲労骨折の治療は、骨折を治すだけでなく、再発を防ぎながら以前の競技レベルまで回復させることを目指しています。そのためには、以下の4つのポイントを考慮して治療計画を立てます。

歩いたり走ったりするとき、かかとには地面からの反発力だけでなく、アキレス腱や足底腱膜からの牽引力もかかります。これらのストレスを軽減するために、衝撃を吸収するヒールパッドを使用したりします。

アキレス腱と足底腱膜のストレッチはかかとへの過度な負担を減らし、ふくらはぎの筋力強化は衝撃を和らげる効果があります。

長期間の安静は筋力や心肺機能の低下を招くため、かかとに負担がかからないトレーニングを続けることが重要です。

痛みの有無をみながら活動レベルを上げていきます。活動レベルを上げる途中で痛みが出た場合、無理をせずに活動レベルを下げます。そして1〜2週間様子を見てから再び活動レベルを上げるかどうかを判断します。

骨の強度が十分でない時期に無理をすると、治療が逆戻りしてしまうことがあります。回復が始まってからの3週間は、かかとに過度なストレスがかからないように注意します。そして、約10〜12週間かけて徐々に以前の活動レベルに戻していきます。

LIPUSは1秒間に150万回の振動刺激を患部に照射し、骨の修復と再生を促進します。骨の形成を助ける骨芽細胞の活動を活発にし、骨の血流を増加させることで、栄養供給を改善します。また、LIPUSは炎症を抑え、骨折部位の痛みを軽減する効果もあります。

疲労骨折は通常の骨折よりも治癒に時間がかかることがあるため、LIPUSは非常に重要な治療法といえます。研究論文では骨癒合にかかる時間を約38%短縮できる可能性があるとの報告があります。

ラジオ波治療とは、300kHz〜６MHzの高周波を利用して体の深い部分を温める治療法です。患部の血管を拡張し血流を増加させ、酸素や栄養が骨折部位に運ばれ骨の修復を早めます。

ラジオ波治療は筋肉の緊張を緩和し、痛みの原因となる炎症を抑える効果もあります。これにより、踵骨周辺の痛みを和らげ、治療中の活動を快適に行えるようにサポートします。